鹿島建設が濁水処理を革新!薬品自動添加システムで管理業務を9割削減

大手建設企業の鹿島建設は2026年1月26日、建設現場の排水処理に用いる濁水処理装置において、最適な薬品量を自動で添加するシステムを開発し、実工事に初めて導入したことを発表しました。このシステムは建設現場の「裏方業務」とも言える濁水処理の管理を大幅に効率化するもので、建設業界のデジタル化(DX)を象徴する取り組みとして注目されています。

建設現場の排水処理が抱える課題

建設現場からの排水を下水や河川へ放流する際には、排水基準を満たすための処理が必要不可欠です。一般的には中小規模から大規模な濁水処理装置が広く使用されており、これらの装置では処理能力に応じて適切な薬品を投入することが重要になります。

しかし従来の運用では、現場の作業者が常時装置に張り付いていることは現実的ではなく、定期的に現地で濁水の状況を確認しながら薬品量を調整するという方式が一般的でした。このような運用方法では、水質の変化に即座に対応できず、安全を見越して少し多めに薬品を投入することが積み重なり、管理工数の増加と薬品使用量の増加につながっていました。

自動添加システムの特徴と仕組み

鹿島建設が開発したシステムの最大の特徴は、既存の濁水処理装置に後付けできる点です。新しい装置に丸ごと入れ替える必要がなく、コスト効率的に導入できます。このシステムは処理能力が10~60m³/時間の中小規模装置を対象に開発されました。

システムの構成は以下の通りです。現場側には流量計、pH計、濁度計などのセンサーが取り付けられ、リアルタイムで水の状態を計測します。裏側では、PLC(プログラマブルロジックコントローラー)とインバーターを搭載した制御盤が薬品注入装置を制御します。

濁水が処理装置に流れ込むと、まず流量や水質がリアルタイムで計測されます。そのデータをもとに、制御盤内のPLCが必要な薬品量を自動で算出し、インバーター制御により薬品を自動投入するという仕組みです。重要な点は、この調整が一度きりではなく、処理中ずっと継続される点です。濁度やpHが変化すれば、その都度投入量も自動で調整されます。

リモート監視と異常検知機能

このシステムにはモニタリング・アラート機能も搭載されています。スマートフォンやタブレット、パソコンなどから、いつでも濁水処理装置の稼働状況を遠隔で確認することが可能です。異常が発生した場合には、自動的にアラートメールが利用者に配信され、薬品添加量の調整などの対応を遠隔で操作できます。

このリモート監視機能により、現場への常駐が不要になり、複数の現場を一括管理することも可能になります。

驚異的な削減効果

鹿島建設は導入前に国内の4現場でこのシステムを試験導入し、その効果を検証しました。結果は極めて良好です。薬品添加に係る管理業務時間を約90%削減でき、薬品添加量も約75%削減できることが確認されました。

この数字は、建設現場の運営コストと環境負荷の両面で大きなメリットをもたらします。管理業務の大幅な削減により現場スタッフの負担が軽減され、より重要な業務にリソースを振り分けることが可能になります。また、薬品使用量の削減は環境への配慮にもつながります。

本格運用開始と今後の展開

試験導入で効果が確認されたため、鹿島建設は大阪府寝屋川市で施工中の工事にこのシステムを導入し、本格的な現場運用を開始しました。

今後、鹿島建設は本システムを全国の建設現場に普及展開していく予定です。同時に、より汎用性を高めるため、処理能力が60m³/時間を超える大規模な濁水処理装置への適用を目指した検証に取り組んでいくとのことです。このシステムは、メーカーを問わずどの濁水処理装置にも適用可能な設計になっているため、業界全体への波及効果が期待できます。

建設業界のDXの象徴として

濁水処理は建設現場にとって欠かせない一方で、これまではなかなかDXの話題に上りにくい分野でした。多くの建設関連企業のDX推進は、設計や施工管理といった表に見える業務に偏りがちでした。

しかし今回の濁水処理装置向け薬品自動添加システムは、こうした「裏方業務」にまで建設DXの波が及んできたことを象徴しています。建設業全体の生産性向上と業務効率化は、このような地道な業務の改善の積み重ねの上に成り立っています。鹿島建設のこの取り組みは、建設業界全体のデジタル化が進む中で、着実に成果を上げていることを示す好事例と言えるでしょう。

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