Pop Martの「Labubu」フィーバー:利益350%増予測も投資家は冷静
中国の大手玩具企業Pop Martが展開する人気シリーズ「Labubu」が、再び注目を集めています。2024年のLabubu関連の売上高は約4億2300万ドル(約580億円)に達し、前年度比で729%もの驚異的な成長を遂げました。この成功を受け、Pop Martは2025年の利益が少なくとも350%増加すると予測しています。
Labubuは香港のアーティスト、Kasing Lung氏によって生み出されたキャラクターで、「モンスター」シリーズの一角を占めています。特徴的なのは、その「ブラインドボックス」形式の販売方法です。消費者は箱を開けるまでどのフィギュアが出るかわからず、収集のスリルと希少性が市場での価格高騰を後押ししています。例えば、2025年6月には北京で実物大のLabubu人形が17万ドル(約2300万円)以上の値段で落札されました。
また、Labubuは「かわいいけれどどこか不気味な」独特の「ugly-cute」スタイルが特徴で、世界中の若者から広く支持されています。特にミレニアル世代やZ世代を中心に「kidults(大人になっても子どものように玩具を楽しむ層)」に熱烈なファンが多く、衣服やバッグのアクセサリーとしても人気を博しています。海外ではリアーナやキム・カーダシアン、デイヴィッド・ベッカムなど著名人がLabubuを取り入れたことも話題となりました。
こうした背景から、Pop Martはアメリカのラスベガスに3店舗目をオープンするなど、積極的なグローバル展開を続けています。しかしながら、市場の興奮とは裏腹に投資家の反応はやや冷静です。Pop Martの350%もの利益増加予測が発表された直後、Labubuを製造する同社の株価はむしろ下落しました。この反応からは、投資家が今回の好調を長期的な持続性にやや懐疑的に見ていることがうかがえます。
過去においても「Cabbage Patch Kids」や「ポケモンカード」など、玩具市場では瞬間的に熱狂的なブームが訪れ、その後の市場冷却も経験されています。Labubuがその例外ではないことも専門家は指摘しており、「今回の現象は人気玩具の歴史におけるあるひとつのサイクルに過ぎず、いずれ別の新しいトレンドが生まれるだろう」と見ています。
一方で、Labubuの人気によりほぼ完売状態が続くPop Martの各アイテムは、コレクターとファンの間で取引が盛んで、再販価格は高騰しています。そのため、これからも「ブラインドボックス」形式玩具への関心が高まる可能性は十分にあります。
Pop MartのLabubuが描く未来は、玩具市場のトレンドがどのように変遷し、消費者心理がどのように動くのかを示す、興味深いケーススタディとなりそうです。