AMD、第2四半期は売上高が予想超えも営業赤字に転落
半導体大手のAMDは、2025年第2四半期(3月30日~6月28日)の決算発表で、売上高が前年同期比31.7%増の約76億8500万ドル(約1兆1000億円)となり、市場予想を上回ったものの、営業利益は約1億3400万ドル(約190億円)の赤字に転落したことを明らかにしました。前年同期は黒字を計上しており、今回の赤字転落は投資やコスト増の影響が大きいと見られています。希薄化後の1株当たり利益(EPS)は0.53ドルでした。
AI分野での躍進と成長戦略
AMDは特にAI(人工知能)向けチップに注力しており、データセンター事業の売上高が前年同期比115%増と急成長しています。主力製品の「AMD Instinct MI300」アクセラレータが牽引しており、2024年第4四半期には次世代のMI325X、2025年にはMI350、さらには2026年にはMI400を発売予定です。CEOのリサ・スー氏は、MI350はNvidiaのBlackwellチップと互角に競合できると強調しました。サプライチェーンの改善傾向はあるものの、供給逼迫は2025年いっぱい続く見込みとのことです。
市場の反応と中国市場の影響
業績発表後、AMDの株価は期待ほど上昇せずむしろ下落しました。これは売上高の増加に反して営業赤字に転落したことや、米中間の輸出規制による影響が市場関係者に警戒されているためとみられます。特に、アメリカ政府による輸出規制でAMDは約8億ドル(約1100億円)分の在庫を抱えており、中国市場での販売に制限がかかっていることが収益に影響を与えています。今後の中国市場の動向が、AMDの成長にとって重要な鍵となりそうです。
今後の展望:AI売上で第3四半期は明るい見通し
AMDは第3四半期の見通しにおいて、AIチップの販売好調を背景に業績改善を期待しています。競合他社との激しい競争下にあっても、AI関連製品を軸に成長を持続させる方針です。ただし、世界的なマクロ環境やサプライチェーンの不確実性、中国の規制問題が不安材料として残っていることも指摘されています。
まとめ
- 2025年第2四半期のAMDは売上高が大幅増加も営業赤字に転落した。
- AI向けデータセンター事業が急成長し、今後も新世代AIチップの投入を計画。
- 米中間の輸出規制や在庫負担が業績に影響、中国市場の動向が注目される。
- 第3四半期はAI分野を中心に強い見通しを示すが、不透明感は依然として存在。
AMDは革新的なAI半導体開発で業界をリードしつつも、複雑な国際情勢や市場環境の影響を受けている状況と言えます。引き続き成長のカギはAI分野の競争力維持と、中国を含むグローバルな事業環境への適応にありそうです。