AI音声技術「VOICENCE」で別所哲也が1人2役!NTT西日本の革新的な音声CM戦略
AIが実現する新しい表現方法
NTT西日本は2026年3月16日、AI音声事業「VOICENCE(ヴォイセンス)」を活用した音声CMシリーズ「知っている2人」を各種音声配信サービスで公開しました。このプロジェクトの最大の特徴は、俳優・別所哲也さんの声をAIで再現し、上司と部下の2役を1人で演じ分けるという、これまでにない表現方法を実現させたことです。
CMでは、AIで再現された別所哲也さんの声が上司と部下の掛け合い形式で登場し、NTT西日本が通信分野にとどまらずさまざまな事業に取り組んでいることを紹介しています。このような音声CMの制作は、従来の方法では別所さんに改めて収録をお願いする必要がありましたが、VOICENCEの最新技術によって、新たな収録をすることなくAIで声を再現することが可能になったのです。
VOICENCE技術の特徴と可能性
VOICENCEは、わずかな音声から本人の特徴をとらえた声色を再現できる先進的なAI音声技術です。この技術の大きな特徴は、再現した声色をそのままに多言語で出力できる点にあります。つまり、日本語で録音された音声を基に、英語、中国語、その他の言語での出力が可能になるということです。これにより、グローバル展開をする際のコスト削減や、より効率的なコンテンツ制作が実現します。
NTT西日本は2025年10月27日に社内独立組織「VOICENCEカンパニー」を設置し、本格的なAI音声事業をスタートさせました。カンパニー長兼CEOは花城高志で、本社は大阪市に置かれています。このカンパニーの事業内容は、コンテンツプロデュース事業であり、VOICENCEの技術を活用したさまざまなプロジェクトを展開しています。
ユーザー参加型の企画も展開
NTT西日本は、音声CMの公開に合わせて、公式X(旧Twitter)で参加型企画「上司に言われたいひとこと」を実施しました。この企画では、「上司に言われたらうれしいひとこと」や「こんな言葉を言われてみたい」といったセリフを募集し、投稿されたフレーズの一部は、別所哲也さんのAI音声で読み上げるコンテンツとして公開される予定です。
このように、ユーザーの参加を促す企画を組み合わせることで、単なる宣伝ではなく、視聴者との相互作用を生み出す工夫が凝らされています。ユーザーが自分たちの言葉がAI音声で実現される楽しさを体験することで、ブランドへの親近感や関心がより深まるという戦略的な狙いがあると考えられます。
特設サイトでメイキング映像やインタビューも公開
NTT西日本は、CMの公開と同時に特設サイトを立ち上げました。このサイトでは、音声CMシリーズの全6編が公開されているほか、制作の裏側を紹介するメイキング映像も視聴できます。さらに、別所哲也さんへのインタビューも掲載されており、AIで再現された自身の声がCMとして展開されることへの思いや、VOICENCEの取り組みに対する期待などについて、別所さん自身の言葉で語られています。
このような透明性を持った情報発信は、視聴者の信頼を獲得する上で重要な役割を果たします。技術的な背景や制作過程を知ることで、ユーザーはこのプロジェクトに対してより深い理解と関心を持つようになるでしょう。
AI音声技術がもたらす可能性と課題
このニュースが話題になっている背景には、AI音声技術の急速な進化と、その実用化における期待と不安の両面があります。音声CMという形式は、radikoやSpotifyなどの音声配信サービスを活用した新しい広告手法として注目されています。ラジオやポッドキャストのリスナーに直接的にリーチできるため、ターゲット層に対して効果的なマーケティングが可能になります。
一方で、AI音声技術の活用には、タレントの声の権利をどのように守るのかという重要な課題があります。別所哲也さんの場合、本人の同意と協力の下でこのプロジェクトが進められていますが、将来的には声の無断使用や悪用の防止についても、社会全体で考える必要が出てくるでしょう。今回のNTT西日本の取り組みは、タレントや権利者と協力する模範的な事例として、業界の指針となる可能性があります。
今後の展開への期待
NTT西日本が展開するVOICENCEの技術は、音声CM以外にも多くの応用可能性を持っています。多言語対応という特徴を活かせば、グローバル企業による国際的なマーケティングや、教育コンテンツの多言語化、さらにはエンターテイメント業界での活用なども考えられます。
今回の別所哲也さんとのコラボレーションは、AI音声技術が実用段階に入り、実際のビジネスシーンで活躍し始めたことを示す象徴的な出来事です。技術と人間の協力により、新しい表現方法や広告手法が生まれ、クリエイティブの世界がさらに広がっていく可能性が示唆されています。今後のVOICENCEカンパニーの展開や、業界内での他の企業の反応にも注目が集まることでしょう。
