ビットコイン市場の最新動向:12万ドル突破後の調整局面
2025年10月、暗号資産市場の中心的存在であるビットコインが再び投資家の注目を集めています。10月5日には一時12万5000ドルを超え、史上最高値を更新したビットコインですが、その後は12万ドル台前半での持ち合いとなり、一時的に12万ドルを割り込む場面も見られました。円建てでは1890万円という過去最高値を記録しており、日本の投資家にとっても大きな注目材料となっています。
現在、ビットコインは12万2000ドル付近で取引されており、短期的には調整局面にあるものの、市場関係者の多くは来週以降の上昇転換を予想しています。この見通しの背景には、複数のマクロ経済要因とテクニカル分析の両面からの根拠が存在します。
米政府機関の閉鎖リスクが資金流入を後押し
ビットコインの高値圏維持に大きく寄与しているのが、米政府機関の閉鎖リスクです。政治的不確実性が高まる中、従来の金融資産から避難する資金がビットコインなどのデジタル資産に流入する動きが加速しています。この現象は、ビットコインが「デジタルゴールド」としての役割を果たしつつあることを示唆しています。
加えて、金価格の高騰も重要なマクロ要因として挙げられます。安全資産として知られる金とビットコインの間には、リスク回避姿勢が強まる局面での資金の流れに相関性が見られることがあり、今回もそのパターンが確認されています。特に機関投資家の間では、ビットコインを資産分散の一環として組み入れる動きが定着しつつあります。
利下げ期待が市場心理を支える
米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待も、ビットコイン価格を支える重要な要素となっています。金利が低下すれば、投資家はより高いリターンを求めてリスク資産へと資金を振り向ける傾向があります。ビットコインはその代表的な投資先の一つとして、機関投資家からの買いが継続的に入っている状況です。
実際、10月初旬には過去最大規模のビットコインETFへの資金流入が記録されました。この記録的な流入は、機関投資家の本格的な参入を裏付けるものであり、価格を12万5000ドル超の高値へと押し上げる原動力となりました。
テクニカル分析から見る上昇トレンドの継続性
週足チャートを用いた長期的なテクニカル分析では、ビットコインは2022年末の底値215万6000円から明確な上昇トレンドを形成していることが確認されています。2025年10月7日時点で、価格は1876万2000円付近で推移しており、週足レベルでの上昇トレンドは依然として継続中です。
トレンド分析の観点から注目すべき点は、ビットコインが上昇トレンドと調整相場を繰り返しながらも、高値を更新し続けているという事実です。8月に付けた直近高値1825万円を上抜けたことで、今後も上値を追う展開が想定されています。
10月の季節性要因
歴史的なデータを見ると、10月はビットコインにとって非常に好調な月となる傾向があります。2013年以降の統計では、10月はビットコインにとって2番目にパフォーマンスの良い月であり、平均20.75%の上昇を記録しています。この季節性要因も、現在の下値の堅さを説明する要素の一つとなっています。
10月1日に約11万6500ドルでスタートしたビットコインは、月初から既に上昇基調を示していました。エコノミストのティモシー・ピーターソン氏による過去10年のデータをもとにしたシミュレーションによれば、10月末までにビットコインが14万ドルを超える確率は50%に達するとされています。現時点では12万2000ドル付近で推移しているため、14万ドルに到達するには約14.7%の上昇が必要となります。
調整局面の背景と短期的な値動き
10月5日に記録した史上最高値の後、ビットコインは調整局面に入っています。この調整の主な要因は、高値圏での短期筋による利食いです。急激な価格上昇の後には、利益確定のための売りが出やすくなるのは自然な市場の動きといえます。
現在のサポートラインは12万ドル付近とされており、この水準を維持できるかどうかが短期的な焦点となっています。仮に弱気の勢いが続けば、11万1961ドル付近の直近サポートを試す可能性も指摘されています。さらに売りが加速した場合、10万7557ドルまで下落するシナリオも想定されています。
上値の展望
一方で、需要が回復しマクロ経済の状況が改善すれば、ビットコインは11万5892ドルの抵抗を再び試し、11万9367ドルの水準に向けて押し上げられる可能性があります。アナリストの多くは、上値目標として12万8000ドル(約1945万円)を意識しており、下値は12万ドル(約1824万円)を想定しています。
重要なのは、調整局面においても押し目は買われやすい状況が続いているという点です。これは市場参加者の多くが、長期的な上昇トレンドに対する信頼を維持していることを示唆しています。
イーサリアムなどアルトコインへの波及効果
ビットコインの価格上昇が一服する局面では、イーサリアムをはじめとするアルトコインへの資金ローテーションが起こりやすいという特徴があります。現在、イーサリアムは4500ドル近辺で持ち合いとなっており、年内の資金フロー継続観測に加え、アナリストからの見通し上方修正も話題となっています。
これは暗号資産市場における典型的なパターンであり、ビットコインが主導する上昇相場の後には、アルトコイン全般に資金が流入する傾向があります。投資家にとっては、ビットコインだけでなく、暗号資産市場全体の動向に注目する必要がある局面といえるでしょう。
今後の展望と投資家への示唆
2025年10月のビットコイン市場は、史上最高値更新後の調整局面にありながらも、複数の好材料に支えられて高値圏を維持しています。米政府機関の閉鎖リスク、利下げ期待、過去最大規模のETF流入、そして10月の季節性要因という4つの柱が、現在の相場を下支えしているといえます。
テクニカル分析の観点からは、週足レベルでの上昇トレンドが継続中であり、長期的な上昇基調に変化は見られません。短期的には12万ドルのサポートを維持できるかが焦点となりますが、多くのアナリストは来週以降の上昇転換を予想しています。
ただし、ビットコインは過去にも市場予測やデータモデルに反して動くケースが多く、統計的に高い確率が示されていても、必ずしもパターン通りに推移するとは限りません。投資家は、マクロ経済の動向や規制環境の変化にも注意を払いながら、慎重な投資判断を行う必要があるでしょう。
円建てでは既に1890万円という過去最高値を更新しており、日本の投資家にとっても重要な転換点となっています。今後も押し目は買われやすい展開が想定される一方で、上値については段階的に試していく慎重な値動きとなる可能性が高いと考えられています。