ご当地グルメ「平塚タンメン」とは?酸味が特徴の地元ソウルフード完全ガイド
私は「お急ぎニュースメディア OISO(オイソ)」の編集長であり神奈川県大磯生まれ平塚育ちの湘南エリア担当記者「長嶋 駿」です。今回は私の故郷・平塚市の誇るご当地グルメ「平塚タンメン」について、独断と偏見に加え、できるだけ多くの口コミや評判を参考にして、お役に立つ情報をお届けします。「平塚タンメン」とはどんな食べ物で、どこで食べられるのか?地元民ならではの視点でじっくり解説していきましょう。
平塚タンメンとは?一般的なタンメンとの決定的な違い
「タンメン」と聞くと、多くの方は塩味のスープに野菜がたっぷりのった中華麺を想像するでしょう。しかし、平塚の「タンメン」は全く別物です。平塚タンメンの最大の特徴は「酸味が効いたスープ」にあります。
平塚タンメンは、透明な豚骨ベースのスープに酢を効かせた酸味のある澄んだスープと白っぽい麺、そして具材も野菜がたくさん入るわけではなく、刻み玉ねぎやワカメ、メンマなどがシンプルに乗ったビジュアルが特徴です。いわゆる「酢湯麺(すーたんめん)」と呼ばれることもあるようです。
見た目は極めてシンプル。しかし、その味わいは他では経験できない独特のものです。平塚市民にとっては子どもの頃から親しんだソウルフードであり、平塚に住む人々の心の味となっています。
平塚タンメンの歴史と起源
平塚タンメンの始まりは終戦後まもない時期にさかのぼります。元祖のお店と言われているのが、1957年(昭和32年)に創業した平塚駅前にある「老郷(ラオシャン)」です。
創業者の岩間敏到さんは、戦時中に中国へ出兵した際、現地の人々が料理に酢を多く使う食文化に触れました。帰国後、アメリカから大量に輸入されていた小麦粉と、その中国での経験をもとに「酢と小麦粉で何か新しい料理ができないか」と考案したのが「酢湯麺」の始まりだったと言われています。
約5年以上の試行錯誤の末、岩間さんは夏でも冬でもさっぱりと食べられる酸味のきいたタンメンを完成させました。その味は60年以上にわたって変わらず受け継がれ、平塚の味として定着しています。
現在は創業者の孫にあたる3代目・岩間和弘さんが店を切り盛りしており、初代から受け継がれた無添加へのこだわりと味を守り続けています。
平塚タンメンの有名店
老郷(ラオシャン)本店
元祖平塚タンメンの店として知られる「老郷本店」は、平塚駅西口から徒歩2〜3分の場所にあります。駅からのアクセスの良さもあり、地元民はもちろん、平塚を訪れる観光客にも人気のスポットとなっています。
メニューはシンプル極まりなく、「タンメン」と「ギョウザ」の2品のみ。2025年5月時点でのタンメンの価格は800円となっています。かつてはみそ麺もメニューにあったようですが、現在は提供されていないとのこと。
店内はカウンター席とテーブル席があり、厨房が丸見えになっているのも特徴です。調理工程を見せることにもこだわっているそうで、大きな鍋で麺を茹でる様子や、丁寧にスープを作る過程を観察できます。
老郷のタンメンは、豚骨ベースのスープを徹底したアク取りと火加減で透明に仕上げたものに、タレ、酢、白ワインを加えて作られています。麺は添加物を一切使用しない無添加にこだわり、小麦粉と塩だけで作られた白いストレート麺です。通常の中華麺の賞味期限が2週間程度なのに対し、老郷の無添加麺はわずか3日という短さで、毎日作りたての麺を提供しています。
トッピングは三陸産の最高級ワカメ、国産の玉ねぎ、メンマとシンプル。スープはサッパリしながらもコクがあり、酸味が突出しすぎずまろやかな味わいが特徴です。
花水ラオシャン本店
平塚タンメンのもう一つの人気店が「花水ラオシャン本店」です。平塚市花水台に本店を構え、1963年創業(あるいは1951年創業という情報も)と長い歴史を持つお店です。
平塚駅南口から1.3キロ、車で10分ほどの場所にあり、アクセスは老郷と比べると少し不便ですが、それを補って余りある味わいで多くのファンを獲得しています。
花水ラオシャンの特徴は、何と言ってもその価格の安さ。タンメンの基本価格は400円からというリーズナブルさで、老郷よりもかなり安く楽しめます。酸味は老郷と比べると強めで、ゴリゴリに酸味が効いているという評価もあります。
麺は「ザクッとした歯切れの良い食感の細麺」が特徴で、具材は刻みタマネギとワカメがシンプルに入っています。トッピングでワカメや卵、チャーシューなども追加可能です。
また、花水ラオシャンは平塚を本拠地とするサッカーJ2リーグの「湘南ベルマーレ」の選手やサポーターが試合後に訪れることでも知られています。店内には湘南ベルマーレの試合結果が張り出されていたりと、地元チームを応援する心意気が感じられます。
2020年頃には「湘南ベルマーレ スタグルセット」として、ベルマーレビールと花水ラオシャン本店のタンメンをセットにした商品も販売されていたようです。
オカモト☆タンメン。平塚店
2023年12月にオープンした比較的新しいタンメン店が「オカモト☆タンメン。平塚店」です。平塚駅から徒歩20分、ららぽーと湘南平塚から徒歩7分の場所にある東八幡にあります。
こちらのお店は平塚タンメンの伝統的なスタイルというよりは、独自のタンメンを提供しています。メニューもタンメン545円、野菜たっぷりタンメン682円、特製タンメン1,036円と種類も価格も様々です。
特徴的なのは辛さが5段階で選べること。また、豚ガラでも鶏ガラでもない独特のスープに、ニンニクを利かせ、背脂を浮かせたスタイルでサッパリとした味わいです。
サイドメニューも唐揚げ、餃子、チャーハンなど豊富で、平塚の伝統的なタンメンとはまた異なる進化形を楽しめるお店と言えるでしょう。
平塚タンメンの味わいと楽しみ方
特徴的な味わい
平塚タンメンの最大の特徴は、言うまでもなくその「酸味」です。酢を効かせたスープは、初めて食べる人には驚きを与えることでしょう。しかし、その酸味は単なる酸っぱさではありません。
老郷では、豚骨スープにタレ、酢、そして隠し味に白ワインを加えることで、酸味とコクのバランスを絶妙に整えています。この酢と白ワインの酸味が嫌な酸っぱさではなく、上品で絶妙なハーモニーを生み出しており、甘みも感じられる複雑な味わいとなっています。
花水ラオシャンでは、りんご酢を使用しているとの情報もあり、酸味が立ちすぎず、爽やかさやまろやかさを引き立てる効果があるようです。
おすすめの食べ方
平塚タンメンを楽しむには、地元流の食べ方を知っておくことをおすすめします。
まずは、そのままのスープと麺の味わいを楽しみましょう。透明で澄んだスープの旨みと酸味、モチモチとした麺の食感がダイレクトに味わえます。
そして、半分ほど食べ進んだら、テーブルに置かれている「自家製ラー油」での味変を楽しみましょう。この自家製ラー油は、香りの唐辛子と辛みの唐辛子の2種類を使用していることが多く、ラー油を加えることで、ピリッとした辛味と芳ばしい香りが加わり、さらにスープにコクが増します。
老郷の3代目・岩間さんは「タンメンがなければこのラー油はなく、ラー油がなければこのタンメンもありません」と言い切るほど、タンメンとラー油は切っても切れない関係なのです。
また、タンメンと一緒に「ギョウザ」を注文する人も多いようです。老郷のギョウザは、国産タマネギを細かく手切りし、その甘味を逃すことなく具に練り込んだもの。「タマネギの甘味を食べるギョウザ」と表現され、酸味のあるタンメンとの相性は抜群です。
常連客の中には、ギョウザの半分は普通に食べ、残りの半分はタンメンのスープに入れて「水ギョウザ」として楽しむという食べ方も。地元の知恵に倣って、様々な味わい方を試してみるのも楽しいでしょう。
平塚タンメンの良い点
健康面でのメリット
平塚タンメンのおすすめポイントとしてまず挙げられるのが、そのヘルシーさです。透明なスープは脂っこくなく、さっぱりとした味わいなので、胃にもたれにくいのが特徴です。
また、酢の健康効果も見逃せません。酢には疲労回復や食欲増進の効果があると言われており、夏バテの時期にもおすすめの食べ物です。さらに、トッピングに使われるタマネギにも血液をサラサラにする効果が期待できるとされ、健康志向の方にとっては嬉しい一品と言えるでしょう。
添加物を使わない自家製麺へのこだわりも、老郷のような店舗の大きな利点です。かん水や保存料などの添加物を一切使用せず、小麦粉と塩だけで作られた麺は、体に優しいだけでなく、小麦本来の味や香りが楽しめます。
価格の手頃さ
平塚タンメンの魅力の一つに、その価格の手頃さがあります。特に花水ラオシャンではタンメンが400円から楽しめるというリーズナブルさ。老郷でも現在800円と、都心のラーメン店と比べるとやや安価で楽しめます。
学生や若者も気軽に楽しめる価格設定は、地元のソウルフードとして長く愛されてきた理由の一つでしょう。
夏にぴったりの爽快感
酸味のあるさっぱりとしたスープは、特に暑い夏の時期に食欲をそそります。湘南の夏は湿度が高く蒸し暑いですが、そんな時でも平塚タンメンなら爽やかに食べられるのが大きな利点です。
また、夜の飲み会後の〆のラーメンとしても、胃に優しく酔いも覚ましてくれるため最適です。
地元の文化と歴史を味わえる
平塚タンメンを食べることは、単なる食事ではなく、平塚の歴史と文化を味わう体験でもあります。60年以上受け継がれてきた味は、地元の人々の記憶と結びついており、平塚の文化遺産とも言えるでしょう。
特に花水ラオシャンでは、地元サッカーチーム「湘南ベルマーレ」との深い結びつきもあり、地域のスポーツ文化も感じることができます。家族連れで試合を観戦した後にタンメンを食べに行くという平塚市民の週末の過ごし方は、地域の素敵な風景の一つです。
平塚タンメンの気になる点
酸味が苦手な人にはデメリットも
平塚タンメンの最大の特徴である酸味は、人によっては受け入れがたいこともあります。「少々スープに酸味があり、今まで食べたことのない味です。この酸味が苦手という方にはどうしても合わないかもしれませんね」という口コミもあるように、好みがはっきり分かれる傾向があります。
初めて食べる方は、その独特の酸味に驚き、「普通のタンメンの方が好きです。スープにクセがあり、少し苦手です」という感想を持つ方もいるようです。
アクセスの問題
平塚タンメンの名店は、平塚駅周辺に集中していますが、中には花水ラオシャンのように駅から少し離れた場所にあるお店も。平塚駅から徒歩20分やバスで10分という立地は、観光で訪れる場合には少し不便かもしれません。
また、オカモト☆タンメン。平塚店も駅から徒歩20分、ららぽーと湘南平塚からでも徒歩7分の場所にあり、電車での訪問にはやや不便さを感じるかもしれません。
混雑状況
人気店ということもあり、特にランチタイムや週末は混雑することがあります。老郷本店では「ほぼ満席で1席のみ空いていて、私の後には外待ちも出来始めた」という状況も。
花水ラオシャンでも「多くの地元民から愛される人気店」として「続々とやってくるお客さん。15席のカウンター席のみで、すぐに満席になりそうな勢い」との報告もあります。人気の時間帯には少し待つ心構えが必要かもしれません。
各店舗の味の違い
「花水ラオシャン」と「老郷」では、同じ平塚タンメンでも味わいに違いがあります。花水ラオシャンはより酸味が強く、麺も歯切れのいい細麺です。一方、老郷は酸味がまろやかで、麺はモチモチとした食感が特徴。
どちらが好みかは個人差があるため、できれば両方を食べ比べてみるのがおすすめです。「個人的には『老郷』の方が好みという結果で、これは食べ比べをしてみて良かった」という感想もあります。
平塚タンメンがおすすめの人、おすすめしない人
おすすめの人
- さっぱりした味わいを好む方 酸味のきいたさっぱりとした味わいが好きな方には、平塚タンメンは絶対おすすめです。特に暑い夏の日や、こってりしたものを食べたくない時にぴったりです。
- 健康志向の方 添加物を使用しない麺や、脂っこくないスープなど、健康に配慮した要素が多い平塚タンメンは、健康を意識している方にもおすすめできます。
- 地元グルメに興味がある方 全国的にはまだあまり知られていない平塚独自の食文化を体験したい方には、ぜひ試していただきたいご当地グルメです。
- 飲んだ後の〆に何か食べたい方 さっぱりとして胃にも優しい平塚タンメンは、飲み会の後の〆のラーメンとして最適です。酔いも覚めやすく、翌朝の胃のもたれも少なくて済みます。
- 湘南ベルマーレのサポーター 特に花水ラオシャンは湘南ベルマーレの選手やサポーターにも人気。試合を観戦した後のタンメンは格別の味わいがあることでしょう。
おすすめしない人
- 酸味の強い食べ物が苦手な方 平塚タンメンの最大の特徴である酸味が苦手な方には、残念ながらおすすめできません。「この酸味が苦手という方にはどうしても合わないかもしれませんね」という口コミもあります。
- こってりとしたラーメンを好む方 豚骨ラーメンやこってりとした味噌ラーメンなどを好む方には、あっさりしすぎていて物足りなく感じるかもしれません。
- 野菜たっぷりのタンメンを期待する方 一般的な「タンメン」のイメージで来店すると、野菜がほとんど入っていないシンプルな具材に驚くかもしれません。一般的なタンメンを期待する方には欠点となる可能性があります。
- 麺のコシや歯ごたえにこだわる方 平塚タンメンの麺は、一般的な中華麺とは食感が異なります。特に老郷の麺はモチモチとした食感で、麺のコシや歯ごたえを重視する方には物足りなく感じるかもしれません。
地元民が語る平塚タンメンの魅力
私は平塚育ちとして、小さい頃から平塚タンメンに親しんできました。学生時代、友人たちと老郷に立ち寄り、カウンター席で大鍋で茹でられる麺を眺めながら「早く食べたいな」とワクワクしていたのを今でも覚えています。
夏の暑い日には花水ラオシャンのタンメンを食べに家族で出かけたものでした。特に湘南の海水浴から帰る途中に寄る花水ラオシャンのタンメンは格別で、塩を含んだ唇にさっぱりとしたタンメンのスープが染み渡る瞬間は、湘南の夏の思い出として今も鮮明に残っています。
平塚市では7月に全国的にも有名な「七夕まつり」が開催されますが、この期間中は平塚のあちこちのラーメン店が大繁盛します。暑い七夕の日に食べる平塚タンメンは、地元民にとって夏の風物詩の一つとも言えるでしょう。
また、平塚市のサッカーチーム「湘南ベルマーレ」の試合の日には、スタジアムから帰る途中に平塚タンメンを食べる光景も見られます。「休日は湘南ベルマーレの試合を見てから『花水ラオシャン』でタンメンを食べ、サッカー談義に花を咲かせる・・・そんな親子連れのお客さんも多い」という報告もあるように、スポーツとグルメが結びついた平塚ならではの文化が形成されています。
平塚タンメンを訪れるなら知っておきたい情報
老郷(ラオシャン)本店
- 住所: 神奈川県平塚市紅谷町17-23
- アクセス: JR平塚駅西口から徒歩2〜3分
- 電話番号: 0463-21-3658
- 営業時間: 詳細は公式サイト等でご確認ください
- メニュー: タンメン 800円、ギョウザなど
花水ラオシャン本店
- 住所: 神奈川県平塚市花水台29-4
- アクセス: 平塚駅からバスで約10分、徒歩で約20分
- 電話番号: 0463-36-0269
- 営業時間: 10:30-14:30.17:00-21:00、L.O. 20:45(水曜日は10:30-15:00)
- 定休日: 第2水曜日、木曜日
- 駐車場: 6台あり
- メニュー: タンメン 400円〜
オカモト☆タンメン。平塚店
- 住所: 神奈川県平塚市東八幡1-1-3
- アクセス: 平塚駅から徒歩20分、ららぽーと湘南平塚から徒歩7分
- 営業時間: 10:30-23:00、無休
- メニュー: タンメン545円、野菜たっぷりタンメン682円、特製タンメン1,036円など
平塚タンメンを食べに行くベストシーズン
平塚タンメンはいつ食べても美味しいですが、特におすすめなのは夏のシーズンです。湘南の暑い夏には、さっぱりとした酸味のあるスープが格別です。
また、7月に開催される平塚七夕まつり期間中に訪れると、お祭りの賑わいとともに平塚の食文化も楽しめます。ただし、この期間は非常に混雑するため、時間に余裕を持って訪問することをおすすめします。
サッカーファンの方は、湘南ベルマーレの試合日に合わせて訪れるのも一つの楽しみ方です。特に花水ラオシャンでは、試合の余韻とともにタンメンを楽しむサポーターたちの姿が見られるかもしれません。
まとめ:平塚タンメン、酸味とともに広がる湘南の味
平塚タンメンは、酢を効かせた独特の酸味と透明なスープ、シンプルな具材が特徴の平塚市のご当地ラーメンです。一般的なタンメンのイメージとは大きく異なり、その独創的な味わいで平塚市民はもちろん、訪れる人々をも魅了しています。
誕生から60年以上の時を経て、現在も変わらぬ味を守り続ける老舗店やその系列店が平塚市内に点在しており、それぞれに個性的な味わいを提供しています。老郷のまろやかな酸味と三陸産の高級ワカメ、花水ラオシャンのしっかりとした酸味とリーズナブルな価格、そして比較的新しいオカモト☆タンメンなど、様々な平塚タンメンを食べ比べてみるのも楽しいでしょう。
平塚タンメンの魅力は、その独特の味わいだけではありません。添加物を使わない自家製麺や健康に配慮した要素、そして何より平塚の歴史と文化を感じられることが最大の利点です。特に湘南ベルマーレのサポーターたちに愛される花水ラオシャンは、スポーツと食文化の結びつきを感じさせてくれます。
酸味が苦手な方には難しい部分もありますが、新しい味の発見を求める食の冒険家や、さっぱりとした味わいを求める方には、ぜひ一度試していただきたいご当地グルメです。
湘南エリアを訪れた際には、ぜひ平塚タンメンを食べに立ち寄ってみてください。きっと新たな食の発見と共に、平塚の歴史と文化を感じる素敵な体験となることでしょう。
(長嶋 駿 / お急ぎニュースメディア OISO湘南エリア担当記者)