トルコ中央銀行が政策金利を43%に引き下げ-予想を上回る大幅利下げ
2025年7月24日、トルコ共和国中央銀行(CBRT)は政策金利を46.0%から43.0%に引き下げました。この利下げ幅は市場予想の43.5%よりも大きな300ベーシスポイントの引き下げとなり、予想を上回る決定となりました。これにより、3会合ぶりの利下げが再開されました。
今回の利下げの背景と意味
トルコ中央銀行は、2025年3月以降の通貨リラの急激な売り圧力を受けて利下げサイクルを一時停止していました。そのため、今回の利下げは3か月ぶりの再開となり、市場参加者からも注目されていました。多くのアナリストは250ベーシスポイントの利下げを予測していましたが、実際にはさらに大きな300ベーシスポイントの利下げを実施し、強いメッセージを示しました。
ただし、中央銀行の声明はタカ派的なトーンを維持し、今後の金融緩和は慎重に進める姿勢を崩していません。今回の大幅な利下げは一時的な措置であり、数か月のうちに利下げペースは緩やかになると見込まれています。
インフレ率と利下げの関係
トルコは2024年から2025年にかけて高いインフレ率に直面してきました。ピーク時の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で75.45%を記録するなど、異例の高騰でした。これを受けて中央銀行は2024年3月に政策金利を50%に引き上げる厳しい金融引き締め策を取りましたが、その後インフレは徐々に鈍化し、今年7月時点で政策金利は43%にまで引き下げられています。
インフレ再燃の懸念が後退したことが今回の利下げの背景にありますが、完全に収束しているわけではなく、中央銀行は引き続きインフレ動向を注視しています。
トルコリラと市場反応
利下げ発表後、トルコリラは売り反応を示しましたが、その値幅は限定的でした。ドルに対するトルコリラの為替レートは約40.48付近まで上昇しましたが、大幅な下落とはならず、一定の耐性を見せました。これは投資家が中央銀行のタカ派的姿勢に一定の安心感を持ったことを示しています。
今後の見通し
- 今後数か月で利下げペースは緩やかになる見通しで、2025年末には政策金利が約37.0%程度にまで低下すると予想されています。
- ただし、インフレ率の動向と地政学リスクなど不確実性は依然として高く、中央銀行は金融政策を慎重に運営していく方針です。
- エルドアン大統領の政策姿勢や中東を含む地政学リスクもトルコリラの動向に影響を与えるため、引き続き注視が必要です。
まとめ
トルコ中央銀行の今回の利下げは、2025年3月以来の政策変更として注目され、中長期的なインフレ抑制を図りつつ、経済成長を支援するための動きといえます。予想を上回る大幅な引き下げが示されたものの、声明文での慎重な姿勢からは、これ以上の急激な金融緩和は見込まれていません。今後のトルコ経済は、インフレ動向、地政学的リスク、そして政策運営のバランスによって左右される状況が続くでしょう。