摩根大通、第一生命の株式カバレッジを再開し「増持」評価を発表

2025年7月22日、世界有数の金融機関である摩根大通(J.P. Morgan Chase)は、日本の大手生命保険会社である第一生命ホールディングスの株式カバレッジ(投資分析覆面調査)を再開し、新たに「増持(オーバーウェイト)」の評価を付けたことが明らかになりました。これは同社の株価に対してポジティブなシグナルとなっており、投資家の注目を集めています。

摩根大通の「増持」評価とは

「増持」とは、証券会社や金融機関のアナリストが企業の株式について示す投資判断の一つで、現状よりも積極的に株式の購入を推奨することを意味します。今回、摩根大通が第一生命に対して「増持」評価を出したのは、同社の財務内容や将来の成長ポテンシャルに対して強い期待を寄せていることを示しています。

第一生命の現状と摩根大通の視点

  • 第一生命の業績動向:第一生命は2025年3月期第2四半期決算で、海外保険事業が堅調に推移していることが明らかになっています。とくに米国子会社プロテクティブの税引前営業利益は前年同期比で18.1%増加するなど、収益基盤の強化がうかがえます。ただし、一部子会社では収益減も見受けられ、全体としては多角化によるバランスを図っている段階です。
  • 摩根大通の業績評価の背景:世界的な金融環境の変化や経済の不透明感が高まる中、摩根大通が第一生命の株式カバレッジを復活させて「増持」としたのは、同社のグローバル展開戦略や国内外での事業拡大が利益成長を支えるとの見方からです。今後の株価上昇に期待を込めた投資判断といえます。
  • 市場への影響:摩根大通のアナリストレポートが公表されたことで、第一生命の株式リスクやリターンに関心を持つ国内外の投資家から注目が集まり、短期的な株価の動きにも影響を与える可能性があります。

第一生命の海外事業の成長と課題

第一生命グループは国内市場のみならず、海外市場にも積極的に進出しています。2025年の事業報告によると、特に北米のプロテクティブやオーストラリアのTALなどがグループ全体の利益に大きく貢献しています。

  • プロテクティブ(米国):前年同期比で18.1%の営業利益増加を示し、グループの主要な収益源として注目されている。
  • TAL(オーストラリア):一方で利益は11.9%減少しており、地域によって明暗が分かれている。
  • アジア地域(ベトナム、カンボジア、ミャンマー)でも一定の利益は生むものの、規模としてはまだ発展途上の段階。

こうした海外展開の多様性が総合的な収益安定性につながっているとみられ、摩根大通もこの点を評価しています。

第一生命の経営戦略と今後の展望

第一生命ホールディングスは、国内の少子高齢化による市場縮小に対応するため、海外保険事業の拡大やデジタル化推進に力を入れています。特にAIやビッグデータを活用した顧客サービスの効率化、リスク管理の高度化などが注目されています。

摩根大通の投資判断は、こうした経営の多角化とイノベーション推進が中長期的に収益成長を支えるとの期待感に基づいています。

まとめ

2025年7月22日の発表により、摩根大通が第一生命の株式カバレッジを再開し「増持」評価を付けたことで、同社の国内外事業の展望に対する市場の注目度が高まっています。第一生命は海外の収益多様化を進めつつ、国内の保険市場の変化にも対応し、これからの成長を見据えた戦略を展開しています。

投資家にとっては、これからの第一生命の業績動向とともに、摩根大通をはじめ市場の評価を注視することが重要となるでしょう。

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