ブレインパッド、今期(2026年6月期)配当見送り―TOB(公開買付け)に伴う決定

2025年10月30日、株式会社ブレインパッド(東証プライム 3655)は、今期(2026年6月期)の配当予想を修正し、期末一括配当8円の支払いを見送る方針を発表しました。この決定は、現在進行中のTOB(公開買付け)に伴うものです。これまで配当を楽しみにしていた株主にとって大きな影響となり、市場や投資家の間でも話題となっています

配当見送りの背景と経緯

  • TOB(公開買付け)への賛同

    ブレインパッドは本日開催された取締役会において、TOBへの賛同意見を表明しました。これに伴い、配当方針の変更が発表されています。従来は、2026年6月期の期末一括配当として1株あたり8円の支払いを予定していましたが、TOBの進行中は配当を控えることが合理的だと判断されたためです

  • 配当予想の正式修正

    2025年8月8日に開示された配当予想は「1株8円」でしたが、10月30日に正式に「0円」に修正する発表が行われました。つまり、今期の配当は全額無配となります

  • 業績見通しの変更はなし

    配当の見送りに関して、会社側は「2026年6月期の連結業績予想に変更はない」と説明しています。業績予想自体は堅調な見通しですが、配当政策に限って方針転換がなされた状態です

過去の配当状況と今回の変更点

直近数年間、ブレインパッドは安定した配当を維持してきました。2023年以降、1株あたり8円の期末配当が続き、株主還元に積極的な姿勢が見られていました。今回の見送りは、2022年6月期以来の無配転換となります。

  • 参考:過去の配当金額の推移(期末一括)

    • 2023年6月期 配当:8.00円
    • 2024年6月期 配当:8.00円
    • 2025年6月期 配当:8.00円
    • 2026年6月期 配当:0.00円(予想→今回は見送り)
  • 株主資本配当率(DOE)と利益率の推移

    • 2025年6月期DOE:3.02%、ROE:18.82%
    • 2024年6月期DOE:3.30%、ROE:17.43%
    • 2023年6月期DOE:3.62%、ROE:10.76%
    • 2022年6月期DOE:0.00%、ROE:16.85%

    過去の配当履歴を見ると、利益水準や株主還元に一定の安定性があったことが分かります。今回は一時的な見送り方針であり、恒久的な変更ではない点もポイントです

決算と事業状況―増収増益、事業成長も

ブレインパッドの2025年6月期連結決算は、以下のような増収増益となりました

  • 売上高:117.72億円(前年同期比11.5%増)
  • 営業利益:15.75億円(前年同期比16.8%増)

特にプロフェッショナルサービス事業とプロダクト事業の両セグメントが成長の牽引役となり、利益率も改善しています。会社は来期(2026年6月期)以降もM&Aを含めた積極的な事業展開を計画しており、成長期待は維持されています

株価・投資家への影響

配当方針の転換は、配当金を目的に株式を保有する投資家にとってはマイナス材料となります。しかし、今回のTOB(公開買付け)は企業価値向上や将来的な成長を見据えた動きとされているため、資本政策全体での中長期的価値創出にも注目されています。

  • TOBによる株価の変動や企業買収の可能性があり、短期的には株式の流動性や値動きに影響します
  • 配当方針の見直しは、今後の株主還元姿勢や資本政策に注目が集まるきっかけになるでしょう。

投資家の間では、「安定的な配当路線から一時転換」「TOBによる成長戦略」「今後の還元方針への期待」など、さまざまな声が聞かれています。

会社側のコメント・よくあるご質問

ブレインパッドは「基本的に長期安定配当」を方針に掲げてきましたが、今回はTOBという特殊事情に伴い配当を見送り、株主価値の最大化や成長投資を優先する考えです。業績予想の変更はなく、今後も安定的な成長と株主還元に努める姿勢は維持されています

今後のスケジュールと注意点

  • 今回の配当見送りは現時点での決定です。今後、TOB完了や事業環境の変化があれば、さらなる資本政策の修正や追加発表があり得ます。
  • 直近の決算発表予定は2025年11月14日です。最新の業績動向や方針変更については公式発表を随時確認しましょう

まとめ:ブレインパッドの配当見送りと今後の展望

ブレインパッドは今回、TOB(公開買付け)に賛同する決断を下し、それに伴い今期配当の見送りを発表しました。株主還元としては残念な結果ですが、企業価値の最大化や成長投資を重視した資本政策への転換と捉えることができます。今後、会社の中長期的な経営戦略や資本政策の動向に注目が集まることとなるでしょう。投資家としては、公式発表や決算情報にて最新の状況を把握し、慎重な判断が求められるタイミングです。

補足:ブレインパッド基本情報

  • 設立:2004年
  • 事業内容:データ活用コンサルティング、AIソリューション事業、プロダクト開発・販売等
  • 市場:東証プライム(証券コード:3655)

今後のブレインパッドの成長戦略や株主還元方針の進展にも引き続き注目していきましょう。

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