ウォーレン・バフェット率いるバークシャーが新たな「アルファベット」株大量取得、その背景と市場の動き
2025年11月、 世界的著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社「バークシャー・ハサウェイ」が新たにグーグルの親会社「アルファベット」へ約43億ドル(約6700億円)規模の大型投資を行ったことが明らかになりました。これと同時に、長らくポートフォリオの中心に据えてきたアップル株の一部を売却し、戦略転換の大きな節目を迎えたことも米国証券取引委員会(SEC)の報告を通じて判明しています。
バークシャーがアルファベット株に新規投資、その規模と経緯
- バークシャー・ハサウェイは2025年第3四半期、議決権のあるアルファベットA株を約178万株、43億ドル相当で取得しました。この内容は11月14日提出の「フォーム13F」により公開されました。
- 「バフェットがついにグーグルへ投資」と世界中で話題を呼んでおり、バフェット氏自身も過去の年次株主総会などで、「アルファベットへの投資機会を逃したのは失敗だった」と述べていました。
- バークシャーは伝統的に、ハイテク分野の新規投資は慎重でしたが、今回のアルファベット株の大量取得は同社の戦略的転換と見なされています。
アップル株の売却とポートフォリオの変化
- バークシャーは自社最大の上場株保有銘柄であったアップル株(AAPL)の売却を続けており、第3四半期だけで前期比約15%減、過去2年では7割以上の保有縮小となりました。
- 2025年9月末時点でアップル株のポートフォリオ比率は2割強に低下し、第2位のアメリカン・エキスプレスとの差が縮まっています。
- アップルの株価は、このニュースやCEOの退任報道もあり一時2%下落しました。
なぜこのタイミングでアルファベットに投資?
- AIを巡る環境変化や技術進展が投資判断に影響した可能性が指摘されています。アルファベットはAIインフラ(データセンターなど)への巨額投資を進めており、そうした姿勢への信頼感が背景にあるとみられます。
- 一部では、クラフト・ハインツなど他銘柄の状況や、後継グレッグ・アベル体制への移行期であることも無関係ではないのでは、と推測されています。
- バークシャーがハイテク株へ新規大規模投資するのは決して頻繁ではなく、市場でも驚きをもって迎えられました。
市場と関連銘柄の動き
- アルファベット株価はこのニュースを好感して一時6%超上昇し、過去最高値を更新しました。
- 一方、売却が続くアップル株は値を下げる展開となりました。
- 投資家やマーケット参加者は引き続き、バークシャーのポートフォリオ変更を注視しており、「バフェット銘柄」への注目度は依然高いと言えます。
SOXLへの影響と今後注目すべきポイント
SOXLは、米国の半導体セクターに3倍レバレッジで連動するETF(Direxion Daily Semiconductor Bull 3X Shares)として日本の投資家にも人気が高まっています。今回のバークシャーによるアルファベット投資とアップル株売却は、単体の企業動向だけでなく、テクノロジー業界全体やSOXLのような半導体関連ETFの動向にも間接的な影響を及ぼす可能性があります。
- アルファベットはAIやクラウドサービス、データセンター分野で今後も半導体需要の拡大が見込まれており、半導体株やそれに連動するSOXLのパフォーマンスにも支援材料となる場合があります。
- バークシャーのような「保守的」とされる機関投資家までもがハイテク企業への投資を増やすことは、半導体・テクノロジーセクター全体の評価見直しと資金流入を後押しする可能性があります。
- 反面、アップル株売却による需給バランスや、グロース株全体の変動には引き続き注意が必要です。
今後の市場動向と投資戦略は?
今回のニュースは、市場の投資家心理や今後の資金流入先を占う上で極めて重要な事例と言えます。
- バフェット氏率いるバークシャーが伝統的産業からハイテク・AI関連へ目を向けていることは、多くの個人投資家や機関投資家にも影響を与えるでしょう。
- 特にAI、半導体産業、SOXLなどレバレッジETFの注目度は今後も高まりそうです。
- 一方で、個々の銘柄や分野ごとにリスクや変動要因も多いため、十分な分散投資や情報収集が不可欠です。
まとめ:バフェットの選択が意味するもの
今回のバークシャー・ハサウェイによるアルファベットへの投資は、ウォーレン・バフェット氏自身が過去に「投資し損ねた」と語るテーマへの再挑戦であり、保守派からも高評価の企業群へも新たな資本が流入していることが明らかになりました。一方で、ポートフォリオの中心銘柄だったアップルの売却は慎重な収益管理とリスク分散の現れとも言えます。各種テック関連株やSOXLにも関連する動きとして、今後の投資環境を考える上で大切な節目となるでしょう。



