栄東中学を先頭に、首都圏中学入試が本格スタート 埼玉発「受験シーズン開幕」の現場から
首都圏の中学受験シーズンがいよいよ本格的に始まりました。今年もその「口火」を切ったのは、埼玉県さいたま市にある栄東中学校をはじめとする埼玉の私立中学です。受験当日の朝、最寄り駅には早朝から多くの受験生と保護者が集まり、「ようやく始まった」という安堵と緊張の入り混じった表情が見られました。
この記事では、栄東中学の入試概要や出願状況を手がかりに、埼玉が先陣を切る首都圏中学入試の様子や、「サンデーショック」と大学入学共通テストの影響で変化しつつある学校選びの傾向を、わかりやすく整理してお伝えします。
埼玉が先陣を切る首都圏中学入試
首都圏の中学入試は、一般的に1月の埼玉・千葉入試から始まり、その後2月の東京・神奈川入試へと広がっていきます。その中でも、ここ数年、特に注目を集めているのが栄東中学校です。
栄東中学は、首都圏でも最大規模クラスの受験者数を誇る学校として知られ、毎年1月上旬に行われる入試には、首都圏各地から多くの受験生が集まります。受験会場となるキャンパスの最寄り駅には、試験開始のかなり前から受験生の長い列ができ、埼玉だけでなく首都圏全体の「受験シーズン開幕」を実感させる光景が広がりました。
付き添いの保護者からは、「ここまで長かったけれど、ようやく本番が始まった」「まずは最初のチャレンジを無事に終えてほしい」といった声も聞かれ、準備期間を振り返りながら、いよいよスタートラインに立ったという思いがにじんでいます。
栄東中学 2026年度入試の概要
栄東中学校は、2026年度入試においても大規模かつ多様な入試日程・クラス編成を用意しています。学校法人佐藤栄学園 栄東中学校の令和8年度(2026年度)中学募集要項では、1月10日を中心とした日程で入試が組まれています。
代表的な日程であるA日程(東大クラス・難関大クラス選抜)は、2026年1月10日(土)に実施され、午前9時から12時30分までの時間帯で、以下の4教科が課されます。
- 国語(100点)
- 算数(100点)
- 社会・理科(合わせて100点)
募集人数は、
- 東大クラス特待生(1年間):若干名
- 東大クラス:40名
- 難関大クラス:40名
とされており、合計で80名の募集となっています。
さらに、2026年入試では、これまで「A日程」と総称されていた入試がⅠ入試・Ⅱ入試に分かれ、より明確に性格の異なる試験として位置づけられました。1月10日のⅠ入試では主に東大クラス・難関大クラスの選抜が行われ、1月11日のⅡ入試では難関大クラスが中心となります。
加えて、1月12日には東大特待入試(東大特待Ⅰ試験)も設定されており、4教科型と算数1教科型のいずれかを選択して受験することができます。
出願者数と人気の高さ ― 首都圏有数の「大規模入試」
栄東中学は、例年、首都圏の中学入試の中でも特に出願者数の多い学校として知られています。
2026年度の入試でもその人気は健在で、1月10日時点でのA日程関連の出願数は4,739件と、依然として非常に大きな規模となっています。また、過去のデータでは、1月10日の入試だけで5,000件を超える出願があった年度もあり、首都圏中学入試における「登竜門」としての立ち位置がうかがえます。
一方で、2026年のⅠ入試・Ⅱ入試の出願者数は前年よりやや減少しているとする分析もあり、「人気は続いているものの、ピーク時と比べると少し落ち着きつつある」という見方も出ています。
ただし、模試での判定偏差値は「基本横ばい」であり、日能研の一部で1ポイント下がった程度とされるため、入試全体の難易度が大きく変動したわけではないと考えられています。
「サンデーショック」が学校選びに与える影響
今年の首都圏中学入試で話題になっているキーワードのひとつが、いわゆる「サンデーショック」です。
「サンデーショック」とは、大学入学共通テスト(旧センター試験を含む)が日曜日を中心に実施されることに伴い、その前後の教育スケジュールや、大学進学実績を重視した学校運営に影響が出やすいことから、中高一貫校でも授業・試験・学校行事の組み立てが変化し、間接的に中学受験生の志望校選択にも影響を与える現象を指す言葉として使われています。
特に、
- 高校3年生の共通テスト対策を重視する中高一貫校が増えている
- 大学入試の日程・形式の変化を見据えて、カリキュラムの前倒しや探究学習の配分を見直す学校が増加
- 保護者が「大学受験までを一つのパッケージ」として中学・高校を選ぶ傾向が強まっている
といった流れの中で、栄東中学のように大学入試を強く意識したクラス構成(東大クラス・難関大クラスなど)を持つ学校は、引き続き高い関心を集めています。
中学入試が本格化する1月、なぜ埼玉が「先陣」なのか
首都圏の中学受験では、埼玉県の私立中学入試が1月上旬に実施されるのが大きな特徴です。栄東中学をはじめとする埼玉の学校は、東京・神奈川の2月本番入試に先立つ「前哨戦」として位置づけられることも多く、受験生にとっては次のような意味を持っています。
- 実戦経験の場:大規模な会場で本番さながらの雰囲気を経験できる
- 合否結果を踏まえた志望校の再検討:1月の結果を見て、2月の出願校・受験校を微調整する家庭も多い
- 「第一志望」にもなりうる選択肢:栄東中学のように、進学実績やカリキュラム面で高い評価を得ている学校は、単なる前哨戦ではなく第一志望として受験されるケースも増えている
実際に、栄東中学は近年、埼玉県内だけでなく首都圏全体から志望される人気校となっており、「埼玉を受けてから東京・神奈川へ」という従来の流れに加え、「栄東を第一志望に据えつつ、他地域の学校も併願する」というケースも珍しくなくなっています。
Ⅰ入試・Ⅱ入試・東大特待…多様化する入試パターン
2026年度から、栄東中学の1月10日・11日の入試はⅠ入試・Ⅱ入試と名称が分かれ、名実ともに別試験と位置づけられました。
教育情報サイトの分析によると、
- Ⅰ入試:東大クラス・難関大クラスの選抜
- Ⅱ入試:主に難関大クラスのみ
とされており、偏差値上もⅠ入試の方がやや高めに位置づけられています。2025年入試の段階から、10日と11日は実質的に別試験として扱われ、問題の難易度や合格最低点にも差が出ていたと報告されています。
さらに1月12日の東大特待入試では、4教科型と算数1教科型の選択制となっており、算数が得意な受験生にとっては力を試せる機会にもなっています。偏差値は全体として難関レベルに位置しているものの、近年はⅠ入試や埼玉他校との兼ね合いもあり、出願者層の微妙な変化が指摘されています。
他校との連携と「パック入試」
栄東中学の入試は、埼玉県内の他の私立中学とも連携した受験スケジュールが組まれている点も特徴です。
例えば、同じ佐藤栄学園系の埼玉栄中学校では、2026年度の生徒募集要項の中で、
- 「栄東中学校Ⅰ入試(1/10)またはⅡ入試(1/11)に出願し、同日の本校午後入試に出願する場合」は、埼玉栄中学校側の検定料を5,000円とする「パック入試」
といった制度を設け、受験生・保護者の負担軽減や、複数校併願のしやすさに配慮しています。
このように、栄東中学を中心とした1月の入試日は、埼玉県内の複数校を効率的に受験できるよう工夫されており、受験生にとっては選択肢を広げながら受験計画を立てやすい環境となっています。
保護者の声に表れる「受験シーズン開幕」の実感
入試初日の朝、栄東中学の最寄り駅や学校周辺では、緊張した面持ちの受験生と、それを見守る保護者の姿が印象的です。
保護者からは、
- 「ここまで本当によく頑張ってきたので、今日は落ち着いて実力を出してほしい」
- 「1月入試が始まると、いよいよ受験シーズンだと実感する」
- 「栄東が最初の入試なので、ここで流れをつかみたい」
といった声が聞かれ、「ようやく始まった」という言葉には、長い準備期間を乗り越えてきた家庭の気持ちが凝縮されています。
また、中学入試に臨む小学生にとっては、これが人生で初めて経験する「大きな試験」であることも多いため、保護者の側も、精神的なサポートをどう行うかを模索しながら、子どもとともに入試期間を乗り越えようとしている様子が感じられます。
大学入学共通テスト時代を見据えた学校選び
大学入学共通テストの導入以降、保護者や受験生が「中学受験の時点で、大学受験までを見通して学校を選ぶ」傾向は一層強まっています。
栄東中学のように、
- 東大クラス・難関大クラスといった明確なクラス分け
- 高い大学進学実績を意識したカリキュラム構成
- 中高一貫での体系的な学習計画
を打ち出している学校は、「大学入試まで見据えて早めに土台を固めたい」という家庭からの支持を集めています。
一方で、すべての家庭が「難関大志向」というわけではなく、
- 子どもの性格や学力に合うかどうか
- 学校生活全体の雰囲気
- 部活動や課外活動の充実度
など、さまざまな観点から学校選びを行う動きも広がっています。2026年度入試では、「サンデーショック」や共通テストの影響を踏まえつつも、一人ひとりに合った学校をていねいに選ぶ姿勢が以前にも増して重視されていると言えるでしょう。
「中学校入試が始まりました」から続く長い1か月
栄東中学をはじめとする埼玉の私立中学校の入試は、首都圏中学受験の「スタート」の合図です。この「中学校入試が始まりました」という節目から、2月の東京・神奈川入試のピークまで、受験生と保護者にとっては緊張の続く約1か月となります。
そのなかで、栄東中学のような大規模校の入試は、
- 実力を試す場
- 本命校に向けたペースづくり
- 場合によっては「ここで進学先が決まる」重要な機会
といった複数の意味を持つようになってきました。
受験生にとっては、一つひとつの入試が大切な機会でありながらも、全体としては長いマラソンのような期間です。保護者や周囲の大人たちは、合否の結果だけでなく、そこに至るまでの努力や成長にも目を向けながら、心身の健康に気を配って支えていくことが求められます。
埼玉から始まった2026年度の首都圏中学入試は、これから各地へと広がり、多くの受験生がそれぞれの進路を決めていくことになります。その先頭に立つ栄東中学の入試は、今年もまた、多くの家庭にとって大きな節目となっています。

