サイバーエージェント調査で見えたZ世代のSNS最新事情:Instagram・Xが伸び悩み、BeReal.が唯一成長

サイバーエージェントが公表した最新の調査から、Z世代のSNS利用トレンドが大きく変化していることが明らかになりました。特に、これまで若い世代の中心にあったInstagramX(旧Twitter)の勢いが鈍化する一方で、フランス発の写真SNS「BeReal.」だけが、Z世代の間で着実に利用を伸ばしている点が注目されています。加えて、日本全体で見ると「LINE」や「YouTube」が、もはや生活インフラとも言える存在になっていることも示されています。

本記事では、サイバーエージェント次世代生活研究所による「2025年Z世代SNS利用率調査」を中心に、Z世代と上の世代でどのようにSNSの使われ方が違うのか、そしてLINE・Facebook・Threadsといった主要SNSの最新動向を、やさしい言葉でわかりやすく解説していきます。

サイバーエージェントの「2025年Z世代SNS利用率」調査とは?

今回のデータは、サイバーエージェントの社内シンクタンクである「次世代生活研究所」が実施したものです。

  • 調査期間:2025年10月17日〜19日
  • 対象:全国の17〜60歳の男女2,884名
  • 内訳:

    Z世代(17〜28歳):1,236名

    上世代(29〜60歳):1,648名

この調査では、各SNSの「利用率」と「認知率」を、Z世代と上世代に分けて詳しく分析しています。その結果、世代間でのギャップや、ここ3年間のトレンドの変化が、かなりくっきりと浮かび上がりました。

2025年、Z世代が最も使っているSNSは「YouTube」

まず、Z世代におけるSNS利用率トップ5を見てみましょう。

  • 1位:YouTube 利用率 86.1%
  • 2位:LINE 利用率 85.8%
  • 3位:Instagram 利用率 71.6%
  • 4位:X(旧Twitter) 利用率 66.8%
  • 5位:TikTok 利用率 52.8%

ここでポイントとなるのは、1位のYouTubeと2位のLINEについては、Z世代と上世代の利用率にほとんど差がないということです。YouTubeは上世代でも86.3%、LINEは85.6%と、ほぼ同じ水準で利用されており、「全世代共通の国民的SNS」といえる存在になっています。

一方で、3位以下のInstagram、X、TikTokは、明らかにZ世代の利用率が高いサービスになっています。特にTikTokは、Z世代52.8%に対して上世代30.9%と、20ポイント以上の差がついており、「若者らしさ」を象徴するSNSとなっていることがわかります。

Instagram・Xは「高止まり」状態、Z世代で伸びていない

今回の調査で話題を集めているのが、主要SNSの中で、Z世代の利用率が伸びているものがほとんどないという点です。

サイバーエージェントは、2023年から2025年までの3年間で、Z世代における各SNSの利用率推移も追っています。その結果、

  • YouTube:2024年86.3% → 2025年86.1%(ほぼ横ばい)
  • TikTok:2023年51.9% → 2024年54.8% → 2025年52.8%(微増後、やや戻る程度)
  • InstagramやXも、おおむね「高止まり」で、大きな伸びは見られない

といった状況になっています。つまり、InstagramやXはすでにZ世代の間で広く使われているものの、新たな利用者が急増しているわけではない、ということです。

数年前までは「Z世代といえばInstagram」というイメージが強く、2023年の調査でも「Z世代に最も人気なのはInstagram」という結果が話題になりましたが、2025年時点では、YouTubeとLINEが利用率のトップ2を占めるかたちに変化しています。

Z世代で唯一伸びたSNS「BeReal.」とは?

そんな中で、唯一Z世代の利用率が伸び続けているSNSとして名前が挙がっているのが、フランス発の写真共有アプリ「BeReal.」です。

BeReal.のZ世代における利用率推移は、

  • 2023年:13.2%
  • 2024年:21.4%
  • 2025年:22.8%

となっており、3年連続で伸びていることが分かります。サイバーエージェントは、「主要SNSの中で、Z世代の利用が伸びているのはBeReal.だけ」と指摘しています。

さらに特徴的なのが、Z世代と上世代の差です。

  • Z世代の利用率:22.8%
  • 上世代の利用率:0.8%
  • その差:22.0ポイント

これは、すべてのSNSの中で世代間の差が最も大きい数字です。また、認知率(サービス名を知っているかどうか)でも、

  • Z世代:79.4%
  • 上世代:30.6%
  • 差:48.8ポイント

と、圧倒的にZ世代側に偏っています。このことから、BeReal.は「Z世代の間ではかなり知られているが、上の世代にはほとんど浸透していないSNS」といえます。

サイバーエージェントは、こうした差の大きいSNS(BeReal.、TikTok、Instagram、Pinterest、Xなど)が、世代間のジェネレーションギャップを生み出す一因になっている可能性を指摘しています。つまり、「若者はみんな知っているのに、親世代は名前も知らない」サービスが増えている、ということです。

「LINE」はもはや生活インフラ、世代を超えて使われる定番SNS

一方で、日本のSNS事情を語るうえで外せないのが「LINE」です。今回の調査でも、LINEはZ世代の利用率が85.8%、上世代も85.6%と、世代による差がほとんどありません

この結果は、LINEが年齢を問わずほぼ「必須のコミュニケーションツール」になっていることを示しています。家族連絡、学校や職場のグループ、自治体や企業からの公式アカウントなど、日常生活のあらゆる場面で使われており、もはや生活インフラといっても大げさではない存在です。

また、ユーザー数ランキングにおいても、国内では「主要SNSのユーザー数トップはLINE」とされており、2位のYouTube、3位のInstagramと並んで、日本における三大SNSの一角を占めています。今回のサイバーエージェント調査の利用率データとも、よく整合する結果といえるでしょう。

Facebookは「おじさん向け」? 世代で大きく分かれる利用状況

世代による使われ方の違いがはっきり出ているのが、Facebookです。サイバーエージェントの調査によると、

  • 利用率:Z世代 9.0%/上世代 19.6%(上世代が10.6ポイント高い)
  • 認知率:Z世代 83.4%/上世代 88.5%(上世代が上回る唯一のサービス)

という結果になっています。Z世代の中にも「名前は知っている」人は多いものの、実際に使っている人は1割にも満たないという状況です。

一方で、ビジネスパーソンや40代以上の利用は一定数あり、「仕事のつながり」「昔の友人との交流」「子どもの写真を家族と共有」など、やや年齢層の高いユーザーの利用シーンが目立ちます。そのため、「Facebookはおじさん向け」といったイメージで語られることも増え、世代によって明確に評価や使い方が異なるSNSになっているといえます。

「Threads」や「TikTok」など、新興SNSの伸び

一方で、比較的新しいSNSの成長も見逃せません。サイバーエージェントの調査では、上世代(29〜60歳)における利用率推移として、

  • TikTok:2023年20.4% → 2024年28.2% → 2025年30.9%
  • Threads:2023年5.9% → 2024年9.5% → 2025年15.2%

と、いずれも右肩上がりで増加傾向にあることが示されています。

TikTokは「若者向け」というイメージが強いサービスですが、実際には上の世代にも少しずつ浸透しており、ショート動画を通じて情報収集や娯楽を楽しむ人が増えていることがうかがえます。

また、Meta(旧Facebook社)が提供するThreadsは、まだ利用率こそ低いものの、着実にユーザーを増やしています。テキスト中心のゆるやかなコミュニケーションを好むユーザー層に支持されており、今後、Xとの使い分けがどう変化していくのかにも注目が集まっています。

Z世代と上の世代、SNSはどう使い分けられているのか

ここまでのデータを整理すると、Z世代と上の世代では、SNSの使い方や重視しているサービスがかなり違うことがわかります。

  • 共通してよく使う:LINE、YouTube

    → 連絡手段・動画視聴として、年齢問わず「インフラ」的に使われている
  • Z世代で特に強い:Instagram、X、TikTok、BeReal.、Pinterestなど

    → トレンド情報、エンタメ、自己表現、友人同士のつながりに活用
  • 上の世代で相対的に強い:Facebook

    → 仕事や同窓のつながり、家族への近況報告などに利用

サイバーエージェントの分析にもある通り、特にBeReal.、TikTok、Instagram、Pinterest、Xといったサービスは、世代間ギャップの象徴となっており、「若者文化」と「大人世代」の分かれ目として機能している側面があります。

企業・マーケターにとっての意味:どのSNSに注目すべきか

こうしたデータは、企業やマーケターにとっても重要な示唆を持っています。サイバーエージェントはインターネット広告事業を主力とする企業であり、次世代生活研究所の調査結果は、実際の広告プランニングやプロモーション戦略にも活かされています。

  • 全世代向けサービスや生活インフラ系:

    → LINEやYouTubeをベースとした情報発信が有効
  • Z世代をメインターゲットにした商品・サービス:

    → Instagram、TikTok、Xに加え、「BeReal.」のような新興SNSにも目を向ける必要
  • ビジネス層・30代以上が中心のサービス:

    → FacebookやThreads、YouTubeなどを組み合わせたアプローチが有効

特に、Z世代の間で唯一伸びているBeReal.は、まだ企業の活用事例が多くない「ブルーオーシャン」に近い存在です。広告としての活用には慎重さが求められますが、「リアルな瞬間」を重視するZ世代ならではの価値観を理解する手がかりにもなります。

サイバーエージェントが読み解く、これからのSNSとの付き合い方

サイバーエージェントの一連の調査から見えてくるのは、「SNSは1つに絞られるのではなく、用途や世代によって使い分けられていく」という流れです。

  • 連絡・通知:LINE
  • 動画視聴・情報収集:YouTube、TikTok
  • 自己表現・トレンド発信:Instagram、X、BeReal.
  • ビジネス・近況報告:Facebook、Threads

このように、「何をしたいのか」によって選ぶSNSが変わる時代になっています。Z世代は特にこの使い分けが上手で、1人で複数のSNSをシーンごとに使いこなす傾向が強くなっています。

一方で、上の世代でもTikTokやThreadsの利用が少しずつ増えており、今後は「若者のSNS」が、数年後には「全世代のSNS」となるケースも考えられます。その意味で、サイバーエージェントのような企業が継続的にデータを出していくことには、大きな価値があります

今回明らかになった、Instagram・Xの伸び悩みとBeReal.の成長、そしてLINE・YouTubeのインフラ化という構図は、私たちの生活スタイルそのものの変化を映し出しているとも言えるでしょう。今後も、世代ごとのSNSの使い方がどのように変わっていくのか、引き続き注目されます。

参考元