ベネッセとコクヨが解き明かした「大人の学び」を続ける3つの秘訣とは
社会人になってから「勉強を続けたい」「スキルアップしたい」と思いながらも、なかなか学びを習慣にできない……。そんな悩みを持つ大人に向けて、教育サービス大手のベネッセコーポレーションと文具メーカーのコクヨが、数万件におよぶ利用データを共同で分析し、「大人の学びを続けるための秘訣」を発表しました。
分析の結果見えてきたのは、学びを習慣化するうえでとても大切な3つのポイントです。それが、
- 学ぶ理由を明確化すること
- 最初の6日間を集中的に続けること
- 朝型学習で時間を確保すること
どれも、特別な才能や根性が必要なわけではなく、ちょっとした工夫で今日からでも取り入れられるものばかりです。本記事では、この共同分析の背景と、明らかになった3つの秘訣、そして日常生活での活かし方を、やさしく解説していきます。
なぜ今、「大人の学びの習慣化」が注目されているのか
今回の分析は、人生100年時代と言われるなかで、社会人の「学び続けたい」という思いを後押しするために行われました。テクノロジーの進化やビジネスの変化が激しい現代では、一度身につけた知識だけでは追いつけない場面が増えています。そのため、「働きながら学び続けること」が、キャリアの安定や自己実現のためにますます重要になっています。
しかし現実には、多くの人が次のような壁にぶつかっています。
- 仕事や家事で忙しく、学ぶ時間がなかなか取れない
- 学び始めても、数日で挫折してしまう
- オンライン講座を登録したまま、視聴が続かない
こうした課題に対して、コクヨはIoT文具「大人のやる気ペン」、ベネッセはオンライン学習プラットフォーム「Udemy(ユーデミー)」などを通じて、社会人の学びをサポートしてきました。そして2025年7月から、両社は共同プロジェクトとして、社会人の学びを後押しする取り組みを進めています。
今回の発表は、その共同プロジェクトの一環として、両社サービスの数万件に及ぶ利用データを掛け合わせて分析し、「学習が続く人」に共通する傾向を探ったものです。
データで判明!大人の学びを続ける3つの要因
共同分析の結果、「学習を習慣化できている人」には、次の3つの共通点があることが分かりました。
- 要因1:学ぶ理由を明確化する
- 要因2:最初の6日間が学習習慣の形成を後押しする
- 要因3:朝型学習で一日のはじめに時間を確保する
いずれも、感覚的なイメージではなく、実際の利用データに基づいて導き出されたものです。では、それぞれの要因について、少し詳しく見ていきましょう。
要因1:学ぶ理由を明確化する
最初に挙げられたのは、「なぜ学ぶのか」という理由を自分の言葉で明確にしているかどうかです。コクヨの「大人のやる気ペン」の利用データを分析したところ、
・学ぶ理由をしっかり書き込んだ人は、そうでない人に比べて、連続して学習した日数が長い
という傾向が確認されました。
これは、ベネッセが子どもの学習支援を通して長年蓄積してきた知見とも一致しています。たとえば、
- 「いつまでにドリルを終わらせる」
- 「次のテストで◯点以上を目指す」
といった具体的な目標を持つ子どもほど、学習が続きやすいことはよく知られています。今回の分析から、それと同じことが大人の学びにも当てはまることが示されたかたちです。
特に大人の場合、仕事や家庭など、日々やるべきことがたくさんあり、はっきりした目的がない行動にはなかなか時間を割きづらい傾向があります。そのため、
- 「昇進のために、今年中にこの資格を取りたい」
- 「3年後のキャリアチェンジに備えて、今からプログラミングに慣れておきたい」
- 「海外の人と仕事でやり取りできるように、英語のメールをスムーズに書けるようになりたい」
といったように、自分の人生や仕事と結びつけた具体的な理由や目標を言語化することが、学習の継続に大きく貢献すると考えられます。
分析を行ったベネッセとコクヨも、「主体的かつ具体的な学習目標を持つこと」が、学びを続けるうえで有効だと見解を示しています。
要因2:最初の6日間が学習習慣の形成を後押しする
2つ目の重要なポイントは、学習を始めてから最初の「6日間」です。ベネッセの「Udemy」とコクヨの「大人のやる気ペン」の両方のデータを分析したところ、
・利用開始直後に、何日連続で学習を行ったか
が、その後どれくらい学習を続けられるかに強く関係していることが分かりました。
特に、2〜6日間連続して学習した人ほど、その後30日間での学習日数が右肩上がりに増えていく傾向が確認されています。このことから、
・新しい学びを始めた最初の「6日間」は、習慣として定着させるためのブースト期間
だと位置づけられています。
ここで大切なのは、「長時間やる」ことよりも、途切れさせずに続けることです。たとえ1日15分でも、6日間連続して取り組むことで、
- 自分の生活の中に「学ぶ時間」が組み込まれる
- 「せっかく続いているから、もう少し続けよう」という気持ちが生まれる
といった、心理的な変化が起きやすくなります。
分析を行った両社も、「最初の6日間を意識的に続けること」が、新たな学習を「自分事」としてとらえ、習慣として根づかせるうえで重要だと指摘しています。
要因3:朝型学習で一日のはじめに時間を確保
3つ目の要因は、「いつ学ぶか」という時間帯に関するものです。分析では、
・学習時間を「朝(午前中)」に設定しているユーザーは、夜型や不定期に学習するユーザーよりも、学習日数が多い
という傾向が確認されました。
日中は仕事や家事で忙しく、夜は一日の疲れがどっと出る時間帯です。そのため、
- 「今日は残業で疲れたから、勉強は明日にしよう」
- 「子どもを寝かしつけたら自分も眠くなってしまった」
といった形で、後回しにしてしまうことも少なくありません。
一方で、朝は比較的予定に左右されにくく、頭もスッキリしている時間帯です。分析結果からも、この「朝の静かな時間」を活用して学習している人ほど、結果として学習日数が多くなっていることが示されています。
ベネッセとコクヨは、この傾向について、
- 日中や夜に比べて、朝はタスクに追われにくい
- 集中しやすい環境を作りやすく、学びに向き合いやすい
といった点が、「朝型学習」が継続を後押しする理由だと考えられるとしています。
「文具」と「オンライン学習」から見えた共通の答え
今回の分析が興味深いのは、全く性質の異なる2つのサービスから得られたデータが、同じ3つのポイントで一致したという点です。
- コクヨ:IoT文具「大人のやる気ペン」のデータ
- ベネッセ:社会人向けオンライン学習プラットフォーム「Udemy」の受講データ
これらのデータを組み合わせて分析した結果、「学ぶ理由の明確化」「最初の6日間」「朝型学習」という3つの鍵が共通して浮かび上がったことに、両社は大きな手応えを感じているとしています。
ベネッセもコクヨも、大人の学びを支える手段は異なります。ひとつは文具・ツール、もうひとつはオンラインコンテンツという違いがあります。しかし、現実に「続いている人」の行動データを丹念に見ていくと、
- 目的をはっきり言葉にしていること
- 最初の数日を大事にしていること
- 朝の時間をうまく使っていること
という共通パターンが見えてきたのです。
この結果について、両社は「学びたいのに続かない」という大人の共通の悩みに、データに基づいた具体的なヒントを提示できたとコメントしています。
今日から試せる「学びを習慣化する」ための実践ポイント
今回の分析結果は、読者の日々の学び方を見直すうえでも、とても参考になる内容です。ここからは、発表された3つの要因を、日常生活に取り入れるための具体的な工夫として整理してみます。
1. ノートやアプリに「学ぶ理由」を一文で書いてみる
- 学びを始める前に、「なぜこの学びが自分に必要なのか」を、ノートや手帳、学習アプリのメモ欄に書き出してみましょう。
- 「なんとなく不安だから」ではなく、できるだけ具体的に書くことがポイントです。
- 学習に疲れたときや、やる気が落ちたときに、その一文を読み返すことで、気持ちを立て直しやすくなります。
2. 学び始めの「6日間」をあらかじめカレンダーに確保する
- 新しい講座や参考書を始めるときは、最初の6日分の学習予定を先にカレンダーに書き込むのがおすすめです。
- 1日あたりの時間は短くても構いません。「6日間途切れさせないこと」を目標にしてみましょう。
- どうしても難しい日は、5分だけ動画を視聴する、1ページだけ読むなど、「とにかく続けた」という実績を作ることが大切です。
3. 朝に15〜30分だけでも「自分の学び時間」を固定する
- 出勤前や家事の前など、一日のスタート前の時間に、学びの時間をあててみましょう。
- 毎日同じ時間帯に設定することで、「この時間になったら勉強する」というリズムが身につきやすくなります。
- 最初は15分からでも問題ありません。無理なく続けられる範囲で始めることが、長続きのコツです。
ベネッセとコクヨが目指す「大人の学び」を支える社会
ベネッセとコクヨは、これまでもそれぞれの強みを活かして、大人の学びを支えるサービスを提供してきました。
- コクヨ:学習のモチベーションを可視化するIoT文具「大人のやる気ペン」
- ベネッセ:ビジネススキルやITスキルなどを学べるオンラインプラットフォーム「Udemy」
2025年から始まった共同プロジェクトは、そうした両社のリソースを組み合わせて、「学び続けたい社会人」を応援する取り組みとして展開されています。
今回公表された分析結果は、その第3弾として、学びを習慣にするためのヒントを多くの人に届けるものです。文具とデジタル学習コンテンツという異なるアプローチから得たデータが、同じ3つの秘訣で一致したことは、今後のサービス開発やサポートにも活かされていくと見られます。
忙しい日々のなかで、「いつか勉強しよう」と思いながら時間だけが過ぎていくこともあります。そんなときこそ、
- なぜ学びたいのかを言葉にしてみる
- 最初の6日間だけ本気で続けてみる
- 朝の静かな時間を少しだけ学びにあててみる
といった小さな一歩から始めてみるのも良いかもしれません。ベネッセとコクヨの分析は、そんな一歩を後押ししてくれる、心強いデータと言えそうです。



