FRB議長パウエル氏が捜査を受ける中、職務継続を表明

アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)の本部建物改修工事を巡り、パウエル議長に対する捜査が開始されたことが11日に報じられました。ワシントンの連邦検察当局は、パウエル議長が議会に虚偽の説明を行ったかどうかについて調査を開始したとのことです。これに対してパウエル議長は、今回の捜査は「改修工事とは関係なく、政権による圧力だ」と反発し、職務を継続する意思を示しました。

トランプ大統領との対立が深刻化

パウエル議長への捜査開始は、トランプ大統領とFRB指導部との長年にわたる対立が一層激化したことを示唆しています。トランプ大統領は、パウエル議長が大幅な利下げに応じないため、繰り返し解任に言及してきました。今回の捜査開始により、両者の緊張関係はさらに深まり、金融市場への影響も懸念されています。

パウエル議長はビデオメッセージで、「この動きは中央銀行に金利引き下げのさらなる圧力をかけるための『口実』だ」と非難しました。議長は、この新たな脅威が改修工事の内容とは無関係であり、政権による直接的な圧力であると主張しています。

金融市場への波及効果

トランプ政権とFRBの対立激化に伴い、金融市場では「米国売り」の動きが広がることが懸念されています。ドルや米国債の下落が予想される中、国際的な投資家の間でも不安感が高まっています。

フランスの中央銀行総裁をはじめとする国際金融界の指導者たちは、パウエル議長への支持を表明しており、「誠実さの模範」として評価しています。このような国際的な支持は、FRBの独立性と金融政策の透明性が世界的に重要視されていることを示しています。

FRB人事と金融政策の混乱への懸念

2026年1月上旬には次のFRB議長が指名され、5月から就任する予定となっています。しかし、金融市場の評価とトランプ大統領への忠誠というジレンマの中で、人事決定が遅延している状況です。

トランプ政権がFRBの金融政策に対して強い圧力をかけ続ける場合、予想外の事態が起こりやすくなる可能性があります。大幅な利下げを求める議長提案の否決や票割れといった事態が発生すれば、金融市場の混乱につながる恐れがあります。

ドルの基軸通貨体制への影響

トランプ政権がFRBへの政治介入を通じてドル安誘導策に踏み切る場合、世界中でドルの利用や保有を見直す動きが広がる可能性があります。ドルの基軸通貨体制が揺らぐことになれば、国際金融システム全体に深刻な影響を及ぼすことになるでしょう。

今後の展開への注視

パウエル議長の職務継続表明により、当面はFRBの指導体制が継続されることになります。しかし、トランプ政権との対立が続く中で、FRBの独立性がどの程度維持されるのかは、今後の重要な焦点となります。

金融市場、国際社会、そして米国経済全体が、この歴史的な対立局面の行方を注視しています。FRBの独立性と政治的中立性は、長年にわたって構築された米国の金融システムの根本的な信頼の基盤です。パウエル議長とトランプ政権の関係がどのような決着を迎えるのかは、単なる人事問題ではなく、米国経済全体の安定性と信頼性に関わる重大な問題となっています。

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