豪ドル相場が上昇、RBAの強気姿勢と米ドル弱含みが支援
2025年12月2日、外国為替市場ではオーストラリアドル（AUD）が注目を集めています。AUD/USD相場は0.6554まで上昇し、前回セッションから0.05%上昇しました。過去1か月間でオーストラリアドルは0.14%上昇し、過去12か月間では1.22%の上昇を記録しています。
豪ドル相場の上昇を支える主な要因は、オーストラリア準備銀行（RBA）の強気な政策姿勢と、米ドルの弱含みです。市場では、強固な経済データを背景にRBAによる利上げの期待が高まっており、これが豪ドル買いの動きを加速させています。
インフレ圧力が豪ドル買いを加速
オーストラリアのインフレデータが市場予想を上回ったことが、豪ドル相場の上昇に拍車をかけました。10月のヘッドラインインフレ率は3.8%に加速し、7か月ぶりの最高値を記録しています。この予想外の物価上昇により、RBAが実際にはより規制的な金融政策を採用しているという見方が強まりました。
豪ドル/円相場では、2025年12月2日時点で101円96銭前後で推移しており、豪ドル高・円安の状況が続いています。月足の統計データによると、12月は豪ドル/円で円安の傾向が強く、特に11日と26日に円安になる確率が高いという市場のアノマリーも注目されています。
重要な経済指標が相場を左右
市場の注目は、本週に発表予定の第3四半期GDPに移っています。豪州経済の成長が予想を上回る場合、2026年初頭の利上げに関する臆測がさらに強まる可能性があります。同時に、米連邦準備制度理事会（FRB）の動向も重要な要素となっており、米国の利下げ期待が後退したことで、ドル買いが一巡しつつあります。
足元では、市場が次週の連邦政策会合で米国が25ベーシスポイントの利下げを行う確率を87%と価格設定しており、この点がドル相場に下押し圧力をかけています。
豪ドルの技術的な位置付け
豪ドル相場は2週間ぶりの高値を記録した後、0.654ドル前後で安定しています。オーダーブック分析によると、101円付近の買い注文が特に厚く、この水準が重要なサポートレベルとして機能しています。
一方、上値余地については制限的との見方もあり、技術的な抵抗線が存在する可能性があります。ただし、強固な経済データとRBAの強硬な姿勢が続く限り、豪ドルは底堅い動きが予想されます。
2025年12月の為替市場のアノマリー
12月の為替市場には、統計的に確認されたいくつかのパターンがあります。ニュージーランドドル高とスイスフラン高が過去20年間で12月に顕著な傾向を示しており、市場参加者はこれらのアノマリーに注視しています。
また、年末に近づくにつれて市場参加者が減少し、取引環境が不安定になる可能性があります。特にクリスマス休場の時期が近づくと、流動性が低下し、ボラティリティが上昇する傾向があります。
RBAと日銀の金融政策が重要
オーストラリアドル/円相場の今後の動きを予測する上で、オーストラリア準備銀行と日本銀行の金融政策が引き続き重要な要素となります。RBAは2025年を通じて政策金利を引き下げており、9月以降は据え置いています。一方、日銀の政策動向も円相場に大きな影響を与え続けています。
投資家が注視する次のイベント
今週のオーストラリア第3四半期GDP発表が、豪ドル相場の方向性を決める重要なイベントとなりそうです。同時に、米国の11月ADP雇用統計や非製造業景況指数といった経済指標も発表される予定であり、これらのデータが市場の予想に対してどのように反応するかが注目されます。
豪ドルは2週間ぶりの高値を更新した後、強固なサポートを背景に底堅い値動きが続いています。強気なテクニカルブレイクが確認される一方で、複数のイベントリスク前に相場が調整を余儀なくされる可能性もあります。
市場の今後の見方
今月の豪ドルドル相場は、月始値0.654から最高0.679、最低0.648といった値幅での推移が予想されており、平均0.661、月末0.661との見通しが示されています。これは約1.1%の変動を示唆しており、相場が堅調な基調を保ちながらも適度なボラティリティが存在することを示しています。
投資家にとっては、RBAの強気姿勢を背景とした豪ドル買いの流れが続く可能性がある一方で、米ドル相場の動向やグローバル経済指標に対する警戒心も必要です。特に年末が近づくにつれて、市場参加者の減少に伴う取引環境の変化には注意が必要となります。
豪ドル相場は、強固なファンダメンタルズとテクニカルな強さが組み合わさった形で推移しており、短期的には上昇基調が続く可能性が高いと言えるでしょう。ただし、複数の重要なイベントが控えており、これらがどのような結果になるかによって、相場の方向性は大きく変わる可能性があります。
