ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイ、BYD株を全て売却 ― 中国電気自動車業界に波紋広がる
BYD株式の全売却、2025年秋の衝撃
2025年9月、世界的な投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米バークシャー・ハサウェイが、中国の電気自動車(EV)メーカー「比亜迪(BYD)」の株式を全て売却したというニュースが、中国・米国はもちろん、グローバルな金融・自動車産業界で大きな話題となっています。BYD(1211/HK)は、ここ数年で中国国内外のEV市場をリードする存在へと成長し、バフェット氏の長期保有も相まって投資家や一般消費者の間で大きな注目を集めてきました。そのバフェット氏が、ついにBYD株を完全に手放したとの報道に、多方面で波紋が広がっています。
BYD投資の経緯 ― 投資界のレジェンドとEV業界のスター
バークシャー・ハサウェイは2008年にBYD株へ初めて投資し、長きにわたり大株主の一角として名を連ねてきました。この投資は「投資の神様」とも称されるバフェット氏が新興市場およびグリーンテクノロジー分野に注目していることを象徴するものであり、BYDが電気自動車、バッテリー事業で急成長していく過程と重なります。
- 2008年 バークシャー・ハサウェイがBYDに初投資
- その後17年にわたり、保有比率は徐々に低下
- 2025年3月末 保有分を全て売却したと報道
特に中国市場においては「米国の巨頭が評価したEVメーカー」としてBYDのプレゼンスはさらに拡大し、ブランド価値の向上にも大きく寄与してきました。
売却決定の背景 ― なぜ今BYDを手放したのか?
今回の全株売却の理由について、正式な詳細は現時点で明らかにされていません。しかし、専門家や各種報道では以下の点が指摘されています。
- EV市場の競争激化と参入企業の増加
- 中国経済全体の減速懸念と政策リスク
- 利食い(利益確定)のタイミング到来
- ポートフォリオの再構築というバークシャーの方針
バークシャー・ハサウェイは2022年以降、断続的にBYD株の売却を進めており、売却の動きはマーケット関係者の間で注目されていました。2025年3月末をもって全ての持株を手放し、バフェット氏のBYD投資はひと区切りを迎えたことになります。
株価への影響と市場の反応
この売却発表を受け、BYD株価は大きく反落しています。バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイは、長期投資家として世界中で注目されている存在のため、「バフェット氏が持っていた銘柄を売却した」こと自体が、大きな心理的インパクトを与える形となりました。
- 株価は売却報道直後に大幅下落
- 一時パニック的な売りが加速
- BYDを含む中国EV関連株全体にも波及
中国本土や香港市場のメディア、SNSでもこのニュースは大きく取り上げられ、投資家だけでなくEVファンや一般のネットユーザーまでが様々な意見や分析を投稿しています。「神様の判断に従うべきだ」「この先、BYDは大丈夫なのか」「逆に今が買い時かも」など、多様な反応が見られます。
中国政府やBYDの対応
記事執筆時点では、BYDや中国当局から本件に対する公式コメントや声明は確認されていません。ただし、BYDの経営陣はすでに以前から外資株主の売却による株価変動リスクを認識しており、戦略的な提携強化や事業多角化などを積極的に進めてきました。BARCKSHIREの売却に伴う会社経営施策へのインパクトは限定的との見方が多い一方で、「国際資本の撤退」として中国メディアも注視しています。
今後のBYDと中国EV市場の展望
今回の出来事は、BYD自身、あるいは中国EV業界全体の将来性にマイナスの烙印を押すものではありません。グローバルなEVシフトの流れや、BYDの充実した製品/技術力、バッテリー事業の強みは依然として大きな競争力となると見られています。ただ、バフェット氏の「卒業」を受け、中国EV市場の成長性や成熟度、国際的な資本動向がどのように動くかは、一層の注目を集めることになります。
- 今後は自動運転やEVインフラ、海外展開の進展がカギ
- 他のグローバル投資家の動向や市場リスクも引き続き重要
- 今回の売却はBYD単独ではなく、中国EV業界の新しいステージへの転換点とも言える
世界の投資家と日本の視点
バフェット氏の動向は世界中の個人・機関投資家から注視されていますが、とりわけ日本においても本ニュースは大きな波紋を呼びました。BYDは日本市場でも電動バス輸出や乗用車販売を本格化させており、日本企業や消費者との接点も増えています。そのため、今後の株主構成変化と事業戦略の変化は、日本の自動車・部品業界、バッテリー産業にも無視できない影響を及ぼすことが予想されます。
- BYDの動向とEV関連企業への投資判断材料として要注目
- 今後の株主構成や海外事業戦略にも着目が必要
まとめ – バフェット“卒業”が示すもの
ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイによるBYD株売却は、中国EV産業の成長と国際投資戦略の両方を象徴する出来事となりました。バフェット氏の一手が与える市場インパクトは非常に大きいものですが、BYD自身の持つ市場基盤と開発力はなお健在。今回の出来事は、BYDだけでなくグローバルEV市場の新たな時代の幕開けとも言えるでしょう。