日本相撲協会が発表 6年ぶりの「天覧相撲」開催へ 初場所8日目に天皇陛下ご観戦

日本相撲協会は、東京・両国国技館で行われる大相撲初場所8日目(1月18日)に、天皇陛下が本場所を観戦されると発表しました。天覧相撲が行われるのは、2020年初場所14日目以来、およそ6年ぶりとなります。

今回の発表により、2026年初場所は、単なる新年最初の本場所というだけでなく、国技としての大相撲の伝統と格式があらためて注目される特別な場所となりました。日本相撲協会の春日野事業部長も、「気が引き締まる思いです」と語り、協会としての緊張感と喜びをにじませています。

「天覧相撲」とは何か ― 天皇陛下がご覧になる特別な一日

天覧相撲(てんらんずもう)とは、天皇陛下が本場所を国技館で直接ご観戦になる日のことを指します。
ふだんの本場所でも皇族方が観戦されることはありますが、「天覧相撲」という言葉は、天皇陛下ご自身が土俵を見守られる、特別な機会を意味します。

現在の両国国技館における天覧相撲は、戦後の相撲人気の高まりとともに歴史を重ねてきました。相撲ファンにとってはもちろん、力士や親方、関係者にとっても、「この日は特別」という意識が強く働く一日です。土俵に上がる力士たちは、国技としての相撲を天皇陛下にご覧いただくという、誇りと緊張を胸に土俵へ向かいます。

6年ぶり、令和では2回目の天覧相撲

日本相撲協会によると、今回の天覧相撲は、2020年初場所14日目以来、実に6年ぶりとなります。
令和に入ってからの天覧相撲は、これまでに1回だけ行われており、今回が令和では2回目ということになります。

2020年以降は、新型コロナウイルス感染症の流行なども影響し、観客数の制限や開催形式の変更が続いた時期もありました。その中で、天皇陛下が国技館に足を運ばれる機会は設けられず、天覧相撲は長く「お預け」の状態となっていました。

そうした流れを経て迎える今回の天覧相撲は、相撲界にとってのひとつの節目といえる出来事です。感染症対策が続く社会状況の中でも、伝統行事が再び本来の形に近づいていく象徴的な場面として、多くの関係者が受け止めています。

日本相撲協会・春日野事業部長「気が引き締まる思い」

発表にあたり、日本相撲協会の春日野事業部長は、6年ぶりに天覧相撲が行われることについて、「気が引き締まる思いです」とコメントしました。

春日野事業部長の言葉には、次のような意味合いが込められていると考えられます。

  • 日本の国技として、大相撲を最高の形でお見せしたいという責任感
  • 天皇陛下をお迎えするという、格式と安全面の両立への意識
  • 相撲界全体の姿を見ていただく機会として、運営・内容ともに失敗の許されない一日であるという緊張感

協会にとって、天覧相撲は単に「観客の一人としてのご来場」ではなく、相撲という文化と歴史を、国の象徴である天皇に直接ご覧いただく「報告の場」にも近い性格を持っています。そのため、準備段階から細かな配慮や確認が重ねられます。

初場所8日目に設定された理由とその意味

天覧相撲が行われるのは、大相撲初場所の8日目

中日が選ばれたことで、次のような特徴があります。

  • 序盤の星勘定がある程度見えており、取り組みに緊張感と注目度が高まる日
  • 横綱・大関陣をはじめ、主だった力士が出場している可能性が高い時期
  • 観客の盛り上がりもピークに向かっていく途中で、会場全体が活気づきやすい

こうした点から、中日は「場所の顔」とも言える重要な一日です。その日に天皇陛下をお迎えすることは、相撲協会にとっても、「今年最初の本場所の中でも、特に大切な一日」と位置づけていることの表れだと言えるでしょう。

歴史から見た天覧相撲 ― 昭和・平成・令和の歩み

相撲協会によれば、両国国技館での天覧相撲は、1955年夏場所10日目が最初でした。
当時は、千代の山、栃錦、鏡里、吉葉山という4横綱時代で、昭和天皇が観戦されたとされています。

その後の歴史を簡単に振り返ると、次のようになります。

  • 昭和時代:1955年夏場所10日目から1987年夏場所までの間に、国技館での天覧相撲は40回行われました。
  • 平成時代:1990年夏場所から2019年初場所までの間に、23回の天覧相撲が実施されました。
  • 令和時代:2020年初場所14日目が最初の天覧相撲で、今回の2026年初場所8日目が2回目となります。

この数字からも分かるように、天覧相撲は毎場所行われる催しではなく、節目や状況を踏まえて行われる特別な機会です。昭和・平成・令和と時代が変わっても、大相撲は国技として、天皇陛下の前でその姿を披露してきました。

力士たちにとっての天覧相撲 ― 誇りと緊張が交差する一番

天覧相撲の日に土俵へ上がる力士たちにとって、その一番は普段以上に特別な意味を持ちます。

  • 自らが磨いてきた相撲を、日本の象徴である天皇陛下に直接ご覧いただくという誇り
  • 観客席だけでなく、土俵周りの空気もいつも以上に張り詰めるような緊張感
  • 後に「天覧相撲で勝った」「天覧相撲で名勝負を演じた」と語り継がれる可能性のある、大舞台としての重み

過去の天覧相撲でも、名勝負や印象的な取組が多く生まれてきました。その背景には、「この場を汚してはならない」という力士たちの思いと、「良い相撲をお見せしたい」という気持ちが強く働いていることがあります。

今回の初場所8日目でも、どのような取組が組まれるのか、横綱・大関陣の取り口や、新鋭力士たちの奮闘ぶりなど、さまざまな点に注目が集まります。

日本相撲協会が担う役割と、相撲文化継承への期待

今回の天覧相撲の実施を発表した日本相撲協会には、単に本場所を運営するだけでなく、相撲文化全体を次世代へ伝えていく役割があります。

とりわけ、天覧相撲のような機会は、

  • 相撲を「スポーツ」としてだけでなく、伝統文化・礼節・神事性を持つものとして再確認する
  • 国内外の人々に、大相撲が日本文化の中で果たしてきた役割を広く示す
  • 若い世代のファンや、相撲にあまり馴染みのない人たちにも、関心を持つきっかけを提供する

といった意味で、非常に重要なチャンスになります。

春日野事業部長の「気が引き締まる思い」というコメントには、こうした文化的・社会的な側面も含めて、大相撲を正しく、そして魅力的に伝えていきたいという、日本相撲協会の決意が込められていると言えるでしょう。

6年ぶりの「国技館での特別な一日」に向けて

6年ぶり、令和では2回目となる今回の天覧相撲は、大相撲にとって、そして日本相撲協会にとって、あらためて伝統と格式を確認する場となります。

大相撲初場所は、新しい一年の始まりを告げる場所でもあり、ここで見せる相撲の内容や、会場全体の雰囲気は、その年の相撲界の流れにも少なからず影響すると言われます。そこに天皇陛下がご観戦になる天覧相撲が重なることで、2026年の大相撲は、よりいっそう注目を集めることになりそうです。

観客として国技館を訪れる人々にとっても、テレビやニュースで観戦するファンにとっても、「天覧相撲」という言葉には、いつも以上の期待感と特別感が宿ります。
その一方で、日本相撲協会や力士たちは、その期待に応えるべく、日々の稽古と準備を重ねて、万全の態勢で当日を迎えようとしています。

6年ぶりの天覧相撲の日、両国国技館の土俵上では、国技としての大相撲の姿と、現代の力士たちが積み上げてきた努力が、ひとつの形となって表れることでしょう。

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