ブロードコム決算、AI半導体好調で時間外株価上昇 通期は増収増益・大幅増益を達成
米半導体大手ブロードコム(Broadcom、ティッカー:AVGO)が発表した最新決算を受け、同社株は時間外取引で上昇しています。AI(人工知能)向け半導体事業が好調で、売上高・利益ともに市場予想を上回ったことが投資家から好感されました。
さらに、直近通期では売上高が前期比23.9%増の638億ドル、営業利益が89.3%増の254億ドルと、大幅な増収増益を達成しています。 その成果を背景に、同社は年間配当を1株あたり2.36ドルへ増配することも発表しました。
第4四半期決算のポイント:予想を上回る「好決算」
ブロードコムが公表した8~10月期(第4四半期)決算では、売上高・1株利益ともに市場予想を上回りました。
- 調整後1株利益(EPS):1.95ドル(市場予想:1.87ドル)
- 調整後売上高:180.2億ドル(市場予想:174.7億ドル)
- 半導体ソリューション売上高:110.7億ドル(予想:107.4億ドル)
- インフラソフトウェア売上高:69.4億ドル(予想:67.2億ドル)
- 調整後EBITDA:122.2億ドル(予想:116.9億ドル)
- 調整後営業利益:119.2億ドル(予想:114.1億ドル)
- 設備投資:2.37億ドル(予想:1.54億ドル)
市場予想をしっかりと上回る「二重のビート(売上・EPSとも予想超え)」となったことで、決算発表後の時間外取引では、ブロードコム株に買いが集まりました。
AI半導体が成長を牽引 売上高は前年同期比74%増
今回の決算で特に注目されたのが、ブロードコムのAI関連半導体事業の急成長です。タンCEOは声明の中で、第4四半期の売上高が過去最高を更新したこと、そしてAI半導体の売上高が前年同期比74%増となり、成長を強力に牽引したと説明しています。
AIブームの拡大に伴い、データセンター向けの高速通信チップやカスタムチップなど、ブロードコムの得意分野が大きく伸びています。AI向け半導体は、今や同社の成長ドライバーとして明確な位置づけとなっており、今回の決算でもその存在感が改めて示されました。
来期見通しも強気 第1四半期は売上高191億ドルを予想
ブロードコムは同時に、11~1月期(第1四半期)の業績見通しも公表しました。
- 売上高見通し:約191億ドル(市場予想:184.8億ドル)
- 調整後EBITDAマージン:67%を見込む
タンCEOは、第1四半期もAI半導体の勢いは続き、AI半導体売上高は前年同期比で「倍増」する見通しだと述べており、AI需要に対する自信をにじませています。 こうした強気のガイダンスも、投資家のセンチメントを支える要因となっています。
通期決算:売上24%増、営業益89%増の大幅増益
ブロードコムは、2025年11月通期(2024年11月4日~2025年11月2日)の業績概要もあわせて公表しています。
- 通期売上高:638億ドル(前期比23.9%増)
- 通期営業利益:254億ドル(前期比89.3%増)
- 営業利益率:39.9%(前期26.1%から大幅改善)
- 希薄化後1株利益(EPS):4.77ドル(前期:1.23ドル)
- 通期配当:1株あたり2.36ドル(前期から0.24ドル増配)
売上高もさることながら、営業利益が約9割増加し、営業利益率も大きく改善している点が目を引きます。 高い収益性を背景に、株主還元として配当の増額も実施しており、株主にとっても好ましい内容となりました。
「次のブロードコム」を探す視点とは?
今回のように市場の期待を上回る決算を続け、長期的な株価上昇を実現してきたブロードコムは、「成功企業」の代表例としてもよく取り上げられます。そのため、米国株の投資情報では「次のブロードコム」を見つけるための視点が紹介されることもあります。
一般的に、「ブロードコムのような銘柄」に共通すると言われるポイントとしては、以下のようなものが挙げられます(具体的な銘柄名ではなく、特徴としての整理です)。
- 1. 成長分野(AI・クラウド・データセンターなど)に強みを持つ
ブロードコムは、AIデータセンター向け半導体やネットワーク関連製品など、長期的に成長が見込まれる領域に注力してきました。 このように、構造的な成長トレンドに乗る事業を持つかどうかは、大きなポイントです。 - 2. 高い収益性とキャッシュフロー
今回の決算でも示されたように、ブロードコムは高い営業利益率と潤沢なキャッシュフローを生み出しています。 こうした企業は、景気変動があっても事業投資・株主還元の両立がしやすく、長期的な企業価値の向上が期待しやすいとされています。 - 3. 安定した株主還元政策
ブロードコムは配当を継続的に引き上げており、株主還元に積極的な企業としても知られています。 「次のブロードコム」を探す際には、単に成長性だけでなく、配当や自社株買いなど、株主への還元姿勢も重視する見方があります。
もちろん、こうした条件を満たす企業が必ずしもブロードコムと同じ成長を遂げるとは限りませんが、「魅力的な成長株・優良株」に共通する視点として、個人投資家の参考にされることが多いテーマです。
投資家にとって今回の決算はどう見えるか
今回のブロードコム決算は、以下の点で投資家から評価されていると言えます。
- 売上高・利益ともに市場予想を上回った「好決算」であること
- AI半導体売上が大きく伸びており、成長ストーリーが継続していること
- 次の四半期見通し(ガイダンス)も強気で、今後の伸びにも期待が持てること
- 通期で高い増収増益・利益率改善を達成し、配当も増額されたこと
もちろん、半導体業界は景気や需要サイクルの影響を受けやすく、株価変動も大きくなりがちです。一方で、AIやクラウド、データセンターなど、構造的に需要が増え続けている分野に強みを持つ企業として、ブロードコムへの注目度は引き続き高い状態が続いています。
今後も、ブロードコムがどのようにAI関連事業を拡大し、ソフトウェアやインフラ事業と組み合わせながら成長を続けていくのかは、米国株市場のみならず、世界のテクノロジー業界を見るうえでも重要なポイントになっていきそうです。



