最高裁が違憲判断 成年後見制度利用者の就業制限は職業選択の自由を侵害

本日2月18日午後、最高裁判所は成年後見制度の利用者が警備業に就くことを禁止していた旧警備業法の欠格条項について、憲法に違反するとの判断を下しました。この決定は戦後14例目の違憲判断となります。

事件の背景 軽度の知的障害を持つ警備員の闘い

この裁判は岐阜県に住む30代の男性が起こしたもので、彼は軽度の知的障害を持ちながらも警備員として働いていました。財産管理のため成年後見制度の「保佐人」を付けたことが転機となりました。

当時の警備業法では、成年後見制度を利用する人は警備業に従事することを禁止する欠格条項が定められていました。この条項により、男性は2017年3月に退職を余儀なくされてしまったのです。

男性はこの不当な扱いに対し、憲法で保障された職業選択の自由と法の下の平等に違反するとして、国に対して賠償を求める訴訟を提起しました。

下級審での判断 一貫して違憲と認定

この事件は複数の段階を経て審理されました。1審の岐阜地方裁判所と2審の名古屋高等裁判所は、ともに欠格条項は違憲であるとの判断を下し、国に賠償を命じる判決を言い渡していました。

国側がこの判決に不服として上告し、事件は最高裁判所の大法廷で審理されることになったのです。

最高裁の判断 違憲だが国の賠償責任は認めず

最高裁は本日の判決で、下級審の判断を支持し、欠格条項が憲法に違反することを認めました。判決では、成年後見制度を利用していることだけを理由に警備業から一律に排除されることによる不利益は看過しがたいものであると述べられています。

しかし最高裁は、同時に国への賠償請求については認めないとの判断を示しました。その理由は、「違憲であることが明白であるにもかかわらず国会が正当な理由なく長期にわたって立法措置を怠ったとはいえない」というものです。

つまり、欠格条項そのものは違憲と判断しながらも、国が損害賠償責任を負うほどの著しい過失があったとは認めなかったということです。

欠格条項はすでに廃止 2019年の法改正で削除

注目すべき点として、警備業法の欠格条項については、2019年の法改正で既に削除されています。つまり、現在では成年後見制度の利用者であっても警備業に従事することが法律上禁止されていないということです。

この改正は今回の裁判よりも前に行われており、制度の問題性が社会的に認識されていたことがうかがえます。

判決後の本人コメント 「変化をもたらすために立ち上がることの大切さ」

判決後、男性は会見で「変えるには自分が一歩前に出るしかなかった」とコメントしました。このコメントからは、不当な法律に対して個人が声を上げることの重要性を訴える思いが伝わってきます。

社会的意義 障害者の職業選択の自由の保障

今回の最高裁判断は、成年後見制度の利用者を含む障害者の権利保護において重要な意味を持ちます。身体や精神の状態だけで職業の選択肢を奪うことは、憲法で定められた基本的人権に反するという原則が確認されたのです。

成年後見制度は、判断能力が低下した人の財産管理や身上保護を行う制度ですが、この制度を利用していることが理由で職業選択が制限されるべきではないという考え方が法的に確立されました。

今後への課題 他の職業での同様の制限の検討

この判決を踏まえると、警備業以外の職業における欠格条項についても、同様の問題がないか検討が必要になる可能性があります。障害者の自立と社会参加を促進する観点から、個人の能力に基づかない一律的な職業制限をどのように扱うべきかが、今後の法改正の重要なテーマとなるでしょう。

本日の最高裁判断は、障害者の権利擁護と職業選択の自由を守るための一歩として、社会全体に大きなメッセージを発信するものとなります。

参考元