新型コロナウイルス新変異株「ニンバス(NB.1.8.1)」が拡大中 ― 強い喉の痛みや高齢者の重症化に警戒を
全国で拡大する新しいコロナ変異株「ニンバス」の現状
2025年夏、日本国内はもちろん、世界でも新型コロナウイルスの新しい変異株「ニンバス(NB.1.8.1)」の流行が深刻さを増しています。国内では8月時点で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者数が9週連続で増加し、国立健康危機管理研究機構のデータによると国内感染の40%以上がニンバス株によるものと報告されています。特に西日本、福岡など多くの地域で急速に拡大し、全国各地の医療機関に影響を与えています。
「ニンバス(NB.1.8.1)」株の由来と特徴
- 出現と系統:ニンバス株はオミクロン株系統(JN.1やXDE、XDVなど)の組換え体から派生した新たな変異株です。2025年1月に初検出され、5月には世界保健機関(WHO)によって「監視下の変異株(VUM)」として指定されました。
- アジアでの拡大:アメリカなどでは別の株(XFGなど)が流行していますが、日本や東アジアではニンバス株が中心となっています。
- 感染力と伝播性:既存のオミクロン変異株と比べても感染力がやや強く、実効再生産数(R値)が高いとされています。これにより家庭や職場、学校などでのクラスター発生が増加しています。
- 免疫回避性:ワクチンや従来株による免疫を部分的にすり抜ける力がありますが、追加接種やこれまでの感染による抗体でも中和は可能とされています。
主な症状と注意すべきポイント
ニンバス株の最大の特徴は「喉の激しい痛み」です。感染者の多くが「カミソリを飲み込んだような」「ガラスの破片が刺さるような」「焼けるような」強い喉の痛みを訴えており、唾を飲み込むことすら辛く、食事や会話も困難になるケースが報告されています。加えて、38度を超える高熱や全身の強い倦怠感、咳、鼻水、筋肉痛、関節痛などが現れることがあります。
- 喉の痛み:今までにない強さ。水分摂取が困難になるため、脱水や二次的な体力低下にも要注意です。
- 発熱・頭痛・倦怠感:高熱や長期の体調不良が続くことがあり、回復に1週間以上かかる場合も珍しくありません。
- 高齢者・持病のある方の重症化:基礎疾患を持つ方や高齢者では、肺炎や呼吸不全など重症化するリスクがあります。早期の医療受診が推奨されます。
重症化リスクと現時点での見解
2025年8月現在、ニンバス株は感染力が高いものの、重症化リスクが従来株より顕著に高いという証拠は確認されていません。ただし、高齢者や持病を抱える方、小児では重症例も散見されるため、注意が必要です。呼吸困難や意識障害、高熱が続く場合はすぐに医療機関を受診してください。
ニンバス株拡大の背景 ― 急増する患者数とその理由
感染再拡大の背景には、次のような要素があります。
- 感染力の高さ:先述の通り、より少ない接触でも感染が成立しやすいウイルス特性が広がりを後押ししています。
- 抗体保有率の低下:感染やワクチン接種後の抗体は一定期間で減少傾向にあるため、再感染も増加しています。
- 日常生活の再開:イベントの開催や旅行、会合・食事会など人の移動と接触が増えたことも、流行拡大の大きな要因です。
福岡の定点医療機関では、2025年7月~8月で新型コロナ患者報告数が明確に増加。全国的にも9週連続増加が続き、今後の拡大も懸念されています。
重症化防止・感染予防のポイント
- うがい・手洗い・マスクの着用:基本ですが、特に喉の粘膜を守るために、こまめなうがいが効果的です。
- 無理せず早めの受診:喉の激痛や高熱がある場合は、症状が軽いうちに医療機関を受診しましょう。自宅療養の場合も水分補給はこまめに行いましょう。
- ワクチン接種:追加接種で重症化リスクや発症リスクが下がることが示されています。特に高齢者や基礎疾患のある方は早めの接種を推奨します。
- 換気と密回避:屋内の換気を十分に行い、人ごみを避ける・マスクを着用するなど状況に合わせて工夫しましょう。
家庭・職場・教育現場への影響と社会的対応
保育園・学校・高齢者施設などでは、集団感染による休校や施設閉鎖、職員不足なども出ています。家庭内でも子どもや高齢者同士の感染が多くなり、「二次感染」や家族全員の感染が問題となっています。
厚生労働省は引き続き自治体や医療機関との連携強化、ゲノム解析による監視、ワクチン供給体制の見直しなどを進めており、市民への的確な情報発信が重要視されています。
まとめ&読者へのメッセージ
2025年夏、日本を中心に拡大する新型コロナウイルス変異株「ニンバス」は、感染速度の速さや重い喉の痛みが特徴ですが、基本的な感染対策や早期の医療受診、ワクチン接種で過度な重症化は抑えられる可能性が高いです。
「喉の痛み」がこれまでと違い強い、熱が高い、体調が戻らないなど心配な症状がある場合は、自己判断せず早めの医療機関受診を強くおすすめします。
引き続き、生活の中でできる対策を続けながら、ご家族や周囲の大切な方を守りましょう。