ビットコインが12万ドル突破――米政府機関閉鎖と10月相場の追い風
ビットコイン、1カ月半ぶりの急騰――12万ドルを突破
2025年10月初旬、ビットコイン(BTC)の価格が史上初めて「12万ドル(約1770万円)」の大台を突破しました。これはおよそ1カ月半ぶりの高値更新となり、デジタル資産市場は大いに活気づいています。今回の高騰は、主に米国政府機関の閉鎖(シャットダウン)が引き金となったとみられ、マーケットの投資家心理に大きな影響を及ぼしました。
米政府機関閉鎖が引き金、逃避資金が仮想通貨市場へ集結
アメリカの政府機関一部閉鎖は、金融・経済政策への不安からリスク回避の動きを誘発し、従来型資産からビットコインなどの「非伝統的資産」への資金シフトが急速に進みました。金融不安と不透明感が高まると、中央集権的な金融システムに対するリスクヘッジとして、仮想通貨が注目される傾向があります。
特に今回の上昇では、「ビットコインはデジタルゴールド」との認識が浸透していることもあり、価格上昇への期待とともに大量の資金が仮想通貨市場へ流入しました。
「アップトーバー」――10月の季節要因と価格上昇の期待
毎年、10月は「アップトーバー(Uptober)」と呼ばれ、ビットコインを中心とした仮想通貨市場が上昇しやすい月として知られています。直近の9月にビットコインは5.16%の上昇を記録しており、10月もその勢いが継続。アナリストからは「アップトーバー効果」による強気相場の高まりが指摘されています。
実際、10月初旬には「12万ドル突破」のニュースとともに、さらなる価格上昇への期待が高まっています。市場分析では週足のトレンドが強気へ転換したことや、オプション市場でも強気サインが増えていることが報告されています。
トランプ政権の影響と規制環境――ビットコイン推進の追い風
2025年に入り、米国ではトランプ大統領が「仮想通貨大統領」を自称し、積極的にデジタル資産市場の支援政策を打ち出したことも大きな影響を及ぼしています。例えば米英間の関税交渉合意など国際経済政策の動向も、ビットコイン価格の上昇要因となりました。
アナリストのトニー・シカモア氏は「トランプ政権の仮想通貨重視政策や、機関投資家の需要増加が中長期での価格上昇に寄与している」と分析しています。さらに「12万5000ドルまでは難なく到達する可能性もある」という見解を示しています。
機関投資家の関心と資金流入
ビットコイン価格上昇の背景には、機関投資家による資金流入も顕著です。スタンダードチャータードなどの大手金融機関は「2025年末までにビットコイン価格が20万ドルに到達する可能性もある」との強気な予測を公表しており、市場の強気ムードをさらに高めています。
また、大手仮想通貨資産運用会社CoinSharesやGalaxy Digitalのリサーチ責任者も、「今後の上昇余地は大きい」とコメント。個人投資家だけでなく、プロ投資家や企業の長期保有志向が強くなっていることが、ボラティリティ(価格変動)はありつつも中長期トレンドを支えています。
「オプション市場」やテクニカル分析でも強気観測
2025年10月初旬、ビットコイン価格が12万ドルまで上昇した際、オプション市場のデータでも「上値が重くなりにくい、本格的な強気相場入り」を示唆する兆しが観測されています。トレーダーの間では「週足サイクルが上向きに転換し、今後さらに高値をうかがう展開」への期待感が広がっています。
また過去の価格推移を振り返ると、2024年秋から2025年初頭にかけて、8万ドルや10万ドルのラインを次々突破してきた経緯がありました。これは、長期的視点でのビットコインの価値向上、および既存金融システムと異なる強みがマーケットで評価されている証左ともいえるでしょう。
これからの注目ポイント
-
米政府機関閉鎖が長引いた場合の安全資産需要
政治リスクや金融政策の先行きに不確実性が高まれば、「資産の避難先」としてビットコインなどへの関心は今後も高まると見込まれます。 -
トランプ政権の具体策と規制の行方
仮想通貨保有を推奨する政策や、新たな規制緩和措置が導入されれば、ビットコインのみならず関連アルトコイン市場にも広範な影響が波及する可能性があります。 -
シーズナルトレンドと「アップトーバー」効果
毎年10月は価格が上昇しやすいという“Uptober現象”が業界に定着。このシーズナリー要素が価格上昇にどう貢献するか、今後も継続モニターされるでしょう。 -
機関投資家の動向と市場流動性
数兆ドル規模の機関マネーの流入が今後のボラティリティと価格形成にどのようなインパクトを与えるかが、継続して最大の注目点です。
ビットコインの社会的インパクトあらためて
ビットコインは2009年の誕生以来、数々の価格暴騰や下落を経験してきました。ですが、2025年10月に歴史的な12万ドル突破を果たしたことで、冒頭でも述べたように、従来型金融の枠組みを超えた存在感を一層強めています。資産クラスとしてのポジションが再評価され、個人・法人を問わず多くのアクターが本格的な投資対象としてビットコインを位置付ける時代が到来しています。
加えて、ビットコインを巡るエコシステムも拡大の一途をたどっています。分散型金融(DeFi)、ビットコインETFの上場、企業による財務戦略への組入れなど、今後も仮想通貨市場の動向には引き続き注視が必要です。
まとめ:12万ドル突破は時代の節目――今後も目が離せないビットコイン相場
今回の急騰は、米国の政治リスク、グローバルな資金移動、長期トレンドの妙味、個人投資家と機関投資家の期待――あらゆる要素が複合的に絡み合い実現しました。今後、ビットコインがどこまで高値を追うのか、「アップトーバー」現象が年間を通じて定着するのかは未定ですが、中長期で見れば「デジタルゴールド」としての地位確立がより一段と進むことでしょう。
今後の政局動向、規制・金融政策、グローバルな景気見通しなども含め、ビットコイン相場の方向性には引き続き注目が集まります。