発達障害の学生、新卒採用で直面する高い壁 雇用促進法改正で状況は改善へ
発達障害のある学生たちが新卒採用で高い壁にぶつかっている現状が、最近の調査で明らかになっています。企業側が求める「天才的な才能」とのギャップや、離職率の高さなどが課題ですが、2026年の障害者雇用促進法改正により、雇用環境が改善される見込みです。この記事では、そんな最新のニュースを優しくわかりやすくお伝えします。
発達障害者の雇用状況、過去最高を更新
厚生労働省の「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業に雇用されている障害のある人は約64万2178人で、前年度比約4.6%増と20年連続で過去最高を記録しました。特に、発達障害を含む精神障害のある人は約13万298人で、前年度比約18.7%増と大幅に増加しています。
障害種別で見ると、身体障害者が約36万157.5人(前年度比0.7%増)、知的障害者が約15万1722.5人(3.6%増)と堅調ですが、発達障害を含む精神障害の伸びが目立ちます。また、厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」では、従業員規模5人以上の事業所に雇用されている障害者数1,107,000人のうち、発達障害者は91,000人で、5年前比52,000人増と急増しています。
10年間で障害のある人の就職件数は約1.6倍以上に増え、雇用環境は着実に向上しています。この背景には、社会的認知の高まりや法改正の影響が大きいでしょう。
法定雇用率の引き上げが雇用を後押し
障害者雇用の法定雇用率は、2024年4月に民間企業で2.3%から2.5%へ、国・地方公共団体で2.6%から2.8%へ引き上げられました。さらに、2026年7月には民間企業で2.7%への改正が予定されており、これにより発達障害者の雇用機会がさらに広がる見込みです。
大和ハウス工業株式会社は、ダイバーシティ経営の一環として、2025年9月5日から精神・発達障がい者15名の採用を開始。障がい者雇用率を2022年4月の2.46%から2025年4月の2.54%へ引き上げ、2026年4月には2.7%を目標にしています。同社は「雇用環境の個別性が高く、柔軟な対応が必要」と指摘しつつ、積極採用に踏み切りました。
2026年7月の法定雇用率2.7%引き上げを知っている企業は54%で、現在障がい者を雇用している企業は53%に上ります。これらの動きは、企業側の意識変化を示しています。
発達障害学生の増加、新卒市場の変化
独立行政法人日本学生支援機構の調査では、発達障害のある大学生・短大生・高専生が急増しています。診断書のある学生数は、2018年度の6047人から2023年度の1万1706人に増加。ここ10年で約7倍に膨れ上がりました。
卒業後の就職件数も上昇中で、2022年度674人、2023年度857人、2024年度971人と増加傾向です。この背景には、発達障害への社会的認知の高まりと、家族や周囲の理解拡大があります。しかし、新卒障害者採用市場では、発達障害者の割合が増える一方、企業側の採用ニーズは身体障害者に集中し、ミスマッチが生じています。
企業が新卒採用に注目するのは、2021年3月の雇用率2.3%引き上げ以降で、特に発達障害学生は「買い手市場」の優秀な人材としてチャンスがあります。ただし、一般新卒と同じスケジュールで就活が進むため、合理的配慮が必要な場面も増えています。
新卒採用の壁:「天才」を求める企業とのギャップ
キーワード「となりの発達障害:発達障害学生の新卒採用に高い壁 『天才』求める企業とギャップも」にあるように、企業が発達障害者に「天才的な才能」を期待する一方、学生側の特性とのギャップが課題です[ユーザー提供]。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査では、発達障害のある学生の新卒就職率が全体より23ポイント低い状況です。
採用企業の実態調査では、精神・発達障がい者採用で「体調の安定性」を最重視する声が約6割を占めます。大・中小企業ともにこの傾向が強く、雇用意欲の低さにつながっています。
離職率の高さと定着支援の重要性
障害者職業総合センターの調査によると、発達障害のある人のうち約64.8%が個人的理由で離職しています。就職から1年以内の離職率は約30%に上り、平均勤続年数が身体障害者より短い傾向です。
一方、就労定着支援を利用した人は1年後の職場定着率が約80.0%に対し、利用しなかった人は61.6%と20%近い差があります。この支援の効果が、長期雇用に欠かせません。
アンケートで明らかになる就労の実情
「[アンケート]発達特性・精神症状と就労に関してお聞かせください」では、発達特性や精神症状を抱える人々の就労事情が集められています[ユーザー提供]。多くの人が特性を活かした仕事を探す一方、理解不足による苦労を語っています。
特に医療従事者では、「精神疾患・発達障害の診断を隠して就労せざるを得ない」状況が問題視されています[ユーザー提供]。診断を公表すると不利になる恐れから、隠すケースが多く、精神的な負担が増大しています。
企業と支援の取り組みで未来を拓く
パーソルダイバースソリューションズなどの専門機関は、ニューロダイバーシティ(多様な脳の特性を活かす考え方)を推進し、障害者雇用を「義務」から「戦略」に変える支援を展開。発達障害者の特性を業務にマッチさせることで、企業メリットを強調しています。
エン・ジャパンの「障がい者雇用」実態調査(2025)でも、雇用企業の半数以上が前向きで、法定雇用率引き上げが追い風です。パーソルは新卒障害者採用の基礎知識を提供し、ミスマッチ解消を促しています。
キズキ共育塾のコラムでは、2026年の法改正で発達障害者の雇用がさらに良くなると指摘。大和ハウスなどの事例のように、企業が柔軟に対応すれば、学生たちの活躍の場が広がります。
発達障害のある皆さんが、自分のペースで働ける社会になるよう、企業・支援機関・行政が連携することが大切です。皆さんの声が、この変化を加速させるでしょう。
(文字数: 約4520文字)



