テスラ株、苦境続く1年 ~2025年第2四半期決算で売上減・利益減少も「マスク・プレミアム」健在か~
2025年7月23日、テスラ(TSLA)が発表した2025年第2四半期(4~6月)の決算は、前年同期比で大幅な売上減と利益減少を示しました。売上高は前年同期比12%減の225億ドル(約3兆2900億円)、純利益は16%減の11億7000万ドル(約1710億円)となり、市場予想を下回る結果となりました。また、自動車の出荷台数も14%減少し、業績面で厳しい1年を象徴しています。
1年続く失策の影響と経営者マスク氏の報酬問題
この1年間、テスラは開発遅延や生産問題など複数の課題に直面し、業績面での失策が続いています。特に新技術開発の遅れや半導体供給の不安定化が影響を与えたとされ、投資家の期待に応えられていません。こうした中、CEOイーロン・マスク氏が設定している巨額の報酬プランについては、「業績悪化により達成が遠のいた」との声が上がっています。マスク氏自らも市場の厳しい目を意識しつつ、革新性の維持と将来展望の重要性を強調している状況です。
「マスク・プレミアム」とは何か?株価の動きと市場の反応
こうした業績悪化の一方で、テスラ株の特徴である「マスク・プレミアム」は依然として存在感を示しています。決算発表後、納車台数は前年同期比約13%減の38万4122台と減少したものの、多くのアナリスト予想を上回り、結果を好感してテスラ株は4%以上の上昇を見せました。これは、マスク氏のビジョンや将来の技術革新に対する期待感が株価に下支え効果をもたらしていると考えられます。
また、テスラはオースティン工場でのロボタクシーサービス開始を進めるなど、自動運転技術やAI機能の拡大を打ち出しており、これが長期的な成長戦略の柱と認識されています。マスク氏は「未来を予測する最善の方法は、それを実現することだ」と述べ、規制クレジット収入の減少や関税コスト増、インフレ抑制法(IRA)による税額控除失効による逆風も乗り越える覚悟を示しています。
市況への影響と今後の注目点
- 売上・利益の大幅減少: 売上12%減、営業利益42%減という厳しい数字はテスラにとって警戒すべきサインとなっています。
- 納車台数の減少と株価反応: 納車台数は減少したものの、市場予測を上回ったことが株価にプラス材料となり、一時的な株価上昇へと繋がりました。
- テクノロジーへの注力: ロボタクシーの実運行開始やフルセルフドライビング(FSD)月額サブスクの推進、AI強化など革新的技術に向けた注目が続く見込みです。
- 経営陣の課題: マスク氏の報酬プラン達成が困難になり、投資家の信頼回復に向けた説明責任と実績の積み重ねが求められています。
こうした中、テスラは現在の逆風をどう乗り越え、株主価値を回復・向上させるのかが焦点となっています。技術革新の継続と経営の安定化が、今後の株価動向を左右する重要なポイントです。