豪ドル相場が6日間のラリーを継続、豪GDP発表とUS経済統計を控えて注視される
2025年11月30日現在、豪ドル相場が注目を集めています。AUD/USD(豪ドル/米ドル)は6日間にわたるラリーを継続しており、間近に控える豪州GDP発表と米国の経済統計の発表を前に、市場参加者の関心が高まっています。
豪ドルが堅調に推移、複数の要因が支援
豪ドルは現在、複数の好材料に支えられて堅調な値動きを見せています。特に注目されるのは、日本とオーストラリアの金利差の拡大です。日本銀行の金融政策による円売り圧力が継続している一方で、オーストラリア準備銀行(RBA)は比較的高めの政策金利を維持しており、両国の金利差が豪ドル買いを促進しています。
また、豪ドル/円相場では100円台を維持する局面が続いているとされており、この背景にはオーストラリア経済の回復基調があります。2025年第2四半期以降、豪州のGDP成長が続く中、国内の景気・雇用・消費がしっかりとした回復を見せており、RBAが利下げに消極的な姿勢を保っていることが豪ドル相場を支えています。
資源価格と中国経済の影響が重要に
豪ドルの値動きを左右する重要な要因として、資源価格の動向が挙げられます。鉄鉱石や石炭などの主要資源の国際価格が高止まりもしくは上昇することで、豪州経済や通貨に追い風が吹いています。
さらに注視すべき点は、中国経済の動向です。オーストラリアの最大の貿易相手国である中国の経済成長が続くと、豪州の鉄鉱石や石炭の需要が増え、豪ドルが買われやすくなります。反対に、中国経済に後退の兆しが見られた場合には、豪ドルの下落につながる可能性があります。
豪CPI発表とRBAの利上げ可能性が焦点
今週の重要なイベントとして、豪州10月消費者物価指数(CPI)の発表が控えられています。市場では豪CPIが高止まりすることが見込まれており、11月29日のニュース報道では「豪CPIが加速し、RBAは利上げへ転じる可能性がある」という観測も出ています。
これまでRBAは2025年のポジティブなインフレトレンドに対応するため政策金利を引き下げてきましたが、最近のインフレ兆候によっては政策転換の可能性も浮上しています。豪インフレが予想以上に加速した場合、RBAは利上げを検討する可能性があり、これは豪ドルをさらに支援する要因となるでしょう。
米国経済統計と利下げ観測の変化
一方、米国経済の動向も豪ドル相場に大きな影響を与えています。市場では米国の12月利下げ観測が後退しているという報告があります。FOMC議事要旨がタカ派的な内容となったことで、12月の米利下げ期待が剥落し、ドル買い圧力が高まっています。
しかし、今週発表される予定の米国雇用統計やその他の経済指標の結果次第では、この見方が変わる可能性があります。労働市場が予想以上に軟化した場合には、12月利下げ観測が再び強まり、米ドル売り・豪ドル買いの圧力が高まるシナリオも考えられます。
短期的なレンジ相場で注目される100円台定着
豪ドル/円相場については、週間の予想レンジが99.50~102.50円とされており、100円台への定着が注視されています。市場では101円台後半に買い注文が特に厚いという観測もあり、この水準が重要なサポートレベルとなっています。
今後の相場展開を考える上で重要な要因は以下の通りです:
- 豪10月CPI発表の結果とRBAの今後の金融政策スタンス
- 米国経済指標の発表と12月利下げ観測の行方
- 米ドル/円相場の推移がもたらす豪ドル/円への波及効果
- 米中貿易摩擦や中国経済の動向
- グローバル株式市場の調整がリスク資産である豪ドルに与える影響
投資家の警戒感は継続
こうした中、投資家は豪CPIデータと米国データの「ダブルヘッダー」に備えながら、豪ドルポジションを慎重に管理しています。短期的には堅調な値動きが続く可能性がありますが、今週発表される主要経済指標の結果によっては、相場の方向性が大きく変わる可能性も残されています。
豪ドル相場は、日本とオーストラリアの金利差、米ドルの動向、中国経済の状況、資源価格の変動が大きく影響することが確認されており、これらの要因を総合的に判断する必要があります。特に今週は、豪CPI発表と米国経済統計のダブルヘッダーが豪ドルの今後の方向性を大きく左右する重要な局面となりそうです。
