ヤマトHDと国分グループが提携、地方の食品を全国へ届ける新しい流通プラットフォーム構築

ヤマトホールディングス(HD)と国分グループ本社は1月15日、持続可能な地域社会の創造に向けたパートナーシップ協定を締結したことを発表しました。この協定は、日本における地域の社会課題解決に向け、食の生産から生活者までをつなぐ流通プラットフォームを構築し、食のサプライチェーンの強靭化を目指すものです。

協定の背景と目的

国分グループは、2026年より始動した第12次長期経営計画のビジョンとして「食の価値循環プラットフォーマー」を掲げており、新しい食のサプライチェーン構築をリードしています。一方、ヤマト運輸は地域の生産者という顧客基盤を抱えながら「できあがった荷物を運ぶことしかしていない」というジレンマを抱えていました。両社の経営資源と強みを活かすことで、このジレンマを解決し、より価値のある物流サービスを実現することが協定の背景にあります。

国分グループ本社の國分晃社長は、「地域社会への貢献には物流インフラが重要である」と述べ、ヤマトHDの持つ強固な輸送ネットワークと国分の食品流通への知見を掛け合わせることで、食のサプライチェーンの強靭化につながると考えを示しています。

5つの共創領域での具体的な取り組み

今回の協定では、両社の強みとリソースを活かし、生産者から生活者までをつなぐプラットフォーム構築に向けて、5つの共創領域における連携が定められています。

1つ目は「買い物困難地域における移動販売・定置販売拠点の構築」です。山間部や離島などの買い物困難地域に対して、国分グループの物流センターからヤマト運輸の営業所をつなぎ、移動販売や販売拠点の構築を行うことで、食品などの生活必需品を届ける仕組みを作ります。

2つ目は「地域営業拠点・施設を活用した生産地型集約拠点の構築」です。地域の営業拠点や施設を活用して、生産地で商品を効率的に集約する仕組みを整備します。

3つ目は「航空機や宅急便ネットワークを活用した遠隔地間での食品流通の拡大」です。ヤマトが保有するフレイター(貨物専用機)やベリー(航空機のお腹部分)、そして全国に広がる宅急便ネットワークを活用することで、地方で生産された食品を迅速に全国へ届けることができます。地方の「眠れる名産」を全国に空輸する仕組みが実現されることになります。

4つ目は「都市部におけるプロセスセンターや在庫型センターなどの消費地型拠点の構築」です。都市部に流通加工施設や在庫型拠点を整備することで、消費地側での供給力を高める構想が盛り込まれています。物流拠点内にプロセスセンターを構築することで、流通の効率化と付加価値化が実現されます。

5つ目は「生産者と小売や外食事業者、消費者をつなぐダイレクトマーケットの創出」です。ECサイトの共同展開なども視野に入れながら、生産者と消費者を直接つなぐ新しい販売チャネルを創出します。

消費者と生産者の双方にもたらされるメリット

本協定による主な取り組みは、消費者および生産者の利便性向上を第一に掲げています。ヤマトHDの経営資源を有効活用することで、生産者の人手不足対策や商品の付加価値向上につながることが期待されています。

また、国内外の物流における高付加価値化や最適化の実現も重要な目標です。拠点や機能、ネットワークなどのリソースの相互活用による価値創造を進め、両社の協議により決定した取り組みも推進していくことになります。

地域社会への貢献と持続可能性

今回の協定は、単なる物流提携にとどまりません。国分グループが地域の企業や生産者、自治体・教育機関との協業を通じて、その土地ならではの商品やサービスを開発・発掘し、国内外に広めてきた実績と、ヤマトの全国規模の物流ネットワークを組み合わせることで、日本全体の地域社会課題の解決に貢献するという大きな目標を掲げています。

國分晃社長は、今回のパートナーシップ協定が「どちらからともなく、阿吽(あうん)の呼吸によって話がまとまった」と明かしており、両社の協力関係が自然発生的に形成されたことを示しています。事業モデルが異なる両社ですが、地域社会への貢献という共通の目標に向かって、それぞれが得たい「果実」を追求していくことになります。

ヤマトHDの戦略的な転換

ヤマト運輸は従来、完成した商品を運ぶことが主な事業でしたが、この協定により、宅急便の枠を超えた取り組みにチャレンジすることになります。地域の生産者との連携を強化することで、商品企画の段階から関与し、付加価値の高いサービスを提供する新しいビジネスモデルの構築を目指しています。

地方創生への期待

山間部や離島などの過疎地域では、物流維持が重要な課題となっています。本協定を通じて、過疎地域での物流維持を図ることなどが実現されることで、地方の生活環境の向上と地方創生が後押しされることが期待されます。

低温物流網などを活用した食品流通の効率化により、鮮度を保ったまま全国への配送が可能になり、地方の食品産業の振興にもつながるでしょう。

今後の展望

国分グループとヤマトHDのパートナーシップは、日本の食のサプライチェーン全体に大きな変化をもたらす可能性を秘めています。両社の協力により、地域の食品産業がより活性化し、消費者がより良い食品にアクセスできる環境が整備されることが期待されます。また、地域社会の課題解決に物流を軸に取り組むモデルは、他の産業や地域へも波及効果をもたらすかもしれません。

この協定が実現する新しい食の流通プラットフォームは、日本における持続可能な地域社会の創造に向けた、重要なステップとなるでしょう。

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