住宅ローン金利が急騰局面へ、大手5行が2月から一斉引き上げ――日銀利上げと長期金利上昇が招く変化
日本銀行の政策金利引き上げを背景に、住宅ローン市場で大きな転換が起きようとしています。大手銀行5行が2月から固定金利を引き上げることが決まり、すでに1月時点で住宅ローン市場は激変の最中にあります。これまで低金利環境で進んできた住宅ローン選択にも影響が出始めており、家計の返済負担増加が懸念される状況です。
大手5行が固定金利を引き上げ、27年ぶりの高水準へ
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行、三井住友信託銀行の大手5行は、2月から適用される10年固定住宅ローンの最優遇金利を引き上げることを決定しました。具体的には、三菱UFJ銀行が2.75%(前月比+0.07%)、三井住友銀行は2.85%(同+0.2%)、みずほ銀行は2.75%(同+0.2%)、りそな銀行は3.165%(同+0.22%)、三井住友信託銀行は3.175%(同+0.33%)となります。
1月時点で、すでに三菱UFJ銀行は10年固定の最優遇金利を2.68%、みずほ銀行は2.55%に引き上げています。これらの引き上げの背景には、1月20日に長期金利が2.380%という27年ぶりの水準をつけたことがあります。長期金利はその後いったん落ちついていますが、市場環境は大きく変わった状態にあります。
日銀の利上げが住宅ローン金利上昇の主要な要因
日本銀行は2025年12月18日・19日の金融政策決定会合で、政策金利を0.50%から0.75%へ引き上げました。この決定が住宅ローン市場全体に波及しています。
現在、変動金利型住宅ローンはほとんどの銀行で据え置かれていますが、これは日銀の追加利上げによる影響が4月以降に本格化するためです。多くの銀行は2026年4月に、住宅ローンの変動金利を一斉に0.25%引き上げる可能性が高いと見られています。一方、固定金利は長期金利の上昇に連動して、すでに1月から上昇が始まっているのです。
日本銀行がこれまで利上げに踏み切った判断軸として、賃金と物価の好循環が続くこと、人手不足による賃上げ継続の可能性、企業収益の高水準維持などが挙げられます。これらの要因により、さらなる利上げの可能性も指摘されています。
今後の金利見通しと家計への影響
今後の金利上昇シナリオは複雑です。1月から3月の時点では、変動金利は0.8~1.0%前後、固定金利は1.8~2.1%前後と予想されています。しかし4月から6月にかけて、変動金利は1.0~1.2%、固定金利は2.0~2.3%へ上昇する可能性があります。
多くのエコノミストは、日銀の政策金利が最終的に1.5%程度まで上昇すると見ており、その水準に向けて1~2年かけてゆっくりと利上げが行われるものと考えられています。円安が続く場合、さらに早いタイミングで追加利上げが実施される可能性も指摘されています。
家計への影響は深刻です。現在、変動金利と固定金利の差(年1.29%)は、月々の返済額で約2万円、総返済額で約900万円もの差となります(借入額3,500万円、35年返済の場合)。このため、借り換えのタイミングなどを慎重に検討する必要が生じています。
変動金利と固定金利の選択が重要な局面
現在の市場環境下では、変動金利型と固定金利型の選択がより一層重要になっています。変動金利は1月時点でほぼ据え置かれていますが、4月以降の上昇が見込まれています。一方、固定金利はすでに上昇局面に入っており、将来の金利上昇を事前に織り込む選択肢となります。
ソニー銀行の変動セレクト住宅ローンは年0.997%、SBI新生銀行のパワースマート住宅ローン(変動金利半年型)は年0.590%となっています。これらと固定金利を比較した際、現在の時点で固定金利を選択することで、将来の金利上昇リスクから身を守ることができる側面があります。
フラット35も上昇、不動産市場全体への波及
固定金利で知られるフラット35も影響を受けています。2026年1月の【フラット35】金利は2.08%に決定し、12月下旬での予想(1.99%~2.04%)を上回りました。背景には、1月の新発10年国債利回りが大きく上昇したことがあります。2月のフラット35金利は2.18%~2.28%へ急騰する可能性も指摘されています。
こうした金利上昇トレンドは、不動産市場全体に大きな影響を与える局面となっています。住宅ローンの金利上昇は、住宅購入時の返済負担を増加させ、購買力の低下につながります。特に頭金が限定的な層では、購入判断に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。
政策環境と市場動向
高市政権の積極財政政策が展開される中、市場は政府の財政出動規模と日銀の金融政策の方向性に注視しています。積極的な財政支出は長期金利に上昇圧力をもたらす傾向があり、これが住宅ローン金利の上昇につながっているとも考えられます。
2026年は、日本の住宅ローン市場が大きな転換点を迎える年となりそうです。変動金利から固定金利への借り換えを検討している世帯、これから住宅ローンを申し込もうとしている世帯にとって、金利選択は慎重に行う必要があります。各銀行の金利設定も顧客獲得を強化する目的で異なる可能性があるため、比較検討の重要性がこれまで以上に高まっています。
今後の住宅ローン選択にあたっては、現在の金利水準や将来の金利上昇予想を十分に踏まえた上で、自身の家計状況に最適なプランを選ぶことが重要です。銀行ごとの引き下げ幅の違いや、キャンペーン適用の有無なども含めて、複数の商品を比較検討することをお勧めします。


