2025年10月FOMC(米連邦公開市場委員会)直前徹底解剖――利下げ、バランスシート縮小終了へ注目集まる

はじめに

2025年10月28日から29日にかけて、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。今回のFOMCは、「利下げの有無」「バランスシート縮小政策(量的引き締め<QT>)の行方」「経済統計の未発表という特殊事情」など、多くの重要テーマが重なっています。今回の記事では各テーマについて、現時点で何が注目されているか、専門家の見解や最新の市場予測を交え、やさしく丁寧に解説します。

10月FOMCの最大の注目点:「利下げ」会合となるか

まず最大の焦点は、政策金利の追加利下げに関する決定です。市場では「0.25%の利下げ」がほぼ確実視されており、CME FedWatchツールによるとその確率は90%~97%に達しています。これは、9月のFOMCですでに利下げに踏み切ったのに続き、2会合連続となる可能性が高いことを意味します。

利下げ判断の背景には、以下のような要因が挙げられます。

  • インフレがやや抑制され始めている
  • 米労働市場への「軟化」圧力、雇用リスクの高まり
  • 政府閉鎖により主要な経済統計(雇用統計など)が未発表
  • 消費者物価指数(CPI)が市場予想より低く、追加のインフレ圧力は限定的

一方で、FOMCメンバーの間では、今後の利下げの「ペース」や「年末までに何回実施するか」について意見が割れています。9月のFOMC以降、「年内あと1回」という慎重な意見も根強く、今回の決定が年末に向けた流れの分岐点になると見られています。

バランスシート縮小政策(量的引き締め=QT)終了の可能性

今回のFOMCでは、バランスシート縮小(量的引き締め:QT)政策の終了にも大きな注目が集まっています。既にFRBのパウエル議長は10月14日の講演で「今後数か月で量的引き締めの終了方針が固まる」と述べています。

  • 早ければ「今回(10月)」もしくは「次回(12月)」FOMCで正式決定される可能性
  • QTの終了により、金融市場への流動性供給が強化される見込み
  • 来年第1四半期までにはバランスシート縮小が完全終了の見通し

このQT終了が実現すれば、コロナ禍後の金融正常化路線はいったん区切りとなり、緩和政策への再転換を明確に示す動きともなります。

政府統計未発表――異例尽くしのFOMC会合

2025年10月のFOMCが「異例」と位置付けられる重要な背景がもう1つあります。それは、10月1日以来続く米連邦政府閉鎖によって、雇用統計などの主要経済指標が未発表になっていることです。

通常、FOMCは最新の経済統計を踏まえたうえで金融政策を決定しますが、今回は最新の雇用データやGDP速報値等が入手できていません。こうした「データ不足」の状況下、FOMCは次のような対応をしています。

  • 民間が発表している景気・雇用指標やベージュブック(地区連銀報告)を重視
  • 消費者物価指数(CPI)、民間景況感調査、金融市場データなどを総合的に判断に使用

今回の利下げ判断は、まさに「手探り」で下される異例の会合となります。今後のFOMC会合や金融政策予測にも、こうした状況が大きな影響を及ぼす可能性が高いといえるでしょう。

金融政策決定の主な論点・参加メンバーの姿勢

FOMCでは、「0.25%利下げ」「慎重な年内追加利下げ」「金利据え置き」など、さまざまな意見が入り乱れると見られています。特に今回は、下記の論点が注目されています。

  • 政策委員ミラン理事はさらに大幅な「0.5%利下げ」を主張し反対票を投じる可能性
  • 一部の地区連銀総裁は、現状の景気底堅さから「年内これ以上の利下げ」には慎重
  • インフレ率が依然として「目標(2%)」をわずかに上回っている点への懸念

つまり、「雇用リスクとインフレ抑制、そのバランスをどのように取るか」がFOMCメンバーにとって最大の課題となっています。このため、会合後に公開される「声明文」や「議事要旨」には、さまざまな意見が反映される可能性が高いと目されています。

アメリカ金融市場&ドル・円相場の反応予測

市場は既に今回FOMCでの0.25%利下げを「十分に織り込んで」います。そのため、たとえば実際に利下げが決定しても、サプライズによる急激な相場変動は発生しにくい公算です。一方で、

  • 利下げ幅が予想より大きい(例:0.5%)
  • バランスシート縮小終了の決定が同時に発表される
  • 今後の利下げ「ペース」や「時期」への言及が思ったよりも「慎重または楽観」的

これらの場合には、アメリカの長期金利ドル・円相場に影響が出ることも想定されます。現時点では「緩和的政策が続く」との見方から、ドル円はやや上昇傾向に反応する可能性もあるとされています。

2025年末~2026年半ばにかけた政策金利の見通し

9月のFOMCで示された最新経済見通し(SEP)では、2025年末の政策金利中央値は3.6%とされています。10月・12月で0.25%ずつの利下げが進むという予想が有力です。また、これ以降も2026年半ばまでは「より中立的な水準」とされる3.375%前後まで政策金利が引き下げられる可能性があるとの見方が主流となっています。

下記に今後の政策金利予測のイメージを示します。

  • 10月および12月:0.25%ずつ利下げ、年末には3.75~4.00%
  • 2026年半ば:さらに段階的利下げで3.375%の水準へ

今後の金融政策への注目点

FOMCの動向は米国経済はもちろん、世界経済や金融市場にも大きな影響を及ぼします。とくに、「量的引き締めの終結タイミング」「インフレ動向と雇用情勢」「ドルの為替レート」など、引き続き多角的な情報収集と世界情勢の変動が求められる局面となるでしょう。また、アメリカ大統領選挙を控えた政治的な圧力や不透明要因が、中央銀行の独立性や政策決定にどう影響するかもポイントとなりそうです。

まとめ

  • 2025年10月FOMCは0.25%利下げ決定がほぼ確実視されている
  • 量的引き締め(QT)終了も大きな焦点、これまでの金融正常化路線の転機となる可能性
  • 政府統計未発表という異例特殊事情での「手探り」判断
  • メンバーの間では利下げペース、インフレ対策をめぐり意見が割れている
  • アメリカ長期金利やドル相場、市場全体への影響に引き続き要注意
  • 年末~2026年半ばまでに政策金利はさらに段階的利下げの見通し

今後もFOMCの決定内容と声明文、その後のフォローアップ情報は、日本を含む世界の経済・金融環境を読み解く上で非常に重要です。最新の情報や専門家コメントを引き続きチェックしていきましょう。

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