リビア、17年ぶりの油田探査入札を実施 シェブロンやエニなど大手エネルギー企業が参入
北アフリカのリビアが2007年以来となる17年ぶりの油田・ガス田探査入札ラウンドを実施し、2月11日に落札企業を発表しました。この歴史的な入札には、シェブロン、エニ、コノコフィリップス、QatarEnergyなど世界的な大手エネルギー企業を含む約37社が参加しました。
17年ぶりの大型入札の背景
リビアはアフリカ第2位の石油埋蔵量を保有する石油大国です。現在、1日当たり約150万バレルの石油を生産し、推定約484億バレルの埋蔵量を誇っています。しかし、2011年のムアンマル・カダフィの政権交代以来、長年にわたる政情不安と武装勢力間の対立により、石油生産は大きく減少しました。
リビア国営石油公社(NOC)は、この深刻な状況を打開するため、大手エネルギー企業の投資を呼び戻そうと尽力してきました。今回の入札ラウンドは、その取り組みの中核をなす施策として位置づけられています。
入札対象ブロックと主要契約
今回の入札対象は、沖合11ブロック、陸上11ブロックの合計22地域にのぼります。国営石油公社は、「これはリビアの原油とガスの埋蔵量を増加させ、生産を支援し、リビア国民に経済的安定を提供する」とコメントしています。
落札結果では、複数の重要な契約が成立しました。最も注目される契約は、フランスのトタル・エナジーズと米国のコノコ・フィリップスによるワハ鉱区での25年間の石油開発契約です。この契約の総額は200億ドルを超える規模であり、ワハ石油会社の生産量を日量約85万バレルに増加させることを目指しています。リビアの純収益は3,760億ドルを超えると見込まれています。
また、QatarEnergyはエニが運営する共同企業体の一部として、海洋ブロックO1の探査・生産権を獲得しました。エニが60%の株式を保有し、QatarEnergyが40%の持分を持つ形での契約となっています。
さらに、米国のシェブロンはシルテ盆地の新規ブロックを獲得し、リビア市場への本格的な参入を実現させました。リビア政府は同時にシェブロンとの協力覚書にも署名しています。
天然ガス事業の大幅な拡大計画
油田開発と並行して、リビアは天然ガス事業の大幅な拡大も計画しています。リビア国営石油公社の会長は、今後5年間で天然ガス生産量を日量約10億立方フィート(年間約100億立方メートル)まで引き上げる計画を明らかにしました。
現在、リビアがヨーロッパに輸出している天然ガスは、イタリア向けの「グリーンストリームパイプライン」経由のごくわずかな量に留まっています。しかし、生産量の増加により、2030年初頭までにヨーロッパへの輸出供給量を大幅に拡大させる計画です。
リビアはシェールガス開発にも力を入れる方針を示しており、2026年後半からシェールガス掘削を開始する予定となっています。また、さらなるライセンス入札も予定されており、非在来型資源や小規模油田を対象とする可能性があります。
リビアが保有するガス埋蔵量は80兆立方フィート(約2,265億立方メートル)に達するとされており、従来型資源と非従来型資源の両方を活用する戦略が進められています。
国際的なエネルギー供給への影響
リビアのこうした動きは、世界のエネルギー市場、特にヨーロッパのガス供給に大きな影響を与える可能性があります。ロシア産ガスの輸入禁止が2026年1月1日から実施されるなか、ヨーロッパはエネルギー供給源の多様化を急いでいます。リビアからのガス供給拡大は、この需要を補う重要な選択肢となり得るのです。
今後の展開と課題
今回の入札ラウンドは、リビアのエネルギー産業復興に向けた大きな一歩です。1月24日にはトリポリで第4回リビアエネルギー経済サミットが開催され、米国のドナルド・トランプ大統領の中東問題担当大統領補佐官やトルコ、エジプトなど多くの国の代表者が参加しました。これは、リビアの復興に対する国際的な関心の高さを示しています。
しかし、リビアは依然として政情不安定という課題を抱えています。武装勢力間の対立が油田の閉鎖を引き起こすリスクも残っており、こうした地政学的リスクが大規模投資の進展を左右する可能性があります。今後、リビア政府が政治的な安定化をいかに実現できるかが、これらのプロジェクトの成功を左右する重要な要素となるでしょう。
いずれにせよ、今回の入札ラウンドの実施は、リビアが長年の困難を乗り越えて、世界のエネルギー供給に再び貢献しようとする強い意志を示すものとなっています。


