巨人・大勢投手に迫る「WBC後遺症」への懸念と、新たな目標に挑む現在地
巨人の守護神候補として期待される大勢投手が、今シーズンを前に再び大きな注目を集めています。
その理由は、3月に行われるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)への出場だけでなく、過去の大会で多くのスター選手が味わってきた「代償」への懸念が高まっているからです。
一方で、大勢投手自身は前向きにトレーニングを続けながら、WBC世界一に続く“ビッグな目標”も掲げています。球団イベントではチームメートの高梨雄平投手と共にファンと交流し、次のステージに向けた決意を語りました。
阿部監督が誰よりも気にかける「大勢のWBC後遺症」
巨人の阿部慎之助監督が、今もっとも気にしている選手の一人が大勢投手です。 その理由は、単にチームの主力だからというだけではありません。阿部監督は、WBCのような大舞台に出場した後の「心身への影響」を、誰よりも深刻に受け止めているからです。
過去のWBCでは、日本代表として戦った多くのスター選手が、シーズンに入ってから疲労やケガに苦しんできました。その象徴的な例として挙げられているのが、かつてメジャーリーグで活躍したイチロー氏です。
2009年のWBCで日本が世界一に輝いた後、イチロー氏はオープン戦の途中で疲労とめまいを訴え、検査の結果「出血性胃潰瘍」と診断されました。 そのシーズン、メジャー9年目にして初めて15日間の故障者リスト入りを経験したことは、今も語り継がれる“代償”のひとつです。
また、WBCで2大会連続MVPに輝いた松坂大輔氏も、同じ年に右肩痛などで2度の故障者リスト入り。 前年に18勝3敗という圧倒的な成績を残していたにもかかわらず、そのシーズンは4勝6敗と大きく成績を落としました。 シーズン後には「股関節に不安を抱えながらWBCに出場していた」と明かし、世界一の裏側にあった大きな負担を示しています。
こうした“WBC後遺症”の歴史を知る阿部監督にとって、チームの生命線である大勢投手のコンディションは、何よりも気がかりなテーマです。 巨人は先発陣に不安を抱える一方で、マルティネス投手らとともに救援陣がチームの要とされており、その中核を担うのが大勢投手だからです。
前回WBC後は約2カ月半の離脱も…苦い経験からの学び
阿部監督が慎重になる背景には、大勢投手自身の過去の経験もあります。
2023年の前回WBC終了後、大勢投手は「上肢のコンディション不良」により、同年6月末から約2カ月半も戦列を離れることになりました。
その期間、巨人のリリーフ陣は大きな痛手を負い、試合終盤の粘りを欠く場面も少なくありませんでした。この経験は、球団にとってもファンにとっても忘れがたいものとなりましたが、なにより本人がその重さを一番理解していると言えるでしょう。
大勢投手は昨年12月のイベントの場で、「チームが本当に大事」と語り、「球団を代表して出るわけなので、迷惑はかけられない。球団の方と話し合いながら進めていかないと」と、WBCとシーズンの両立への強い意識を示しました。 この言葉からも、前回の悔しさを教訓にしながら、より慎重に、自身の身体と向き合っている様子が伝わってきます。
WBC球への適応と「抑え候補」としての信頼
大勢投手は、すでに侍ジャパンの一員として3月のWBC出場が決まっており、大谷翔平選手らとともに世界一奪還を目指します。 昨年11月に行われた韓国との強化試合では、第2戦の9回に同点本塁打を浴びる場面もありましたが、それでも井端弘和監督の信頼は揺らいでいません。
井端監督は、大勢投手を「WBCでの抑え候補」として高く評価しており、その適性を見込んで終盤の重要なイニングを任せる構想を描いています。
WBCでは、「ボールが滑りやすい」と多くの投手が指摘しており、これまで日本のボールに慣れてきた投手にとっては大きなハードルになると言われています。 しかし、大勢投手は「手が小さい人の方が苦戦しそう。それは、この前のWBCで思った。自分は手が大きいので」と話し、ボールへの適応に自信を見せました。
強化試合でバッテリーを組んだ岸田行倫捕手も、「スライダーが大きく曲がる」と大勢投手の持ち味を語っており、ボールの違いをむしろ武器にできる可能性も感じさせます。
川崎での自主トレ公開「選んでいただいた以上、恥じないプレーを」
大勢投手は1月8日、川崎市内のジャイアンツ球場で自主トレを公開しました。 侍ジャパン入りが決まった今、周囲の期待は一層高まっていますが、その姿勢はいたって謙虚です。
取材に対して大勢投手は、「選んでいただいた以上、恥じないプレーをしたい」と語り、代表としてマウンドに立つ責任感をにじませました。 自らを「球団を代表して出る」と位置づけ、巨人と侍ジャパンの両方に貢献する決意が伝わってきます。
その一方で、コンディション管理については球団と緊密に話し合いながら進めていく考えを強調しており、「前回の二の舞は避けたい」という思いがにじんでいます。
高梨雄平とのトークイベントで語った“ビッグな目標”
WBCを前に、大勢投手はチームメートの高梨雄平投手とともにトークイベントに参加し、ファンの前で今季への思いを語りました。 その場では、前回大会で世界一に輝いた経験を踏まえつつ、それに続く“ビッグな目標”についても言及したと報じられています。
具体的な内容は詳細に伝えられていませんが、「WBC世界一」の先にある大勢投手の次なる目標は、巨人でのタイトル獲得や日本一、さらにはメジャー挑戦など、さまざまな可能性を想像させます。ただし、現時点で記事として明確に語られているのは、「より高いレベルで活躍し続けたい」という前向きな姿勢であり、将来の具体的な移籍などについて言及した情報は確認されていません。
イベントの中で、大勢投手と高梨投手は、日頃の練習の様子やリリーフとしての心構え、試合終盤のプレッシャーへの向き合い方などを、和やかな雰囲気の中で紹介しました。ファンにとっては、テレビ中継では見られない表情や素顔に触れられる、貴重な時間となったようです。
「メダル持ってきて!」高梨雄平からの懇願とファンイベントの盛り上がり
別のイベントでは、高梨雄平投手が大勢投手に対し、「WBCでメダル持ってきて」と懇願する場面も報じられました。 チームメートとして、そして同じリリーフ投手として、大勢投手の活躍を心から期待している様子が伝わるエピソードです。
このイベントは「ナシガチフェス」と呼ばれる企画で、今後は「来年は満席を目指す」という目標も掲げられました。 ファンとの距離が近いこうした場は、選手にとっても貴重な“癒やし”の時間であり、同時にモチベーションを高める機会にもなっています。
大勢投手にとって、WBCという世界の大舞台と、日々支えてくれるファンとの交流は、どちらも欠かせない存在です。高梨投手からの「メダル」の一言は、チームメートからの信頼と期待の大きさを象徴していると言えるでしょう。
巨人にとっての“大勢”の存在感
現在の巨人において、大勢投手は単なる一リリーフ投手ではありません。
「絶対的セットアッパー」として、試合の流れを左右する7回、8回を任されることが多く、その役割は守護神マルティネス投手にも匹敵する重みがあります。
先発投手陣に不安を抱えるチーム事情の中で、リードして迎える終盤をきっちり締めることができるかどうかは、シーズンの行方を大きく左右します。 だからこそ、阿部監督は大勢投手の健康状態とWBCでの起用法に細心の注意を払い、「大勢のWBC後遺症」を何としても避けたいと考えているのです。
一方で、大勢投手自身は、チームの期待を背負いながらもプレッシャーに押しつぶされることなく、「選んでいただいた以上、恥じないプレーを」と前を向いています。 その姿勢は、若いながらも日本代表と巨人の両方を背負うにふさわしい頼もしさを感じさせます。
WBCとシーズン、その両方で輝くために
WBCは、国を背負って戦う誇り高い舞台である一方、その後のシーズンに向けて選手の身体と精神に大きな負担を与える大会でもあります。 イチロー氏や松坂氏の例が示すように、その影響は決して小さなものではありません。
大勢投手は、前回大会を含む自身の経験や、先人たちの歴史を踏まえたうえで、今大会に臨もうとしています。 阿部監督や球団スタッフとの綿密なコミュニケーション、そして自らのコンディション管理が、今後のキャリアにとって大きなカギとなるでしょう。
ファンとしては、WBCで躍動する大勢投手の姿を楽しみにしつつ、その後も巨人のユニホームで元気にマウンドに立ち続けてほしいという思いが募ります。高梨雄平投手からの「メダル持ってきて」という言葉どおり、世界の舞台で輝く大勢投手が、無事にシーズンへ戻ってくることが、多くの人の願いです。
WBC世界一、そしてその先にある“ビッグな目標”に向かって歩みを進める大勢投手。
阿部監督の懸念と期待、チームメートやファンの思いを胸に、2026年のシーズンは、彼にとっても、巨人にとっても、大きな分岐点となりそうです。


