椎名林檎、“人生初”の高校校歌で賛否両論 難易度の高さと独特な世界観が話題に
ミュージシャンの椎名林檎さんが手がけた高校の校歌が、いま大きな話題になっています。
プログラミングや人工知能(AI)、ロボット工学、航空宇宙といった先端分野を学ぶために新設された埼玉県立大宮科学技術高校のために、椎名さんが作詞・作曲を担当した校歌が披露され、その独創的な歌詞とメロディ、そして歌唱の難しさに注目が集まっています。
「三顧の礼」で実現したコラボレーション
今回の校歌制作は、学校側の強いラブコールによって実現したと言われています。報道によると、学校の創立にあたって掲げられた「AIやロボット、航空宇宙分野を支える人材を育成する」という志に、椎名林檎さんが共鳴し、依頼を受けたとのことです。
学校側は何度も丁寧に依頼を重ねる、いわゆる「三顧の礼」ともいえる熱意を示し、その思いが椎名さんに届いた形になりました。
椎名さんにとって、公立高校の校歌を手がけるのは初めての試みです。これまで数々のヒット曲や、バンド「東京事変」での作品、他アーティストへの楽曲提供など、幅広い音楽活動を続けてきましたが、「校歌」という公共性の高い楽曲に挑戦するのは今回が初となります。
タイトルは「赤い羅針盤」 林檎ワールド全開の歌詞
椎名林檎さんが書き下ろした校歌のタイトルは、報道などによると「赤い羅針盤」。
その歌詞の中には、ニュースでも取り上げられた
- 「精魂を研鑽して行こうぞ」
- 「前途祝してくれ太陽」
といった、非常に印象的で個性的なフレーズが登場します。
どこか古風で格調高い言い回しと、力強い意志がこめられた表現は、まさに「林檎ワールド全開」といった趣で、多くのファンや音楽関係者からも「校歌とは思えないほど攻めた歌詞」「文学的でかっこいい」といった声が上がっています。
一方で、日常的な日本語からは少し距離のある言葉も多く使われているため、「意味を理解するのが難しい」「歌うだけでなく、歌詞の解釈にも時間がかかりそう」といった、生徒側の戸惑いも報じられています。
難しすぎる?歌唱の“難易度”に生徒からツッコミ続出
話題となっているのは、歌詞だけではありません。メロディラインも、一般的な校歌のイメージからは大きく外れた、複雑でドラマチックな構成になっているとされます。
インターネット上やニュースでは、
- 音程の跳躍が大きく、正確に歌うのが大変
- リズムが細かく、テンポの変化もあって合わせるのが難しい
- 椎名林檎さんらしい独特の節回しが多く、合唱向けとしてはハードルが高い
といった「歌唱難易度の高さ」が指摘されています。
実際に歌うことになる生徒たちからも、
「かっこいいけど、高校生にこれを完璧に歌えというのは厳しいのでは」
「音程が難しすぎてついていけない」
「合唱コンクールでこれを歌うのは相当練習が必要」
といった率直な感想やツッコミが、SNSなどを通じて多く発信されました。
こうした反応を受けて、ネット上では、「校歌の常識を変える挑戦的な作品」「もはや一つのアート作品として楽しむべき」という肯定的な意見から、「もう少し生徒が歌いやすいものでもよかったのでは」といった慎重な声まで、さまざまな議論が巻き起こっています。
「生徒の負担」と「唯一無二の校歌」 評価が分かれる理由
校歌は、多くの学校で入学式や卒業式、式典などの場で繰り返し歌われる、大切な「学校の顔」ともいえる存在です。
そのため、今回のように難易度が高い楽曲が校歌として採用されたことについては、評価が分かれています。
肯定的な意見としては、
- 最先端技術を学ぶ学校にふさわしい、先鋭的でユニークな校歌になった
- プロのアーティストが本気で作り上げた楽曲は、学校にとって誇りになる
- 難しいからこそ、練習を重ねて歌えるようになったときの達成感が大きい
といった声が聞かれます。一方で、懸念としては、
- 日常的に全校生徒が歌うには難しすぎ、形骸化してしまわないか
- 歌うことに苦手意識を持つ生徒には、心理的な負担になる可能性もある
- 式典で全員が自信を持って歌えるという、校歌本来の役割が損なわれないか
といった点が挙げられています。
こうした賛否両論は、裏を返せば、それだけ多くの人が今回の校歌に関心を寄せている証拠とも言えるでしょう。
シンプルで覚えやすい従来の校歌像から一歩踏み出し、アーティスト性を前面に出した作品を取り入れたことで、「校歌とは何か」という問いが改めて投げかけられているとも考えられます。
政治的なスタンスへの懸念も 一部で指摘される「政治志向」
今回のニュースでは、歌詞や難易度に加えて、椎名林檎さんの政治的なスタンスについて懸念を示す声も紹介されています。
椎名さんはこれまでも、インタビューや楽曲の表現を通じて、国家や社会への見方、価値観が注目されてきたアーティストです。そのため、「公立高校の校歌を任せることに、政治的なニュアンスが入り込まないか」といった指摘が、一部で上がっていると報じられています。
ただし、具体的に校歌の歌詞のどの部分が問題視されているのかについては、現時点で明確に示されているわけではありません。校歌の内容自体は、学校の教育理念に沿って、生徒の前途を祝福し、努力や研鑽をうながすメッセージが中心とされています。
公教育の場における「中立性」は、いつの時代も重要なテーマです。
今回のケースでも、著名なアーティストの個性豊かな作品を採用することのメリットと、社会的な立場や発言まで含めて慎重に受け止めるべきだという視点の間で、バランスが問われていると言えるでしょう。
「著名人が校歌を作る」新たなトレンド
近年、公立学校の校歌を、著名なミュージシャンや作曲家が手がける例が少しずつ増えてきています。
記事やコラムなどでは、椎名林檎さんのほかにも、さまざまなアーティストが校歌制作に携わった事例が紹介され、「著名人が公立学校の校歌を作る」という流れがひとつのトレンドとして語られるようになりました。
こうした取り組みの背景には、
- 少子化が進む中で、学校の魅力を発信する新たな試みが求められていること
- 地域や学校の特色を、音楽という形で広くアピールしたいという思い
- 生徒にとっても、プロのアーティストとのつながりがモチベーションになる可能性
などがあると見られています。
一方で、今回のように話題性が高い分だけ、賛否も生まれやすくなります。校歌は長く歌い継がれる存在であるため、目先のインパクトだけでなく、「10年後、20年後の卒業生がどう感じるか」という視点も大切になってきます。
生徒たちと校歌の「これから」
今回の校歌は、その難易度の高さゆえに、生徒たちが歌いこなすまでには時間がかかるかもしれません。
しかし、時間をかけて練習し、歌詞の意味を理解していく過程そのものが、生徒たちにとって貴重な経験になる可能性もあります。
「精魂を研鑽して行こうぞ」「前途祝してくれ太陽」といったフレーズには、未来へ向かって学び続ける姿勢や、自分たちの可能性を信じる気持ちが込められているとも受け取れます。
最先端の科学技術に挑む高校生たちが、難しい校歌に向き合い、やがて自分たちの歌として誇りを持って歌えるようになったとき、この校歌は単なる話題作を超えた存在になるかもしれません。
今回の議論は、「校歌とは何のためにあるのか」「公共性と表現の自由をどう両立させるのか」といった、大きなテーマにもつながっています。
椎名林檎さんが挑戦した、前例の少ない「林檎流・校歌」は、今後も多くの人の関心を集め続けそうです。




