高市政権、衆議院解散・総選挙はあるのか?――自治体現場と野党、広がる波紋
高市早苗首相による衆議院解散・総選挙の観測が一気に強まり、政界だけでなく、自治体や有権者の間にも緊張が走っています。通常国会の冒頭で解散に踏み切るのではないかという見方が広がるなか、自治体の現場からは悲鳴にも似た声があがり、野党や専門家からは「大義」を問う声が相次いでいます。ここでは、今出ている主な動きを、できるだけやさしい言葉で整理してお伝えします。
通常国会「冒頭解散」観測が急浮上
背景にあるのは、「通常国会が召集されたその冒頭で、衆議院が解散されるのではないか」という冒頭解散説が現実味を帯びてきたことです。与党内には、早期解散で政権基盤をより強固にしたいという思惑があるとされ、メディアでも連日、この可能性が取り上げられています。
報道によると、総務省は週末にかけて、各自治体へ選挙準備を進めるよう緊急連絡を出したとされ、これが「解散は本当にあるのではないか」という観測に拍車をかけました。与野党の選挙準備も一気に加速しつつあり、「解散風」はすでに本格的なものになりつつあります。
もし通常国会冒頭で解散となれば、投票日は2月上旬から中旬のスケジュールが想定されるとメディアは伝えています。短期間での準備を強いられる自治体や候補者にとって、かなり厳しい日程です。
千葉県知事「自治体職員、いたたまれない」
こうした急な解散・総選挙の観測に対して、強い懸念を示したのが千葉県知事です。知事はX(旧ツイッター)への投稿で、もし衆議院が解散となれば、選挙事務を担う自治体職員の負担が極めて重くなるとし、「職員がいたたまれない」といった趣旨の問題提起を行いました。
選挙の裏側では、期日前投票所の設置、投票所の確保や人員配置、投票用紙・ポスター掲示場の準備、開票所の手配など、膨大な事務作業が発生します。特に、今回のように短期間での日程が想定されると、
- 平常業務と選挙事務が重なってしまう
- 残業や休日出勤が大幅に増える
- 新人職員への教育が追いつかない
といった負担が一気に高まることが容易に想像されます。
さらに、インフラ整備、防災、福祉など、自治体が普段から取り組んでいる大事な仕事にも影響が出かねません。知事の発言は、「政治の日程の都合で、現場職員にしわ寄せがいくのではないか」という現場感覚からの警鐘だと言えるでしょう。
「どういう大義が?」――専門家が問う解散の意味
一方で、政治学者や選挙戦略の専門家からは、「高市首相が解散を検討するにあたり、どのような大義があるのかが問われる」との指摘が出ています(日刊スポーツ報道)。
衆議院の解散は、内閣に認められた強い権限であり、本来は
- 重要政策を国民に問う
- 政治的行き詰まりを打開する
- 重大な政権の転換点で信を問う
といった政治的な理由=「大義」が伴うべきだとされてきました。今回の解散検討について、専門家は「それが経済を最優先した判断なのか、あるいは自民党の政権維持・党利党略を優先した判断なのかが問われる」と分析しています。
メディアの分析では、高市内閣を支える高い内閣支持率が、早期解散観測の大きな要因だと指摘されています。ある与党幹部は、「今解散すれば30議席増える可能性がある」と話しているとも報じられており、選挙で勢力を拡大し、積極財政や保守色の強い政策を力強く進めたいという思惑があるとみられています。
しかし、物価高や賃上げ、地域経済の立て直しなど、国民生活に直結する課題が山積するなかで、「いま本当に解散・総選挙を優先すべきなのか」という素朴な疑問もあります。専門家の「どういう大義が?」という問いかけは、多くの有権者が感じている戸惑いを代弁しているとも言えそうです。
国民民主・玉木代表「26年度予算に賛成を確約できない」
今回の解散観測は、与野党の駆け引きにも直結しています。なかでも注目されるのが、国民民主党の玉木雄一郎代表の発言です。
玉木氏は、もし通常国会の冒頭で解散という事態になれば、2026年度予算案に賛成を確約することはできないとの考えを示しました。これまで政府・与党と国民民主党は、「年収の壁」対策などをめぐって一定の協力関係を築いてきたとされ、予算審議でも歩調を合わせる場面がありました。
しかし、「冒頭解散」となると、
- そもそも国会審議が十分に行われない可能性がある
- 予算案の中身を丁寧にチェックする時間がない
- 選挙目当ての解散という批判が強まる
といった懸念が出てきます。玉木氏の発言は、「国民生活に直結する予算が、政局の都合でないがしろにされてはいけない」という立場からの牽制と受け止められています。
別の報道では、政権側は「3月までには予算がスムーズに通る」という見通しを前提に、早期解散の可能性を探ってきたと分析されています。しかし、国民民主党が賛成を確約しないとなれば、その前提は揺らぎかねません。解散のタイミングと予算審議をどう両立させるかは、与党にとっても難しい判断となります。
与党内にも慎重論――「予算を通してからでもよいのでは」
与党内からも、「新年度予算案を成立させてから解散してもよいのではないか」という慎重論が出ていると報じられています。物価高対策や社会保障、地方への支援など、予算案には国民生活を支えるための施策が数多く盛り込まれています。
通常、政府・与党は、
- 予算を年度内にしっかり成立させる
- 国民生活への影響を最小限にとどめる
ことを優先します。そのうえで、政治状況や支持率を見ながら、解散・総選挙のタイミングを探るのが一般的な流れです。
今回、もし予算成立前に冒頭解散という選択がなされると、「なぜそこまで急ぐのか」という疑問がいっそう強まるでしょう。与党内の慎重な声は、「生活や経済を最優先すべきだ」という意識の表れとも言えます。
選挙結果が与党再編にも影響?
一部の政治分析では、今回の解散・総選挙が、与党内外の勢力図を大きく塗り替える可能性も指摘されています。自民党は、世論調査や独自の情勢調査を重ねながら、「単独での過半数維持」あるいは「議席増」を目指していると伝えられています。
同時に、これまで選挙協力を続けてきた公明党との関係や、日本維新の会など他の政党との距離感も、選挙結果次第で変化する可能性があります。ある分析では、「公明党がほとんど小選挙区に候補を立てられない状況になれば、多くの選挙区が自民党と立憲民主党の一騎打ちになる」との見方も示されています。
こうしたなかで、有権者にとっては、単に「どの党に入れるか」だけでなく、
- 解散のタイミングや理由をどう評価するか
- 経済や社会保障、外交といった政策をどう見るか
がますます重要になってきます。
有権者に求められる「冷静な判断」
今回の一連の動きは、
- 自治体現場からの負担増への強い懸念(千葉県知事の発言)
- 専門家が問う「解散の大義」
- 国民民主党・玉木氏による予算審議への懸念
という、三つの視点から考えることができます。
政治の動きはどうしても難しく感じがちですが、解散・総選挙は、最終的には一人ひとりの有権者の一票によって進路が決まる大切な機会です。「なぜいま解散なのか」「どの政策を優先してほしいのか」「生活はよくなりそうか」といった身近な視点から、できる範囲で情報を集め、落ち着いて判断することが求められています。
これから、解散の有無や時期について、政府・与党からの正式な説明が行われていくとみられます。その際には、「自治体の現場の声」「予算と生活への影響」「政局だけでなく経済や社会全体をどうするのか」といった点にも、しっかり目を向けていくことが大切です。



