ソフトバンク系「サイメモリ」の次世代メモリ開発がNEDO採択、民間4社からも資金調達

インテルとソフトバンクの子会社であるサイメモリ(SAIMEMORY)が推進する次世代メモリ技術の研究開発プロジェクトが、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択されました。採択された研究開発テーマは「高メモリ密度・広帯域・低消費電力な革新的メモリの製造技術開発」で、事業期間は研究開発開始時点から原則5年間となっています。

次世代メモリ「ZAM」とは

今回開発が進められるのは「Z-Angle Memory(ZAM)」という次世代積層DRAMアーキテクチャです。このメモリは、AI・高性能コンピューティング(HPC)向けの用途を想定しており、高密度化、広帯域化、そして電力効率の改善を同時に実現することを目指しています。

AIの学習や推論、HPC用途では、演算性能の向上とともにメモリ帯域や消費電力がシステム全体の制約要因となるケースが増えています。ZAMの開発は、こうした課題への対応を目的としています。

世界初の「磁界結合無線通信I/O」を採用

ZAMの中核技術は、配線を使用せずに磁界で接続する「磁界結合無線通信I/O」を備えた「垂直ビルド(Z-Angle)」構造です。この構造を世界で初めて採用することで、放熱性能を向上させることができます。これにより、現行のメモリー技術が抱える積層数による制約の解決に取り組むことが可能になります。

具体的には、メモリーの容量拡大、データ転送帯域幅の向上、および低消費電力化を同時に実現することで、AI計算基盤のさらなる高度化に貢献することを目指しています。

体制と研究開発内容

NEDO事業としての研究開発体制は、サイメモリが代表事業者、インテルが共同実施者として参画しているほか、理化学研究所(理研)が共同研究先として挙げられています。

研究開発内容としては、以下の4つが予定されています:

  • ZAM製造方法の設計および開発
  • 新たなウェハボンディング技術を活用した超多積層の実現
  • 積層精度や側面電極の形成などといった量産に向けたプロセス整備
  • 目標性能を満たすキューブの製作

民間4社からのシリーズA資金調達

研究開発の加速を目的として、サイメモリはシリーズAラウンドの資金調達を実施しました。引受先には、富士通株式会社、株式会社日本政策投資銀行、理研、そしてソフトバンク株式会社が名を連ねています。

このNEDO事業の採択に並行する形で、民間からの資金援助も確保されたことになります。これにより、研究開発の推進体制が強化され、早期実用化に向けた取り組みが加速することが期待されています。

AI時代への対応

現在、AI技術の急速な進展に伴い、高性能なメモリ技術の開発が急務となっています。サイメモリのZAM開発プロジェクトは、こうした時代的ニーズに対応する日本発の重要な技術開発として位置づけられています。

今後の5年間の研究開発を通じて、高密度・広帯域・低消費電力を兼ね備えた次世代メモリの実用化が実現されれば、AI・HPC分野における日本の技術競争力が大きく向上することが期待されます。

本プロジェクトの成功は、日本の半導体産業における重要なマイルストーンとなるでしょう。

参考元