インドに約5週間「置き去り」になっていた英国のF-35B戦闘機がついに離陸

2025年6月中旬、イギリス海軍の最新鋭ステルス戦闘機F-35Bが、インド南部ケララ州のティルヴァナンタプラム国際空港に緊急着陸し、そのまま約5週間もの間、現地に取り残される事態となりました。この機体は、イギリス空母「プリンス・オブ・ウェールズ」がインド太平洋地域での長期演習「オペレーション・ハイマスト」に参加していた際に、突如の悪天候により着艦不能となり、やむなく陸上に避難したものです。

緊急着陸の背景と現地での状況

  • 6月16日:イギリス海軍のF-35Bが強風と雷雨により空母への着艦が安全にできず、インド・ケララ州のティルヴァナンタプラム空港へ緊急着陸。
  • その後:空母は予定通り東南アジア方面に航行を続けましたが、このF-35Bは現地に置き去り状態に。
  • ケララ州観光局:地元当局はこの期間、機体がまるで「バカンスを楽しんでいる」かのようなイラストをSNSに投稿し、話題を呼びました。

この珍しい「置き去り騒動」は、SNS上で多数のミームやジョークを生み、世界的な関心を集めました。英国のパイロットや関係者も「Bye, Bro(さよなら、兄弟)」といった軽妙なコメントを交わすなど、事態をユーモラスに受け止める姿勢も見られました。

F-35Bとはどんな戦闘機か?

  • F-35Bはアメリカ発の第5世代ステルス多用途戦闘機で、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)能力を持ち、空母や小型の艦艇からの運用に適した機体です。
  • イギリスでは海軍用空母に搭載されており、最新鋭の機動性と隠密性を誇ります。
  • 多国間で導入されているF-35シリーズの中で、特に艦載機として品質と戦闘能力の高さが評価されています。

約5週間の現地滞在を終え離陸、豪州へ向かう

2025年7月末、待ちに待ったF-35Bはついにケララの地から離陸。機体はインドから豪州に向けて飛び立ち、そこからイギリスに帰還する予定と報じられています。

この約1か月半の「海外バカンス」は、単なるトラブルだけでは終わらず、国際的な注目と話題を提供。英国海軍の運用上の課題や、地域の気象条件の過酷さも改めて浮き彫りになりました。

今後の防衛演習や運用に与える影響

  • 英国海軍は、今回の経験を踏まえ、インド洋・太平洋地域での気象リスク管理を強化することが求められています。
  • F-35Bの運用能力や即応体制も再検討が進む見込みで、航空機の迅速回収や補給ルートの多様化が課題となるでしょう。
  • また、パートナー各国との連携強化や危機対応訓練においても、こうした突発事態への備えが重要視されるでしょう。

今回のトラブルは、単なる機械的な問題ではなく、現代の複雑な軍事運用における多様なリスクを象徴しています。英国をはじめとした関係国が、この経験を今後の安全・効率的な作戦遂行につなげていくことが期待されます。

今後もF-35シリーズを中心とした海軍航空戦力の進化から目が離せません。

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