第111回薬剤師国家試験の合格発表、全体合格率は68.49%に
厚生労働省は2026年3月25日、第111回薬剤師国家試験(2026年2月実施)の合格者を発表しました。注目の全体合格率は68.49%となり、前回から0.36ポイント減少しています。受験者数は12,774人で、そのうち8,749人が合格を勝ち取りました。
この合格率は、第110回の68.85%とほぼ同水準で、直近5年間の安定した範囲内に収まっています。ただし、合格者数は第110回の9,164人から415人減少しており、これは受験者数自体が13,310人から12,774人へと536人減少したことが主な原因となっています。
新卒と既卒で大きく異なる合格率
今回の試験結果で特に注目すべき点は、新卒者と既卒者の合格率に大きな差が生じたことです。6年制新卒の合格率は86.25%で、前年から1.29ポイント上昇しました。新卒の合格者数は6,711人となっています。
一方、6年制既卒者の合格率は41.33%と2.61ポイント低下し、既卒者の合格率の低下が全体に大きく影響しています。既卒の合格者数は2,013人でした。このように、新卒と既卒でおよそ45ポイントもの開きが生じており、試験の難しさが既卒者にとって特に厳しいものとなっていることがうかがえます。
大学別合格率、金沢大が最高の94.87%を達成
大学別の合格率では、金沢大学が94.87%で最も高い合格率を記録しました。一方、合格者数では東京薬科大学が425人でもっとも多くの合格者を輩出しています。
また、金沢大や名城大などの5つの大学では90%を超える高い合格率を達成する一方で、私立大学11校では50%未満の合格率にとどまっています。この結果から、大学によって合格率にばらつきが見られ、教育の質や学生の準備状況などが大きく影響していることがわかります。
近年の合格率は70%台から60%台へ低下傾向
歴史的に見ると、薬剤師国家試験の合格率は低下傾向を示しています。第101回(2016年)の76.85%をピークに減少が続き、第105回(2020年)から7年連続で60%台となっています。今回の第111回試験でも68.49%と70%を下回る水準が継続しており、過去5年間の合格率は68~69%台で推移しています。
試験の難化や受験者のレベル、あるいは試験問題の難易度調整など、合格率が低下し続けている背景には複数の要因が考えられます。薬剤師としての資質を厳格に評価する傾向が強まっていることを示唆しています。
合格基準は得点率62.10%、全ての条件をクリアが必須
第111回試験の合格基準は複合的に設定されており、単に得点が高いだけでは合格できません。具体的には、以下のすべての条件を満たす必要があります。
- 全問題の得点が426点以上(配点は1問2点、686点満点)
- 禁忌肢問題選択数は2問以下
- 必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ、構成する各科目の得点がそれぞれ配点の30%以上
全問題の得点ラインは686点満点中426点、つまり得点率62.10%です。これは前回の第110回と同じラインでしたが、満点の配点が異なるため得点率は若干異なります。このように、合格には総合的な実力と各分野での最低限の知識が求められるため、科目ごとにバランスの取れた勉強が不可欠です。
薬剤師志望者への示唆
今回の第111回薬剤師国家試験の結果から、薬剤師を目指す学生たちにいくつかの重要な示唆が得られます。新卒の合格率が86%と比較的高い一方で、既卒の合格率が41%にとどまることは、計画的で継続的な学習が重要であることを示しています。
また、大学によって合格率に大きなばらつきがあることから、在籍する大学の教育体制やカリキュラム、先輩たちの合格実績などを参考にしながら、きめ細かい学習支援を受けることの重要性が浮かび上がります。薬剤師国家試験は、単なる知識の量ではなく、実務的な思考力と多角的な判断力を問う試験であることが、複合的な合格基準からも明らかになっています。




