中東情勢悪化で「ナフサ危機」深刻化 塗料・断熱材の高騰が住宅づくりを直撃

中東情勢の緊迫化を背景に、建築資材の原料となる「ナフサ」の価格が高騰し、市場への供給も不安定になっています。
その影響は、住宅の新築やリフォームに欠かせない塗料断熱材などの資材価格に直結し、家づくりの総額が数百万円単位で押し上げられるケースも出てきました。

実際に、ナフサ由来の建材価格は大幅に上昇しており、断熱材は約40%塗料は約80%もの値上がりが報告されています。さらに、中東からの供給不安によって資材そのものの調達が難しくなり、工事の中止や遅延も現実的なリスクとなっています。

「ナフサ」とは何か 住宅とどう関係しているのか

ナフサ(ナフサ留分)は、原油を精製する過程で得られる石油製品の一種で、プラスチックや合成樹脂、溶剤、塗料などの原料として広く利用されています。建築分野では、次のような製品にナフサ由来の素材が多く含まれています。

  • 外壁・屋根・内装用の各種塗料
  • 発泡プラスチック系の断熱材
  • 内装ボード、防水材、接着剤などの樹脂製建材

このため、ナフサ価格が高騰したり、供給が不安定になると、こうした建材の価格や流通量に直接影響が及びます。今回の「ナフサ危機」は、住宅建設やリフォームの現場にとって、避けて通れない問題となっています。

断熱材40%・塗料80%の高騰が家計に与えるインパクト

住宅の総額が「数百万円」増加する可能性

最新の動向によると、ナフサを原料とする建材のうち、断熱材が約40%値上がりし、塗料は約80%値上がりしていると報じられています。
これらは家一棟あたりの使用量が多く、しかも外壁・屋根・内装全般にわたって使われるため、住宅の総工費に与える影響は小さくありません

例えば、外壁塗装や屋根塗装を伴う大規模リフォームの場合、塗料費の割合は工事費全体の中でも無視できないウェイトを占めます。そこに材料価格の80%増が加わることで、トータルの工事費が数十万円から百万円以上増加するケースも想定されます。
新築住宅でも、断熱材や防水材などナフサ由来の資材を多く使用しているため、全体の建築費が数百万円規模で膨らむとの指摘も出ています。

工事費アップだけではない「仕様変更」のリスク

価格上昇に加え、調達そのものが難しくなった結果、

  • 予定していたグレードの塗料が入手できず、別の製品に変更せざるを得ない
  • 断熱性能や耐久性に影響が出る可能性のある仕様変更を求められる
  • 資材が入荷するまで工事そのものを待たなければならない

といった事態も発生しています。費用面だけでなく、品質や工期の面でも「予定通りに進まない」リスクが顕在化している状況です。

中東情勢と資材調達難 「工事の中止・遅延は避けられない」との声

業界団体が「工事中止や遅延は避けられない」とコメント

中東情勢の悪化により、原油やナフサの供給不安が高まる中、建設業界では資材調達の難しさが深刻化しています。
建設業界団体からは、「工事の中止や遅延は避けられない」との見解も示されており、今後しばらくは不透明な状況が続くと見られています。

とくに影響が出ているのが、

  • 外壁・屋根の塗装工事
  • 断熱改修工事
  • 防水工事などナフサ由来の資材を多用する工事

などで、発注後に資材の納期が延び、結果として工事開始が遅れたり、工期の途中で一時中断を余儀なくされるケースも報告されています。

県営住宅・職員宿舎で外壁改修が一時中断

こうした影響は、民間住宅だけでなく、公的な住宅や施設にも及んでいます。
報道によると、県営住宅や職員宿舎の計6件で外壁改修工事が一時中断する事態が発生しました。理由として挙げられているのが、中東情勢の影響によるナフサ原料の建築資材不足です。

外壁改修では、塗料やシーリング材、防水材など、ナフサ由来の材料が多く使われます。その供給が滞ったことで、工事の継続が難しくなり、やむなく作業を中断したとされています。

公共住宅で工事が止まるというのは、資材不足が局所的な問題ではなく、広範な分野に波及していることを示す象徴的な事例と言えます。

新築・リフォーム前に確認したい3つのポイント

このような状況の中で、新築やリフォームを検討している方が不安に感じるのは当然です。
ここでは、工事を進める前に最低限確認しておきたい3つのポイントをまとめます。

1.見積もりの「前提条件」と「有効期限」をしっかり確認する

資材価格が短期間で変動しやすくなっているため、見積もりの金額がいつまで有効かを確認することが重要です。
具体的には、次の点を意識してチェックすると安心です。

  • 見積書に「有効期限」が明記されているか
  • 塗料や断熱材など、値上がりしやすい項目の単価が明確か
  • 契約後に資材価格が上がった場合、追加請求が発生する条件がどうなっているか

契約書や重要事項説明のなかで、価格変動に関する取り決めを事前に説明してもらい、納得できない点はその場で質問することが大切です。

2.使用する塗料・断熱材の「品名」と「在庫・納期」を確認する

今回のナフサ危機では、価格だけでなく、品薄による納期遅延や欠品も問題となっています。
工事を依頼する前に、次の点を確認しておきましょう。

  • どのメーカーの、どの製品(品名・グレード)を使う予定か
  • その製品の在庫状況納期の目安はどうか
  • もし欠品した場合の代替案(他製品への切り替え)はあるか

とくに、外壁や屋根に使う塗料は、耐久年数や仕上がりに直結する重要な要素です。安易に他の製品へ変更しないよう、品質や保証内容も含めて慎重に検討しましょう。

3.工事スケジュールに「余裕」を持つ

資材調達の遅れや輸送の混乱により、工期が予定通りに進まない可能性があります。
そのため、工事スケジュールを立てる際には、次の点に注意してください。

  • 引き渡しや引っ越しの予定日をタイトに設定しすぎない
  • 外壁塗装や屋根工事など、天候の影響も受けやすい工事は特に余裕を見込む
  • 工事が遅れた場合の対応(仮住まい延長など)も事前にイメージしておく

工務店やリフォーム会社と相談しながら、「最短スケジュール」ではなく「現実的なスケジュール」を組むことで、トラブルのリスクを減らすことができます。

住宅取得・改修の判断は「情報収集」と「冷静な比較」が鍵

ナフサ価格の高騰と中東情勢の不安定化は、個人の力ではどうすることもできません。しかし、情報をきちんと集め、契約内容をよく理解することで、リスクを抑えることは可能です。

新築やリフォームを検討している方は、

  • 複数社から見積もりを取り、資材や工事内容を比較する
  • 塗料や断熱材のグレードを見直し、コストと性能のバランスを検討する
  • 急いで契約を決めず、疑問点を解消してから判断する

といった基本を押さえることが、結果的に家計と暮らしを守ることにつながります。

今後も、ナフサをはじめとするエネルギー価格や国際情勢の変化によって、塗料・断熱材など住宅関連資材の市場は不安定な状況が続く可能性があります。
一人ひとりが冷静に状況を見極めながら、無理のない計画と慎重な判断を心がけることが求められています。

参考元