ANA上級会員プログラム「SFC」が大きく変わる。年間300万円の決済条件が新たに設定される

全日本空輸(ANA)が、自社の上級会員プログラム「スーパーフライヤーズカード(SFC)」の制度を大幅に見直すと発表し、インターネット上で大きな話題となっています。これまで多くのマイラーが「修行」と呼ばれる飛行機搭乗で獲得してきた上級会員資格の在り方が問われる内容となっており、利用者から嘆きの声が上がっています。

「修行」で獲得した資格が無効化される可能性

ANAの上級会員制度では、従来、一定の搭乗実績を積み重ねることで「修行」と称される努力を通じて、永遠の上級会員資格を取得できました。この資格は、一度獲得すればその後の搭乗がなくても継続され、多くの愛好家から「修行の報酬」として珍重されていました。

しかし、今回の改悪では、この「永遠の資格」という概念が大きく変わることになります。新しい制度では、SFC会員であり続けるための条件として、年間300万円以上のカード決済が必須条件となるのです。これまで飛行機に乗るだけで維持できていた資格が、今後はカード利用という新たなハードルが加わることになり、利用者の間で批判の声が広がっています。

新しい「PLUS」区分で段階的なメリットを提供

一方、ANAはこの改悪に対する代替案として、新たな会員区分「SFC PLUS」を導入します。この新しい区分では、年間300万円以上の決済で「毎年5,000マイルの継続ボーナス」が付与される仕組みとなっています。

さらに、SFC PLUSでは、ラウンジ利用やゴールド会員の特典がより「スマート」に統合されると説明されており、ANAはこれを利用者にとってより分かりやすく、使いやすいシステムとして位置づけています。ただし、これまで「使うほど貯まる」カードとして機能してきたプログラムが、今後はより積極的な決済を求める方向にシフトしていることは明らかです。

ユーザーから「メスが入る」との指摘

インターネットニュースサイト「AERA DIGITAL」の報道では、このANAの新制度について「マイル修行にメスが入る」と表現されています。これは、これまで航空会社とユーザーの間で暗黙のうちに成立していた「搭乗による修行で上級会員資格を永遠に保有できる」という契約が、実質的に破棄されることを意味しています。

修行文化は、特に日本の航空業界愛好家の間で深く根付いており、「少ない資金で効率的に上級会員資格を得る方法」として、多くのマニアが研究・実践してきました。その修行が報われなくなるという事態に、愛好家からは「これまでの努力が無駄になるのではないか」という懸念の声が聞かれます。

「改悪」と呼ぶ利用者の心理

なぜ多くのユーザーがこの制度変更を「改悪」と感じるのでしょうか。その理由は明確です。従来の仕組みでは、一度上級会員資格を獲得すれば、その後の経済的な負担なく特典を享受できました。しかし新制度では、毎年300万円という相応の金銭負担が継続的に必要となります。

特に、以前は「工夫と時間をかけることで、必ずしも高い資金力がなくても上級会員になれた」という点が、修行文化の魅力でした。これが変わることで、「経済力のある層だけが特典を享受できる」というより階級的な仕組みに変わっていく懸念があります。

航空業界の収益戦略の転換を示す決定

この改革は、ANAが経営戦略を大きく転換させていることを示唆しています。これまで搭乗者数の増加を重視してきたポイント制度から、より直接的な収益(クレジットカード決済手数料)を重視するビジネスモデルへのシフトです。

背景には、新型コロナウイルスの影響からの経営回復を目指す中で、より安定した収益源を確保したいというANAの事情があると考えられます。ただし、このアプローチは、長年の修行文化を支えてきた顧客層の反感を招く可能性があります。

今後の航空マイル業界への影響

ANAのこの決定は、航空業界全体の上級会員制度に波及する可能性があります。競合他社も同様の経営圧力に直面しており、修行文化そのものが転換点を迎えようとしているのです。

一方で、ANAは新しい「PLUS」区分によって、より多くのユーザーが段階的に特典を享受できる仕組みも用意しています。年間300万円の決済という条件は確かに高いハードルですが、その代わりに安定した毎年5,000マイルのボーナスが保証される点は、一定の価値があると言えるでしょう。

修行ユーザーの選択肢は限定される

これまでマイル修行に打ち込んできたユーザーにとって、これからの選択肢は限定されます。一つは年間300万円の決済条件を受け入れて新制度に移行すること、もう一つは修行を続けることで別の利点を模索することです。いずれにせよ、以前のような「資格を一度取ったら永遠」という美しい物語は終わりを迎えようとしています。

ANAの改革は、一見すると利用者にとって不利な変更に見えますが、同時に経営効率化と持続可能なビジネスモデル構築への必然的なステップでもあります。今後、修行文化がどのように進化していくのか、業界全体の動向が注視されています。

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