高知県大豊町の「杉の大杉」で幹の剝落 国の特別天然記念物に被害

2025年7月18日、国の特別天然記念物に指定されている高知県大豊町の名木「杉の大杉」の幹が剝落する被害が確認されました。杉の大杉は推定樹齢3000年を誇る日本有数の古木であり、その大きさと神秘的な存在感で多くの人々から崇敬を集めてきました。

「杉の大杉」は大豊町杉地区の八坂神社境内に位置し、南大杉の幹周りは約15.6メートル、樹高は57メートルと巨木の中でも群を抜く規模を誇ります。地元では「神代スギ」や「夫婦スギ」、そしてかつて美空ひばりさんが願掛けをしたことから「出世杉」とも呼ばれて親しまれています。

幹の剝落の状況と原因

今回の幹剝落は、7月中旬に大雨の影響で発生した土砂災害や気象の変動が影響した可能性が高いとみられています。大豊町では同時期に強い雨により土砂崩れが発生し、近隣の高知市土佐山でも同様の災害が報告されていました。今回の被害は特に強い線状降水帯の発生はなかったものの、積算豪雨により根元周辺の土壌や樹皮に影響がでたと推測されています。

大雨被害と土砂崩れの影響 交通機関にも注意喚起

同日、7月18日の朝に高知市土佐山で土砂崩れが発生し、一時通行止めや交通の混乱が生じました。県や自治体は土砂災害および河川氾濫に注意を呼びかけ、特に昼前にかけては警戒レベルを引き上げて警報を発令しました。線状降水帯の発生は確認されていないものの、複数回の豪雨が重なった影響で土壌の緩みや被害が広範囲に及びました。

交通機関にも影響が出ており、JR土讃線の一部区間で安全確認や点検作業のため運転見合わせが発生。通勤・通学者は迂回ルートの確認が必要となっています。大豊町は「杉の大杉」へのアクセスもJR大杉駅を利用する観光客が多いため、混乱回避を呼びかけています。

地域への影響と復旧状況

土砂崩れによる被害や「杉の大杉」の部分的な幹剝落に対し、地元自治体や専門家が連携して調査を進めています。幹剝落部分は樹木の老化や自然損傷に加えて、最近の豪雨による土壌の不安定化が影響しているとみられています。

大豊町役場の産業建設課を中心に、被害状況を詳しく把握し、今後の保護・復旧計画の策定が急がれています。特に「杉の大杉」は文化財としての価値が高く、損傷の拡大を防ぐための処置とともに、安全な観光環境の確保も求められています。

「杉の大杉」と地域のシンボル性

「杉の大杉」は単なる巨木ではなく、大豊町の地域文化や観光の要となっている重要な資産です。国の特別天然記念物に指定され、周辺には美空ひばりさんの遺影碑も置かれています。さらに、大杉中学校などが木材文化を活かした地域活性化に貢献し、中学生自身が参加した木造建築物「とまレール大杉」も地域の誇りとなっています。

今回の幹剝落は地域に衝撃を与えているものの、関係者一同は復旧と保護に向けて努力を続けています。今後の気象状況にも十分注意しつつ、日本一とも評される貴重な「杉の大杉」を次世代に引き継ぐための取り組みが期待されています。

【まとめ】

  • 7月18日に高知県大豊町の「杉の大杉」で幹の剝落被害が確認された。
  • 同時期の大雨と土砂崩れが影響し、特別天然記念物の保存に懸念がある。
  • 高知市土佐山でも土砂崩れが発生し、交通機関に影響が出ている。
  • 関係機関は被害状況調査と復旧に全力を挙げ、地域のシンボルの保護を進めている。

気象庁や地元自治体は今後も引き続き大雨や土砂災害に警戒を呼びかけています。地域の皆様は安全第一で行動し、観光客や訪問者も最新の情報を確認しながら訪れることが推奨されます。

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