アシックス、2025年12月期第3四半期決算発表――大幅な増収増益と最高益予想の上方修正

2025年11月12日、スポーツ用品大手の アシックス(証券コード:7936)は、2025年12月期第3四半期(累計)決算を発表しました。連結経常利益は前年同期比41.0%増の1245億円となり、この数値は過去最高を更新する勢いです。好調な業績を受けて、通期の経常利益予想も従来の1310億円から1350億円へ3.1%の上方修正。これにより、4期連続での最高益更新予想がさらに上乗せされる形となりました。

純利益も大幅増―41%増の900億円へ上方修正

同社が発表した2025年12月期の連結純利益は、前期比41%増の900億円になる見通しです。従来予想(870億円)からさらに上方修正されており、史上最高益を達成する見込みとなっています。純利益の増加には、在庫管理の強化や原材料価格上昇への販売価格転嫁など、粗利益率の改善が背景にあります。

主力製品が好調―シューズ需要が牽引

アシックスの好調な業績の根底には、シューズ需要の堅調な伸びがあります。特に、街履きスニーカーを中心とした「スポーツスタイル」カテゴリーやブランド「オニツカタイガー」が国内外で好調です。こうした商品群が、売上拡大と利益率向上に大きく貢献していると会社側は分析しています。

地域別・商品カテゴリー別の売上動向

売上高については前年同期比18%増の8000億円

損益状況詳細と四半期業績の推移

  • 2025年12月期第3四半期(1-9月)連結経常利益:1245億円(前年同期比41.0%増)
  • 2025年12月期下期(7-12月期)予想連結経常利益:563億円(前年同期比62.1%増)
  • 通期予想連結経常利益:1350億円(前期は926億円、増益率45.8%増)
  • 通期予想連結純利益:900億円(前期比41%増)

このように、四半期ごとの業績でも順調な増益傾向が続いています。特に直近3か月(7-9月期)の連結経常利益は50.6%増の458億円、売上営業利益率は前年同期17.7%から20.9%に上昇しました。

株主還元の動向―配当も増額

業績好調を背景に、修正1株益や1株配当も増額予想となりました。2025年12月期の予想では、修正1株益125.9円・1株配当28円と、いずれも前年から大幅な増加となる見通しです。株主に対する還元姿勢の強化も、投資家から高い評価を受けています。

決算の主なポイントとアシックスの経営戦略

売上高、営業利益、経常利益、純利益の推移

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 修正 1株益(円) 配当(円)
2023.12 570,463 54,215 50,670 35,272 48.1 16.25
2024.12 678,526 100,111 92,601 63,806 88.3 20
2025.12(予想) 800,000 140,000 135,000 90,000 125.9 28

この表の通り、すべての主要業績項目で前年を大きく上回る予想となっています。売上高も営業利益・経常利益・純利益も右肩上がりです。
アシックスの市場成長力と収益力の強化がうかがえます。

業績好調の理由

  • シューズ需要の拡大(スポーツスタイル・オニツカタイガーなどの好調)
  • 在庫管理の強化によるロス減少と利益率向上
  • 原材料高への価格転嫁が奏功
  • 販路の拡充、デジタルマーケティングの推進
  • 世界的な健康志向の高まりやスポーツ人口の増加

アシックスは、厳しい市場環境の中でも、供給体制の最適化やリスク管理強化を進めることで安定した成長を実現しています。

他社との比較

同業他社では、ミズノゴールドウインヨネックスなどが業績好調とされる中、アシックスは一歩抜きん出た増益率を記録しています。また、都市型スニーカー需要やプレミアムラインの成長がこれらの競合との差別化要因となっています。

投資家・市場への影響と今後の展望

株価・投資家評価の動向

今回の決算発表及び上方修正を受けて、高い増益率や株主還元の姿勢が市場でも好感され、株価上昇が見込まれる流れです。IFISコンセンサス(市場予想)も1.6%上回る水準と、投資家の期待をさらに上回る結果となっています。

今後の経営課題と成長へのメッセージ

  • 原材料高や物流コスト上昇などの外部環境変化への対応
  • ブランド力強化とグローバル戦略の加速
  • 新しいスポーツライフスタイルの提案/デジタルシフトの推進
  • サステナビリティ経営への取り組み拡大

アシックスは、「健全な身体づくり」という基本理念に基づき、引き続き企業成長と社会貢献の両立を目指します。製品開発力やグローバル展開を活かし、消費者に寄り添った付加価値の高い商品提案を続けていく方針です。

まとめ

アシックスの2025年12月期決算は、過去最高益更新大幅な増益・増収が際立つ内容となりました。
シューズ需要の高まりと経営施策の巧みな実行力が、収益構造の抜本的な強化を実現しています。
今後もスポーツ用品市場の成長を牽引する存在として、国内外でさらなる企業価値向上が期待されます。

関連情報

  • 今回の決算短信や説明資料は アシックスコーポレートサイト で閲覧可能です。
  • 株探ニュースや神戸経済ニュースなどでも詳細な発表内容が紹介されています。

参考元