原油価格急落でINPEX株が大幅反落 米イラン戦闘終結期待が重くのしかかる

2026年5月6日、ニューヨーク原油先物相場が大幅に下落し、一時90ドルを割り込むという展開になりました。この原油価格の急落が、日本の石油開発企業であるINPEX(インペックス)の株価に大きな打撃を与えています。米国とイランの戦闘終結に向けた合意の可能性が報じられたことが、原油相場の下押し要因となっているのです。

原油価格が一気に下落、12%近い下げ幅に

5月6日のニューヨーク原油先物相場では、WTI原油が前営業日比で10ドルを超える下落を記録しました。5月限の終値は1バレル=83.85ドルとなり、序盤には一時105ドル台半ばまで上値を伸ばしていたものの、その後の下落で90ドル割れまで進む場面も見られました。この急落の背景には、米国とイランの戦闘終結に向けた動きが加速していることへの期待感があります。

イラン当局者が戦争終結に向けて、米国側の主要な条件であるウラン濃縮放棄を検討しているとの報道が伝わったことが、供給懸念の後退につながりました。また、トランプ米大統領がSNSで「ホルムズ海峡を通過した船舶数が、海峡の封鎖以降で最大になった」と発信したことも、市場心理に影響を与えました。

INPEX株が反落、原油価格連動性の高さが裏目に

このような原油相場の下落を受けて、INPEXの株価は大幅に反落しています。INPEXは日本国内を代表する石油・天然ガス開発企業として、原油価格の動きに極めて敏感に反応する特性を持っています。同社が従事する石油開発などの生産「上流」工程では、原油価格の変動が直接的に企業収益に影響を与えるためです。

2026年初頭に中東の地政学リスクが高まり、イランへの侵攻やホルムズ海峡の封鎖懸念が広がったことで、原油価格が高騰するとの思惑が市場に広がりました。この時期、エネルギー関連銘柄、特にINPEXや石油資源開発<1662>といった企業の株価は大きく上昇していました。機関投資家たちは、原油高による業績の上方修正を株価に織り込んでいたのです。

会社予想は減収減益だが、アナリスト予想は上方修正を織り込み

興味深いことに、INPEXの経営陣は2月に発表した今期の会社予想で「減収減益」という厳しい内容を示していました。しかし、その直後の原油高を受けて、5月に控える第1四半期決算での「上方修正期待」が市場に広がりました。アナリスト予想は、会社の公式計画を21%も上回る水準になっていたのです。

この現象は、市場が既に原油価格上昇による業績改善を先読みして株価に織り込んでいたことを意味します。つまり、現在の株価下落は、その期待値の修正につながる可能性が高いということになります。

ROIC と WACC 機関投資家が注視するポイント

機関投資家たちの間では、企業の「稼ぐ力」を示すROIC(投下資本利益率)と、「投資家の期待値」を示すWACC(加重平均資本コスト)のギャップに注目が集まっています。INPEXのようなエネルギー企業は、このギャップが投資判断の重要な要因となるのです。

原油価格が高止まりしていた時期には、このギャップが投資家にとって魅力的に見えていました。しかし、原油価格の急落により、その前提が大きく変わってしまったのです。

過去の教訓 原油価格の低迷と円高基調の圧迫

実は、INPEXは原油価格の低迷と円高基調による収益圧迫という課題を抱えてきた歴史があります。2025年12月期決算では、原油価格の下落の影響を大きく受け、売上収益は11.2%減の2兆113億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は7.8%減の3,938億円となっていました。

今回の原油価格急落が、こうした悪条件が再び訪れる懸念につながっているのです。市場では、原油価格がどこまで下落するのか、そして今後の戦闘終結交渉がどのように進むのかに注視が集まっています。

石油資源開発も同様に反落、原油関連銘柄全体に売りが広がる

INPEX同様に、石油資源開発<1662>も大幅に安くなっています。国内の原油関連銘柄全体に、原油価格下落による売却圧力が広がっている状況です。こうした売却圧力は、企業のコスト管理や新規事業の展開といった経営努力だけでは対抗しにくい、市場全体の需給バランスに基づくものなのです。

今後の展望 米イラン交渉の行方がカギ

今後のINPEX株価の行方は、米国とイランの戦闘終結交渉の進展状況に大きく左右されることになります。交渉がまとまり、中東の地政学リスクが低下すれば、原油価格はさらに下落する可能性があります。一方、交渉が難航すれば、地政学リスクが再び高まり、原油価格の反発につながる可能性もあります。

投資家たちは、INPEXの株式投資を検討する際に、単なる原油価格の変動だけでなく、企業の根本的な収益性、コスト管理能力、そして新規事業展開の可能性といった要因を総合的に判断する必要があるといえます。短期的な原油価格の変動に一喜一憂するのではなく、企業の中長期的な価値創造能力を見極めることが重要なのです。

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