ベイシア、岐阜「スーパー三心」を買収――中部地方に広がる新たな展開

ベイシアと三心、地域をつなぐ新たなパートナーシップ

スーパー業界大手の株式会社ベイシア(本社:群馬県前橋市)は、2025年10月31日付で岐阜県のスーパーマーケット・三心(株式会社三心、本社:岐阜県岐阜市)の発行済み全株式を取得し、三心をベイシアグループの一員に加えることを発表しました。これにより、中部地方におけるベイシアの勢力図は一気に拡大します。この買収は、今後の両社と地域社会に大きな変化をもたらすものです。
三心は岐阜県および愛知県にて、地域の日常に密着した食品や生活雑貨を提供してきた老舗スーパーです。長年地元に親しまれてきた三心と、全国規模の店舗運営ノウハウを持つベイシアが手を結ぶことで、より良質な暮らしを地域に届けることが期待されています。

買収の概要とスケジュール

  • 今回の買収は、株式譲渡契約という形で締結されました。
  • 発表は2025年9月25日、実際のグループ化は2025年10月31日を予定しています。
  • 三心が保有する全店舗および流通網はそのまま存続し、今後は順次ベイシアのマーチャンダイジング(MD)を導入、サービスや品揃えをさらに強化していきます。
  • 2026年夏ごろから、三心各店舗の改装も実施される予定です。

なぜ今、買収なのか――背景にある両社の戦略

ベイシアは創業以来「For the Customers(すべてはお客様のために)」を理念に掲げ、「より良いものをより安く」地域に根ざした経営を続けています。一方、三心も長年にわたり、地元の人々の暮らしに寄り添う営業姿勢を貫いてきました。近年では、少子高齢化や人口減少、消費者のニーズ多様化により、小売業界全体が競争の激化やサービスの高度化に直面しています。

  • 地域密着と生活密着が強みに――ベイシアと三心が手を組むことで、地域ごとの特性や消費者ニーズに即した商品・サービスをより一層深掘りし、実現できます。
  • 広域ネットワークと調達力の活用――ベイシアの全国的な流通・商品開発力に、三心の地域密着型運営のノウハウが融合。これにより、高品質・低価格やベイシア独自のPB(プライベートブランド)商品の一層の展開が可能となります。
  • デジタル技術・人財育成の加速――ベイシアはデジタル技術活用、人材教育にも注力しており、この知見が三心にも共有されることで、今後の店舗運営のレベルアップが見込まれます。

ベイシアの経営方針と今後のビジョン

ベイシアは「すべてはお客様のために」を合言葉に、徹底した鮮度、品質へのこだわりや、PB商品の開発に注力しています。中部地方での事業拡大は、群馬を拠点とするベイシアにとって新たな市場進出の大きな一歩です。

  • より地域に密着した企業へ:今回の三心買収により、中部の文化やトレンド、消費者の声を新たな商品企画やサービスに反映し、店舗ごとの個性を際立たせる方針です。
  • 産地直送や地場産品の強化:ベイシアは既に地域生産者との連携にも注力しています。今回の買収を通じて、三心が持つ地元とのつながりや既存ネットワーク資産をさらに活かし、地場の新鮮な食材や地元企業とのコラボ商品開発を強化していきます。
  • 多様な買い物体験の提供:ベイシアは「ショッピングの楽しさ」「お客様の快適さや利便性」を追求してきました。これからは、三心各店でも買い物体験の質向上を目指し、店舗環境や接客もさらにレベルアップします。

店舗改装と進むベイシアのMD導入

ベイシアグループ入り後、三心の店舗は順次改装され、ベイシア標準の売り場設計や商品ラインナップへ切り替わります。これにより、ベイシア独自の低価格・高品質なPB商品、健康志向商品、旬の商品が揃い、地域住民がより豊かな選択肢の中から買い物を楽しめるようになります。

また、店頭サービス等も強化されることで、これまでの三心ファンと新規顧客の双方の満足度向上を目指します。改装は2026年夏ごろから各店舗で段階的に始まるため、利用者は新たな店舗体験に期待が高まっています。

岐阜・愛知地域での小売市場の変化と今後

三心とベイシアの提携により、岐阜・愛知周辺の小売市場は新たな競争軸が生まれます。他スーパーやディスカウントストアとの価格競争だけでなく、「地域の暮らしに密着した価値」の提供がますます重要になります。

  • 地域活性化への影響:両社の連携が、これまで希薄だった地域ごとの「特色」や「売り場」を強化し、地元の生産者や中小企業との結びつきを強めるきっかけになると期待されています。
  • 雇用・地域経済への波及効果:店舗のリニューアルや商品開発の拡大は、雇用創出や地域金融機関、取引先企業との新たなビジネス拡大にも直結します。
  • 消費者への還元:品質向上、低価格、地域ならではの商品展開といった恩恵が広がることで、生活の質の向上が期待できます。

業界全体へのインパクト~M&A動向の中で

今回の買収は、小売業界におけるM&A(企業の合併・買収)の活発化を象徴するケースとも言えます。競争環境が厳しさを増す中、生き残りや発展のためには地域に根ざした特色と大手チェーンの資源・ノウハウを結合する動きが加速しています。今後もこのような地域の中小企業と大手チェーンの連携は増えると見込まれます。

  • M&A成功のポイント:単なるチェーン化ではなく、地元店ごとの強みや雰囲気・文化を損なわずに新しい価値をいかに融合できるかが鍵です。
  • 今後の展開:ベイシアは今後、東海エリアでの知名度やブランドイメージ定着を目指し、各地の生産者・消費者とともに地域を盛り上げていく方針です。

利用者・地元住民の声

地元の三心を昔から利用しているお客様からは「長年親しんできたお店がこの先どう変わるのか楽しみ」といった期待の声が寄せられる一方、「地元の特色やサービスが残るのか少し心配」といった声も聞かれています。しかし、ベイシアはこうした地域住民の声を積極的に取り入れ、「住民の力になれる存在」としてさらに地域との距離を縮めようとしています。

まとめ:中部地方の新しいスーパー像へ

ベイシアと三心の提携は、地域密着×大手チェーンの新しいモデルを体現する重要な一歩です。両社の強みを最大限に活かし、三心の店頭に新たな風を吹き込むことで、岐阜・愛知を中心に暮らしの質や地域活性化がさらに進むことが期待されます。

今後、ベイシアグループとして生まれ変わる「三心」が、地元の人々にどんな価値をもたらすのか、業界でも注目されています。買い物の楽しさと便利さ、そして地域に愛される存在としての成長に、引き続き期待が高まることでしょう。

参考元