フランス・Z世代女性が奈良の古民家を購入──日本への憧れと移住の記録
パリ生まれのコリーヌ・アギーレ氏、24歳で日本移住の決断
約490万円で奈良の古民家を購入したフランス人女性、コリーヌ・アギーレ氏。彼女はZ世代の代表として、日本文化への深い憧れを胸に独り日本へ渡り、不動産コンサルティング会社を立ち上げるという人生の転機を迎えました。「3年経っても、まだ夢のようだ」と語る彼女の物語は、国際化する現代社会と地方移住の可能性を体現しています。
日本への初めての一歩──高校時代の交換留学が人生を変えた
コリーヌ氏が日本を強く意識するきっかけとなったのは、10年前の高校生時代。交換留学プログラムに参加し、東京から約60キロ離れた神奈川県で1年間を過ごしました。パリ生まれの彼女は幼少期から引っ越しを繰り返し、異文化への適応力を身につけていたと言います。
彼女が本格的に日本文化の魅力に触れたのは、滞在中にホストファミリーの祖父母が住む田舎を訪れたとき。そこで目にしたのは、1970年代に建てられた伝統的な日本家屋でした。木の梁、畳の部屋──都会の近代的な住まいしか知らなかったコリーヌ氏にとって、新鮮な驚きと憧れが生まれた瞬間です。「初めて畳の部屋で寝る経験をした。それまで、日本では都会にある現代的な家しか滞在したことがなかった。私はその家に惚れ込み、その瞬間、日本で伝統的な家屋を所有したいと思った」と彼女は語っています。
奈良での古民家探し──自分の夢との出会い
- コリーヌ氏は、フランスでキャリアを積んだ後も「田舎の日本家屋の美しさ」を忘れられず、幾度も日本の物件を調べ続けました。
- 奈良の郊外に理想的な古民家を発見。約490万円という破格の条件に、渡航費、手続き、修復費など多くの困難を覚悟しつつも、購入を即断します。
- 言語の壁、不動産の慣習、契約の細かい追加事項……日本の地方で外国人として家を買う体験は決して簡単ではありませんでした。しかし、彼女は粘り強く交渉し、手続きすべてを自分で乗り越えました。
- 古民家購入後は、傷んだ梁や壁の修復を地元の職人に依頼。時には自身の手でDIY作業もこなし、家への愛着が一層深まりました。
“夢のようだ”──異文化での日々と新たな事業
コリーヌ氏が「3年経っても、まだ夢のようだ」と語る理由は、憧れの日本古民家での暮らしが現実となった喜びだけでなく、日々の発見と変化を謳歌しているからです。「朝、畳の上で目覚めるたびに、自分が本当に日本で暮らしているんだと実感します。庭の手入れをしたり、近隣の方と季節の行事を楽しんだり。『移住』はゴールではなく、毎日が新しく始まる感じです」と彼女は語ります。
古民家への移住を機に、日本で不動産コンサルティング会社を立ち上げました。地元自治体や外国人移住希望者の架け橋となる活動を通じて、地方再生や国際交流にも貢献しています。
地方移住がもたらす未来──多様な価値観との交差
- 奈良の古民家は、ただの「住まい」ではなく、コリーヌ氏にとっては文化が交差し、価値観が交流する「場」。国境を越えて移住する若者が増加する中、古いものと新しいものが共存する価値を自ら体感しています。
- 「思い切って一歩踏み出すことで、自分の世界が広がる。地元の人々の温かさを感じたり、お互いのちがいを受け入れる喜びを発見したり。日本の地方には、まだ知られていない魅力がたくさんあります」と語るコリーヌ氏。
- Z世代の移住は「Young × Old」「Local × Global」が交わることで新しい価値を創造する、時代の象徴ともいえる動きです。
海外から見た日本の“地方の古民家”──新たなライフスタイルの兆し
コリーヌ氏の行動は、世界中の若い世代にとって「日本の地方への移住」「古民家への住み替え」「異文化体験」という新しいライフスタイルへの関心をかきたてています。彼女が実際に体験した困難や感動は、多くの人に勇気を与えるものです。
- 近年、古民家の価値が再評価され、日本国内外で移住・利用を希望する声が高まっています。
- 地方自治体は空き家対策や移住促進に力を入れ、外国人にも門戸を開いている現状が伝えられています。
- コリーヌ氏のような「新しい住民」が重層的な地域コミュニティに新しい風を吹き込んでいます。
まとめ:夢を追い続けるZ世代女性の歩み
今や奈良の古民家は、コリーヌ・アギーレ氏だけでなく、地域社会にとっても新しい象徴となりました。若者の移住、外国人の挑戦、地方の古民家再生──この物語は、日本社会の多様化と地域再生の可能性を優しく照らしています。
「3年が経っても、毎日が新鮮で夢のようです」と語る彼女の言葉は、多様な価値観と可能性が息づく現代日本の地方へ光を投げかけています。