トム・ハンクス主演『グリーンマイル』、NHK BSで放送へ――今あらためて観たい“不思議な力”の物語

トム・ハンクス主演の名作映画『グリーンマイル』が、NHK BS「プレミアムシネマ」で放送されます。2026年1月12日(月・祝)の13:00~16:10に予定されており、3時間を超える大作がノーカットで楽しめる貴重な機会です。

本作は、スティーヴン・キングの同名小説を原作に、『ショーシャンクの空に』のフランク・ダラボン監督が映画化したヒューマン・ファンタジー・ドラマ。アメリカ映画史に残る感動作として多くの映画ファンに愛されており、公開から20年以上が経った今でも、その評価は色あせていません。

1930年代の刑務所を舞台にした“魂の交流”のドラマ

『グリーンマイル』の舞台となるのは、大恐慌時代の1935年、アメリカ南部の刑務所・コールド・マウンテン刑務所です。

物語の中心となるのは、死刑囚棟「Eブロック」、通称“グリーンマイル”。そこは、死刑囚たちが電気椅子による執行を待つ場所であり、「グリーンマイル」という呼び名は、死刑執行室へと続く緑色の床の通路に由来します。

トム・ハンクスが演じるのは、このグリーンマイルの看守主任ポール・エッジコム。職務に忠実でありながら、囚人たちに対しても人間的な尊厳を持って接する、誠実で思慮深い人物です。

物語は、ポールのもとにジョン・コーフィという黒人の死刑囚が送られてくるところから動き出します。コーフィは、二人の少女殺害の罪で死刑判決を受けた囚人ですが、その印象は「残虐な殺人犯」とは程遠いものでした。

身長2メートルを超えるような大柄な体格とは対照的に、コーフィは子どものように純粋でおとなしく、どこか傷つきやすい心を抱えた人物。さらに、彼には他者の苦しみや病を癒やす“不思議な力”が備わっており、その能力はやがて看守たちの人生をも大きく揺さぶっていきます。

不思議な力を持つ死刑囚ジョン・コーフィという存在

ジョン・コーフィを演じるのは、俳優マイケル・クラーク・ダンカン。彼は本作での演技によってアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、その名を一躍世界に知らしめました。

コーフィは、表面的には「少女殺害の罪に問われた死刑囚」です。しかし物語が進むにつれ、看守たちは彼の内面にある優しさと、言葉にはできないほどの“痛み”に触れていきます。コーフィの不思議な力によって、人々は病から救われたり、奇跡とも呼べる出来事が次々と起こったりしますが、その力の背景には、彼自身の深い苦しみと犠牲が伴っていることも明らかになっていきます。

ポールは、彼と向き合うなかで次第に「彼は本当に罪を犯したのか」という疑問と向き合うことになります。しかし、司法の決定は揺るがず、死刑執行の日は刻一刻と近づいてきます。

この「不思議な力を持つ死刑囚」と「彼の無実を確信しながらも法の枠組みから逃れられない看守」という構図が、本作を単なるファンタジーや刑務所ドラマにとどまらない、深いテーマ性を持つ作品に押し上げています。

トム・ハンクスの人間味あふれる演技

主演のトム・ハンクスは、『フォレスト・ガンプ/一期一会』や『プライベート・ライアン』などで知られる名優で、人間味あふれる演技には定評があります。

彼が演じるポールは、死刑囚棟を預かる立場の看守として、厳正さと慈愛という相反する要素を両立させなければならない人物です。死刑執行に関わる仕事に誇りと責任を持ちながらも、その重みと、人間としての良心との間で揺れ動く内面が、トム・ハンクスの繊細な演技によって丁寧に描かれています。

特に、コーフィとの心の交流を通じて、彼が信念と現実の板挟みに苦しむ姿は、多くの観客の記憶に強く残る場面となっています。ポールの視点で語られる物語は、観客自身に「正しさとは何か」「罪と罰とは何か」という問いを投げかけてきます。

個性豊かな共演陣――サム・ロックウェルらの怪演も見どころ

『グリーンマイル』を語るうえで欠かせないのが、ポールとコーフィを取り巻く共演陣の存在感です。

  • マイケル・クラーク・ダンカン(ジョン・コーフィ役)
    不思議な力を持つ死刑囚。巨体と純真な心の対比が印象的で、本作の精神的な中心人物。
  • デヴィッド・モース
    冷静で頼れる看守仲間としてポールを支える存在。刑務所という閉ざされた空間のなかで、プロ意識と人間性を両立させる姿が描かれます。
  • ボニー・ハント
    ポールの妻として登場し、彼の心の拠り所となるキャラクター。家庭での会話やささやかな日常の描写が、物語の重厚なテーマを支える温かいアクセントになっています。
  • ジェームズ・クロムウェル
    刑務所長として、制度と現場の狭間で判断を迫られる立場を担います。冷徹な官僚ではなく、葛藤を抱えた人間として描かれている点も見どころです。
  • サム・ロックウェル
    凶暴な囚人・ワイルド・ビル役で登場し、強烈なインパクトを残します。後にオスカー俳優となる彼の、若き日のエネルギーあふれる怪演を味わえる貴重な作品です。

また、看守のひとりパーシーを演じるダグ・ハッチソンの憎まれ役ぶりも、本作の緊張感を高める重要な要素です。彼の存在が、死刑制度や権力のあり方に対する観客の感情をあおり、物語のテーマをより際立たせています。

『ショーシャンクの空に』と並ぶ、フランク・ダラボン監督の代表作

本作の監督・脚本を務めるのは、『ショーシャンクの空に』で知られるフランク・ダラボンです。

ダラボン監督は、スティーヴン・キング原作の物語を映像化する名手としても評価されており、『グリーンマイル』でもその手腕がいかんなく発揮されています。刑務所という閉ざされた空間を舞台にしながらも、人間の尊厳や生と死、罪と赦し、といった普遍的なテーマが重厚に描き出されています。

『ショーシャンクの空に』と同様に、本作も「絶望の中の希望」と「人間の善悪」を描く物語です。死刑囚と看守たちの関係性や、司法のあり方に対する静かな批評性が込められており、観客に深い余韻を残します。

アカデミー賞にも輝いた、批評家絶賛の名作

『グリーンマイル』は、公開当時から高い評価を集め、第72回アカデミー賞で作品賞を含む4部門にノミネートされました。

興行面でも成功を収めており、製作費約6000万ドルに対して世界興収は約2億8600万ドル、日本国内でも興行収入65億円という大ヒットを記録しています。

このような評価は、単に「感動的な映画」であるというだけでなく、作品全体の完成度の高さ、テーマの深さ、俳優陣の演技力、音楽や撮影などの技術面が総合的に優れていることを物語っています。

音楽を担当するトーマス・ニューマンのスコアも、作品のしっとりとした雰囲気や哀しみ、わずかな希望を繊細にすくい上げており、映像とともに心に残る要素です。

NHK BS「プレミアムシネマ」での放送情報

今回の放送は、NHK BSの「プレミアムシネマ」枠で行われます。

  • 作品名:グリーンマイル(原題:The Green Mile)
  • 放送局:NHK BS
  • 放送日時:2026年1月12日(月・祝)13:00~16:10
  • 形式:字幕スーパー版(予定)

3時間を超える長編ではありますが、その長さを感じさせないほど、物語は丁寧に積み重ねられていきます。初めて観る方はもちろん、すでに一度観たことがある方にとっても、新たな発見があるはずです。

今あらためて『グリーンマイル』を観る意味

『グリーンマイル』は、単なるファンタジーでもなく、死刑制度を正面から断罪する一本調子の社会派ドラマでもありません。むしろ、「人が人を裁く」ということの重さや、「善悪をどこで区切るのか」という、簡単には答えの出ないテーマを静かに問いかける作品です。

ジョン・コーフィの不思議な力は、観客に「奇跡」や「救い」を感じさせる一方で、その力を持ちながらも悲劇的な運命から逃れられない現実が、より深い哀しみを呼び起こします。ポールや看守たちの葛藤は、現代を生きる私たちにも通じる問いを投げかけています。

また、刑務所という過酷な環境のなかであっても、囚人や看守同士の間に芽生える友情や思いやり、ささやかなユーモアが、本作に温かさと希望の光を与えています。そのバランス感覚こそが、『グリーンマイル』が長年にわたって愛され続けている理由のひとつだと言えるでしょう。

トム・ハンクスをはじめとする俳優陣の演技、フランク・ダラボン監督の静かな演出、スティーヴン・キング作品ならではの物語性が絶妙に融合した本作。NHK BSでの放送は、名作に触れる絶好の機会です。まだ観ていない方はもちろん、久しぶりに観直してみたいという方も、ぜひこの機会に“グリーンマイル”を歩む人々の物語に浸ってみてはいかがでしょうか。

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