故アントニオ猪木をAIで復活させる「アンドロイド猪木」プロジェクト始動

2022年に亡くなった伝説のプロレスラー、アントニオ猪木さんを人工知能(AI)で復活させるプロジェクトが立ち上げられました。猪木元気工場(東京都)と、ロボット研究の世界的権威である石黒浩・大阪大学栄誉教授が代表を務める企業「AVITA」、そしてSMBCバリュークリエーションが協力して進めるこのプロジェクトは、2027年2月20日(猪木さんの誕生日)の完成を目指しています。

デモ映像で「高市総理」に挑発する猪木のAI

2月19日に東京都内で開催された発表会では、AI猪木のデモ映像が初めてお披露目されました。映像に登場したAI猪木は、「元気ですかー!元気があれば何でもできる。元気があればアンドロイド猪木もできる」と得意の決め台詞を述べた後、「高市総理、驚きの300議席超え。スポーツ平和党があれば分からなかったな」と、2月上旬の衆院選を振り返りながら、高市早苗総理に対して挑発するような発言をしたのです。このユーモアたっぷりの映像は、猪木さんの独特のキャラクターをAIが見事に表現していることを示しました。

開発の背景と目的

このプロジェクトは、平和を願う猪木さんの遺志を継ぎ、いじめや詐欺被害防止を呼びかけるなど、社会課題の解決に役立てることが主な目的です。さらに、「100年先の青少年の人生相談相手」として機能させることも大きな目標として掲げられています。

猪木さんの実弟で、猪木元気工場の社長である猪木啓介さんは、「アントニオ猪木という人間を、いつまでも、どういう人間だったか分かってもらえればという思い」からこのプロジェクトを立ち上げたと語っています。つまり、猪木さんの価値観や思想を100年先の世代にも伝え続けたいという強い願いが背景にあるのです。

ロボット工学の権威・石黒浩教授が語る開発の課題と可能性

石黒浩教授は、これまで夏目漱石や渋沢栄一といった歴史上の偉人、そしてタレントのマツコ・デラックスなど、様々なアンドロイドを製作してきた世界的な権威です。猪木さんのAI開発については、「出版物や映像などが数多く残っている猪木さんはAIに情報を学習させやすい」と述べ、データが豊富である利点を指摘しています。

一方で、開発上の難しさも明かしています。「普通の人より表情や動作が大きく機敏な点が開発するうえでの難しさ」だと説明しており、猪木さんのダイナミックで個性的な動きを再現することが課題となっているようです。しかし石黒教授は、「こういうAIとアンドロイドが一緒になって人間らしい存在が今後、世の中にいろんな形で出てくると思いますけれども、その最初の一歩になるようなプロジェクトになればと思っております」と、このプロジェクトの歴史的意義を強調しています。

プロレスリングでの復活も夢ではない?

興味深いことに、石黒教授は、アンドロイド猪木がプロレスをする可能性についても言及しています。「人間の顔を持ったヒューマノイドが、今はすぐにプロレスをさせることはできないが、割と近いものかもしれない。可能性はある」と述べており、将来的には伝説のプロレスラー猪木がリングで再び活躍する日が来るかもしれないとの見方を示しています。

完成後の活用方法

アンドロイド猪木の完成後は、企業コマーシャルや青少年の人生相談、社会課題解決への注意喚起など、様々な場面での活用が予定されています。同時に、猪木さんの尊厳やイメージを守りながら活用することが重視されているため、単なる娯楽目的ではなく、社会的責任を持った活用が約束されています。

AI技術の進化が生み出す新しい形の「生存」

このプロジェクトは、単に亡くなった著名人を蘇らせるという技術的な試みではなく、猪木さんの思想や価値観を次世代に継承するための取り組みとも言えます。デモ映像で現在の政治状況にコメントするAI猪木の姿は、技術の進化によって、歴史上の人物が現代社会と対話する新しい可能性を示しているのです。

2027年2月20日、故アントニオ猪木さんは、新しい形で「よみがえる」ことになります。それは単なる復活ではなく、AI技術を通じて、次の100年を生きる青少年たちに、平和への想い、チャレンジ精神、そして「元気があれば何でもできる」というメッセージを伝え続けるための、新しい試みなのです。

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