千葉・鋸山「ラピュタの壁」ライトアップが物議 光害懸念で一時中止、23日に再開

千葉県富津市の国定公園・鋸山にある観光名所「ラピュタの壁」の夜間ライトアップをめぐり、SNS上で「光害ではないか」「野生動物への影響が心配」といった批判の声が相次いでいます。市は約350万円をかけてライトアップを開始しましたが、懸念の声を受けて一時中止に追い込まれ、機器の調整と確認を行った上で1月23日から再開しています。

観光振興の新施策として1月18日にスタート

富津市は夜の観光の目玉を作ろうと、1月18日からライトアップを開始しました。暗闇の中に走る青い光が石切り場の跡地の断崖絶壁を照らし出す様子は、スタジオジブリの映画『天空の城ラピュタ』に登場する城の壁を連想させるため、地元では「ラピュタの壁」と呼ばれています。

ライトアップの仕組みとしては、約1.5km離れた港の方面からサーチライトを照射し、さらに崖下から壁面をライト6台で照らしています。この幻想的な光景に、近隣住民からは「オーロラみたいな感じでキレイだった」と歓迎の声が上がり、観光客の増加に期待する声も聞かれました。

SNSで「光害」と「野生動物への影響」を懸念する声が相次ぐ

しかし、インターネットのSNS上では批判の声が急速に広がりました。「やめてほしい。山の動物や鳥が怖がります」「ケバケバしいライトで、静かな夜を味わう権利を奪っている」「明らかな光害で賛同できない」「せっかくの夜空が台無し」といった書き込みが相次いだのです。

こうした批判の背景にあるのが、「光害」という問題です。過剰な照明がもたらす悪影響を指す光害について、環境省の光害対策ガイドラインでは「夜空に向けたサーチライトの使用は夜空の明るさへの影響が大きく、避けるべきである」と明記されています。生態系への悪影響や、夜間の暗さを求める住民の生活環境への配慮といった観点から、関心の高いテーマとなりました。

一時中止を経て、1月23日に再開

SNS上の批判の声を受けて、富津市はライトアップを一時中止する事態に追い込まれました。その後、機器の調整と必要な確認を改めて行った上で、1月23日からライトアップを再開しています。

市は「イット!」の取材に対し、ライトアップの時間は日没から午後9時までで、深夜帯の照射は行っていないことを説明しました。また「遮蔽物のない夜空へ直接照射することは行わず、光が上空に拡散しないよう、方向及び角度を制御している」としており、周辺環境への配慮を強調しています。

地元住民の反応は賛否両論

地元の住民の声を聞くと、意見は分かれています。再開を歓迎する住民からは「上に向けてライトをしてるって言うから、住民にはあまり影響はない。素敵なものなので、これを機に富津に見に来てもらえれば、全然観光客が増えれば嬉しい」とのコメントが聞かれました。観光地としての活性化に期待する声も少なくありません。

一方で、野生動物への影響や光害に対する懸念を払拭しきれない住民もいます。市は「周辺環境に配慮しながら、地域住民の皆様とともに、地域の活性化に向け、引き続き取り組んでまいります」とコメントしており、今後の対応の行方が注目されます。

「行政がSNSの声に振り回されすぎ」との指摘も

このライトアップをめぐる一連の出来事について、政治評論家の橋下徹氏は「行政がSNSの声に振り回されすぎ」とコメントしています。SNS上の批判の声が行政判断に大きな影響を与えた事例として、現代における課題として指摘されました。

観光振興と環境保全のバランスが問われる

「ラピュタの壁」のライトアップをめぐる今回の論争は、地域の観光振興と環境保全、そして住民生活の質をどのようにバランスさせるかという、自治体が直面する課題を浮き彫りにしました。

約350万円をかけた夜間観光の新施策は、確かに多くの人々を魅了する幻想的な光景を作り出しています。しかし一方で、野生動物への影響や光害といった環境問題、そして地域住民の静かな夜を求める権利といった課題も提起されています。

富津市が講じた機器の調整や光の方向・角度の制御といった措置が、これらの懸念にどの程度対応できるのか、また地域住民との対話がどのように進むのかが、今後の重要なポイントとなるでしょう。ライトアップの再開から数日経った今、その実際の影響や反応がどのように推移するのか、引き続き注視する必要があります。

観光地としての魅力向上と環境保全の両立は、全国の観光地が直面する共通の課題でもあります。富津市の対応は、その解決策を模索する一つの事例として、他の自治体からも注目されることになるかもしれません。

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