BYDが日本市場で本格展開、軽EV「ラッコ」を含む6モデルを東京オートサロン2026で披露

中国の大手自動車メーカーBYDが、2026年1月9日から11日まで幕張メッセで開催された「東京オートサロン2026」に出展し、日本市場における攻勢を強める意思を明確に示しました。BYDは次期導入モデルとなる軽EV「ラッコ」を含む全6モデルを展示し、2026年を「BYD新エネルギー車展開の元年」と位置付けました。

注目の軽EV「ラッコ」、2026年夏の日本発売を予告

今回の出展で最も注目を集めたのが、軽EV「ラッコ(RACCO)」です。BYDが独自開発したEV技術を軽規格のボディに収めた革新的なモデルとなります。ラッコは2026年夏の日本発売を予定しており、特設サイトは2月ごろに開設される予定です。

ラッコには2つのバッテリー仕様が用意されることが明らかになりました。スタンダードモデルは総電力量約20kWhのリチウムイオン電池を搭載し、一充電航続距離は200km超を実現。一方、ロングレンジモデルは総電力量約30kWhのリチウムイオン電池を搭載し、一充電航続距離は300km超を実現します。軽自動車規格ながら、実用的な航続距離を確保することで、日本市場での需要開拓を狙っています。

2026年はPHEVも本格投入、全8モデルの新エネルギー車ラインアップ

BYD Auto Japan代表取締役社長の東福寺厚樹氏は、東京オートサロン2026のプレスカンファレンスで、2026年はBEV(電気自動車)だけでなくPHEV(プラグインハイブリッド車)も本格展開することを発表しました。具体的には、コンパクトSUV「アット2」とステーションワゴン「シール6」というPHEVの2車種を新たに投入することが予告されています。

これにより、BYDの日本市場での新エネルギー車ラインアップは全8モデルとなります。2025年12月に発売したばかりの「シーライオン6」などの既販モデルと組み合わせることで、消費者にとって選択肢が大幅に拡大されることになります。東福寺氏は「短期間で車種がそろうことから、BYD Auto Japanの日本市場における本気度をご理解いただけるのではないか」とコメントし、日本市場での事業展開に対する強い決意を示しました。

東京オートサロン2026での展示内容

今回の出展では、次期導入モデル1車種と既販モデル5車種の計6車種が展示されました。主な展示車両は以下の通りです:

  • シーライオン6:2025年12月に発売したばかりのスーパーハイブリッドSUV
  • ラッコ:2026年夏発売予定の軽EV(プロトタイプモデル)
  • シーライオン7:既販モデルのSUV
  • シール:既販モデルのセダン
  • ATTO3 Limited:既販モデルのコンパクトSUV
  • ドルフィン ロングレンジ:一部仕様変更を実施した小型EV

BYDは今回が3回目の東京オートサロン出展となりますが、これまでと異なり、出展規模と展示モデル数を大幅に拡大しました。ブースではBYDブランドの歴史やテクノロジーを紹介する特別ゾーンも設置され、訪問者がBYDの技術力を体験できる環境が整備されました。

日本市場での課題と販売戦略

一方で、BYDが直面する課題も浮き彫りになっています。東福寺氏は「昨年末決定された新しい政府補助金などで大きなハンディキャップをつけられており、販売環境としては大変厳しいスタート」とコメントしました。これは、日本政府が新型EVなどに対する補助金制度を変更したことを指しており、新規参入企業にとって不利な状況が生まれていることを意味します。

それでも、BYDは2025年を上まわる販売実績の達成と認知向上に挑戦することを宣言しており、厳しい市場環境の中でも積極的な販売展開を進める方針を示しています。軽自動車市場で実績のあるホンダやスズキといった既存メーカーとの競争が激化することが予想されます。

中国メーカーの日本市場進出の意義

BYDの攻勢は、中国自動車産業の急速な発展と技術革新を象徴しています。特に軽EV「ラッコ」のような小型・低価格帯の新エネルギー車は、日本の軽自動車市場という独特なニッチに対応した戦略的な製品開発です。

BYDは世界的にも新エネルギー車の販売台数で上位に位置する大手メーカーであり、バッテリー技術やハイブリッド技術においても高い水準を保っています。日本市場への本格進出により、消費者にとっては選択肢の拡大につながる一方で、日本の自動車産業全体にとっても新たな競争環境が生まれることになります。

今後の展開に注目

BYDは2月ごろにラッコの特設サイトを開設予定であり、夏の発売に向けた本格的な日本市場での宣伝・営業活動が進められていくと考えられます。PHEV2車種の投入時期や価格設定など、詳細な情報の発表も注視されています。

2026年は、日本の自動車市場において中国メーカーの本格的な進出が加速する転換点となる可能性が高いです。BYDをはじめとする中国の自動車メーカーが、どの程度日本市場で存在感を示すことができるか、また日本の既存メーカーがどのように対応するか、今後の動向は日本の自動車産業全体の競争力を左右する重要な要素となるでしょう。

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