住宅ローン減税、面積要件緩和へ――2026年以降の住宅購入に新たな追い風

住宅ローン減税とは?

住宅ローン減税(住宅ローン控除)とは、住宅を取得するためにローンを利用した人を対象に、毎年の所得税や住民税が控除される制度です。マイホームの購入やリフォームなど住宅取得をサポートすることを目的とし、長い間多くの人に活用されてきました。これまでも時代のニーズや経済情勢に応じて、制度の条件や控除額などがたびたび見直されています。

2025年末までの住宅ローン減税の内容

  • 適用期間は2025年末まで延長(2022年の税制改正)
  • 新築・中古ともに対象。ただし、借入限度額や控除期間、床面積要件などにより条件が異なる
  • 新築住宅の場合、原則床面積50㎡以上が適用要件。ただし、所得1,000万円以下なら40㎡以上でも適用
  • 中古住宅の場合も一定の要件を満たすと適用可能
  • 環境性能が高い住宅(長期優良住宅やZEHなど)は借入限度額や控除額が優遇

控除率はかつて1%でしたが、近年の低金利環境などを反映し0.7%に引き下げられています。また、省エネルギー基準を満たさない住宅は新規適用の対象外となっています。

政府・与党が検討中の「面積要件緩和」とは?

2025年12月末で期限を迎える住宅ローン減税ですが、政府与党は政策の継続とともに物件の床面積要件をさらに緩和する方向で検討中です。これにより、より少ない面積の住宅にも減税が適用できるようになり、多様なライフスタイルや都市部の住宅事情への対応が期待されています。

  • 現行制度では、合計所得1,000万円以下の場合「床面積40㎡以上」で新築住宅の減税対象に(2025年末まで適用)
  • 2026年以降、この要件をさらに緩和し、「より狭い住宅」も減税対象とする案が検討されている
  • 引き続き省エネ基準や環境性能への配慮、若年層や子育て世帯への優遇も課題

床面積要件の緩和は、「都市部の地価高騰で広い住宅が難しい」「単身・DINKS(子どものいない共働き夫婦)など多様な世帯形態が増えている」といった時代背景を踏まえたものです。これによって、これまで住宅ローン減税の対象外だった人々にもくまなく恩恵が広がる可能性があります。

制度改正の検討背景:住宅市場・需要喚起の重要性

  • 少子高齢化に伴う住宅需要の変化
  • 都市部での住環境制約や住まいの多様化
  • 省エネ住宅など環境対応住宅の普及促進
  • 金利低下を背景とした住宅取得支援の重要性
  • 中古住宅やリフォーム市場の活性化

これらを背景に「住宅取得のハードル」をできる限り下げ、住み替えや買い替えも含めた住環境の向上を政府・与党は目指しています。

これまでの主な改正ポイントまとめ

  • 床面積要件…原則50㎡以上→所得等により40㎡以上まで緩和
  • 控除率…1%→0.7%(2022年改正)
  • 対象住宅の限定…省エネ・環境対応住宅中心
  • 借入限度額…住宅区分や世帯属性(子育て・若者世帯など)により優遇枠設置
  • 控除期間…新築で原則13年間(既存住宅は10年)、省エネ基準により異なる

住宅ローン減税を受けるための基本要件

  • 取得した住宅に居住すること(引き渡し6か月以内の入居)
  • 控除を受けたい年の12月31日時点まで引き続き居住していること
  • 合計所得金額2,000万円以下
    • 床面積40㎡以上50㎡未満の場合は、合計所得金額1,000万円以下
  • 新築・買取再販の場合、建築確認日や入居期限に注意
  • 省エネ基準適合や耐震基準適合の証明書類などが必要

細かな条件や必要書類は、国土交通省や税務署の公式サイト等で必ず確認しましょう。

2026年以降の課題と展望

  • 物件価格の上昇や金利動向と制度のバランス
  • 人口減少社会に対応した住宅政策の最適化
  • 環境性能アップ・カーボンニュートラル政策との整合性
  • 住宅ローンや住まい方の多様化・ライフステージに応じた制度設計

面積要件のさらなる緩和や制度の延長・見直しをめぐり、今後も与党税制調査会などでの議論が活発化する見込みです。国民生活の基盤となる「住まい」をめぐる支援制度として、その動向に大きな注目が集まっています。

住宅ローン減税利用の注意点

  • 住宅の種類、床面積、所得などによる制度の適用範囲を事前に確認しましょう
  • 省エネや耐震などの証明書類が必要です(タイミングや内容に注意)
  • 実際の控除額は住宅価格・年末ローン残高や所得税額などによって個別に異なります
  • 将来的な制度変更・延長もあり得るため、最新の情報を随時確認しましょう

まとめ:住まいの多様化に応える住宅ローン減税制度へ

これから家を買いたい方、住み替えやリフォームを検討中の方にとって、住宅ローン減税の内容は非常に重要なポイントです。今回検討されている面積要件の緩和や制度の延長は、住まい選びの選択肢を広げる大きなチャンスとなります。今後の制度改正の動向にも注目しながら、ご自身のライフプランや住環境に合った最適な選択をしていきましょう。

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