京都水族館にケープペンギンの赤ちゃん2羽誕生 特別展示「大きくなってね!ケープペンギン」も開催
京都市下京区にある京都水族館で、愛らしいケープペンギンの赤ちゃんが2羽誕生しました。水族館では、このうれしいニュースに合わせて、ペンギンの成長をテーマにした特別展示「大きくなってね!ケープペンギン」を開催し、来館者にペンギンのいのちの尊さや成長の過程をわかりやすく伝えています。
ふわふわ綿羽に包まれた“今だけ”の姿が話題
今回生まれた2羽は、どちらもケープペンギンの赤ちゃんです。ケープペンギンは、南アフリカ沿岸に生息する中型のペンギンで、京都水族館では開館以来、大切に繁殖・飼育が続けられてきました。
赤ちゃんたちは、体がふわふわの「綿羽(めんう)」と呼ばれる羽毛に包まれているのが特徴です。綿羽は保温のために生えている、ヒナの時期だけの特別な羽で、大人のペンギンのつやつやした羽とはまったく違う、ぬいぐるみのような見た目です。
京都水族館によると、今回誕生した2羽は、生後4日齢と5日齢のタイミングでその存在が発表されました。体重はそれぞれ約160~190グラムほどで、まだとても小さく、親ペンギンの足元やおなかの下にもぐり込むようにして過ごしています。
この時期のヒナは、巣箱の中でほとんどの時間を過ごし、親ペンギンから口移しでエサをもらいながら少しずつ成長していきます。巣箱から顔をのぞかせるようすや、親鳥に甘える姿など、“今しか見られない”貴重なシーンが見られることから、多くの来館者がその様子に注目しています。
京都水族館でのケープペンギンの繁殖とこれまでの歩み
京都水族館では、開館した2012年以降、約40羽のケープペンギンの赤ちゃんが誕生しており、その多くが現在も館内で暮らしています。
ケープペンギンの繁殖期は、毎年10月から翌年3月ごろ。その時期になると、オスとメスのペアが巣箱を選び、巣作りを始めます。今回の赤ちゃん2羽も、2025年11月12日に産卵された卵から生まれました。
ペンギンの卵は、産まれてからふ化までおよそ40日間。京都水族館では、卵の状態や親鳥のコンディションに応じて、親ペンギンだけに任せるのではなく、飼育スタッフが親鳥の代わりに卵を預かり、ふ化直前まで大切に育てるという方法を取っています。
卵は専用のふ卵器に入れられ、温度や湿度を細かく管理しながら、毎日状態をチェックします。これにより、野生下では環境の変化などで失われてしまうかもしれない小さないのちを、できるかぎり安全にふ化へと導くことができます。
卵の中をのぞく「検卵」とは?
京都水族館の取り組みの中で、特に注目されている作業のひとつが「検卵(けんらん)」です。検卵とは卵の中の成長状態を確認する作業で、卵に光を当てて、中に胚や血管が見えているかどうかをチェックします。
胚がしっかり育っていれば、血管が網目状に広がり、生きて成長していることがわかります。この検卵によって、ふ化まで順調に育っているかどうかを判断し、必要に応じて環境を整えたり、見守り方を調整したりしています。
検卵は、とてもデリケートな作業です。強い衝撃を与えないよう、卵の向きや持ち方にも細心の注意が払われます。飼育スタッフは、毎シーズン、こうしたきめ細かい確認と記録を繰り返しながら、ヒナの誕生を支えています。
特別展示「大きくなってね!ケープペンギン」とは
今回の赤ちゃん誕生にあわせて、京都水族館では、ペンギンの成長を深く知ることができる特別展示「大きくなってね!ケープペンギン」を開催しています。
展示期間は、2026年1月10日(土)から3月31日(火)まで。場所は1階休憩スペース(「ペンギン」エリアスロープ前)で、料金は無料(水族館の入場料は別途必要)です。
この展示は、「ペンギンの赤ちゃんが生まれるまで、そして生まれてからどのように育っていくのか」を、できるだけわかりやすく伝えることを目的としています。誕生の裏側で、飼育スタッフがどのように小さないのちと向き合っているのかを知るきっかけにもなります。
パネル展示で「誕生までの40日間」をたどる
特別展示の中でも中心となるのが、ペンギンの卵からヒナが生まれるまでの流れを紹介するパネル展示です。
パネルには、
- 卵が産まれてからふ化するまでのおよそ40日間の記録
- 毎日の体重測定や検卵のようす
- ふ化直後から数日ごとのヒナのようす
などが、写真やイラストとともにまとめられています。
来館者は、ふだんは見ることができない「裏側の仕事」を知ることで、ペンギンの赤ちゃんが誕生するまでに、たくさんの人の手と時間、そして細やかな配慮が込められていることを感じることができます。
卵とヒナの「重さ」を体感できるコーナー
展示の中には、卵やヒナの重さを体感できる体験型のコーナーも用意されています。
京都水族館で生まれたペンギンたちの中から、
- 生まれたときから比較的大きかった「うしわか(牛若通り)」
- とても小さく、生まれてから飼育スタッフの介助が欠かせなかった「ぽん(先斗町通り)」
- 標準的な成長をしてきた「せん(千本通り)」
といった個性豊かな3羽が取り上げられています。
来館者は、これらのペンギンについて、
- 卵の重さ
- 生まれたばかり(0日齢)のヒナの重さ
- 34日齢のヒナの重さ
を模型や重りを通して実際に「持って」体験できます。重さの違いを手で感じることで、数字だけではわかりにくい成長の実感を得ることができ、「1か月でこんなに大きくなるんだ」と驚く声も聞こえてきそうです。
検卵作業を模擬体験できるボックス
特別展示のもうひとつの目玉が、検卵作業を疑似体験できる専用ボックスです。
このボックスの中には、検卵を再現した模型や映像が用意されており、光を当てることで、卵の中に浮かび上がるように見える胚や血管のイメージを観察することができます。
実際の現場で行われている検卵と同じような感覚を、来館者が安全に体験できる仕組みで、「卵の中でいのちが育つ」という、ふだん目にすることのない世界を身近に感じられる内容になっています。
フォトスポットや限定グッズも登場
会場には、等身大のペンギンフォトスポットも設置されています。
フォトスポットでは、実際のケープペンギンとほぼ同じ大きさでデザインされたパネルの前で写真撮影ができ、子どもから大人まで記念撮影を楽しめます。家族連れやカップルに人気のコーナーになりそうです。
また、館内の「かいじゅうカフェ」では、特別展示の開催に合わせて、ペンギンをモチーフにしたメニューやグッズも販売されています。
たとえば、
- ペンギンをイメージしたドリンク(価格は税込980円)
- 赤ちゃんペンギンをモデルにしたふわふわのぬいぐるみ「ベビーペンギン」
などが登場。ぬいぐるみは、顔のまわりのグレーの羽が赤ちゃんの綿羽をイメージして作られており、「見ても、触っても癒やされる」存在として注目されています。
2羽の赤ちゃんの名前を来館者投票で募集
今回生まれたケープペンギンの赤ちゃん2羽には、まだ正式な名前がついていません。京都水族館では、来館者による名前の投票を行い、2羽にぴったりの名前を決める取り組みを進めています。
投票期間は、2026年1月8日(木)から2月16日(月)まで。
応募方法はとてもシンプルで、館内「ペンギン」エリアに設置された投票用紙に、好きな名前や必要事項を記入し、特設の応募箱に投函するだけです。
どのような名前が選ばれるのかは、今後の発表を待つことになりますが、来館者が名づけに参加できることで、2羽の赤ちゃんの成長をより身近に感じながら見守ることができます。
成長のようすはモニターや体重測定の公開でも
京都水族館では、2羽の赤ちゃんの成長のようすを、できるだけ多くの人に見守ってもらえるよう、さまざまな工夫を行っています。
まず、1階「ペンギンの洞窟」エリアのモニターや、2階「ペンギン」エリアのモニターでは、巣箱の中のようすが映像で紹介され、親ペンギンとヒナの様子をリアルタイムに近いかたちで見ることができます。
さらに、2026年1月下旬からは、週1回のペースで体重測定のようすを公開する予定です。具体的な実施の日時などは、京都水族館の公式ウェブサイトや公式X(旧Twitter)で告知される予定です。
体重測定は、ヒナの健康状態を確認するうえで欠かせない作業ですが、その光景はとても微笑ましいものです。小さなヒナが計量器の上に乗せられ、そっと重さを量られる様子は、成長を実感できると同時に、「元気に大きくなってね」と応援したくなる瞬間でもあります。
4月ごろにはプールデビューを予定
赤ちゃんペンギンたちは、これからしばらくの間、巣箱の中やバックヤードで過ごしながら、自力でエサを食べる練習や、水に入る練習(遊泳訓練)を重ねていきます。
京都水族館の発表では、2羽は2026年4月ごろに「プールエリアデビュー」を予定しています。 プールデビューを果たすと、来館者の前で泳いだり、ほかのペンギンたちと一緒に行動したりする姿が見られるようになります。
ふわふわの綿羽に包まれた「赤ちゃんらしい姿」が見られるのは今だけで、その後、成長にあわせて羽が生え替わり、少しずつ大人のペンギンらしい見た目になっていきます。
赤ちゃんの頃から成長の過程を見守ることで、「こんなに大きくなったんだね」と、まるで家族のような気持ちでペンギンたちに親しみを感じる来館者も多くなりそうです。
京都水族館が伝えたい「いのち」と「成長」の物語
京都水族館は、開館以来、ケープペンギンの繁殖に継続的に取り組んできました。そこには、「かわいい」という見た目だけでなく、野生のペンギンを取り巻く環境問題や、種の保存の大切さを伝えたいという思いも込められています。
ケープペンギンは、野生下では生息数の減少が問題になっている種のひとつです。気候変動や環境の変化、人間活動の影響などによって、エサとなる魚の量が減ったり、繁殖地が脅かされたりしていると言われています。
そのような中で、水族館での繁殖や長期的な飼育は、種の保全という面でも重要な役割を担っています。今回の特別展示「大きくなってね!ケープペンギン」や、2羽の赤ちゃんの誕生を通して、来館者がペンギンをより身近に感じ、“いのちの重み”や“生きものと共に暮らす未来”について考えるきっかけになれば、という願いが込められています。
ふわふわの綿羽に包まれた小さなヒナたちは、ただ「かわいい」だけでなく、たくさんの人の思いと支えのもとに生まれてきました。京都水族館で過ごす時間は、そんな物語にそっとふれられる、あたたかなひとときになりそうです。




