ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック アイスホッケー会場に小さな穴、それでも「準備は万全」とIOC
イタリアで開催されるミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックの開幕を目前に控え、メインアイスホッケー会場となるミラノ・サンタジュリア・アイスホッケーアリーナでリンクに小さな穴が見つかり、テストイベントが一時中断されました。国際オリンピック委員会(IOC)は「2月の本番までに準備は整う」と強調しており、競技実施に支障はないとの見解を示しています。
ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックの概要
ミラノ・コルティナ2026は、第25回冬季オリンピックとして2026年2月6日から2月22日までの17日間、イタリアのミラノとコルティナ・ダンペッツォを中心に開催されます。実施競技は8競技116種目が予定されており、日本からも多くの選手が出場します。
アイスホッケーはその中でも人気が高い競技のひとつで、特にNHL選手も参加する男子大会や、レベルの高い女子大会には世界中から注目が集まっています。
問題が起きたのは新設の「サンタジュリア・アイスホッケーアリーナ」
今回話題となっているのは、ミラノ地区に新設されたミラノ・サンタジュリア・アイスホッケーアリーナです。このアリーナは、ミラノ・コルティナ2026でアイスホッケーの主要会場として使用される予定で、
- 大会期間中に男女合わせて33試合の予選および決勝トーナメントを実施
- 観客収容人数は約1万5300人
- 五輪では、メディアや各国代表団用の座席を差し引き、一般販売されるチケットは約1万1800枚と見込まれている
といった規模の大施設です。大会後はバスケットボールやコンサートなど多目的アリーナとして活用される計画で、地域の新たなランドマークとしても期待されています。
テストイベントで発生した「リンクの小さな穴」
問題が明らかになったのは、1月9日に行われたイタリア杯の試合でした。この試合中、リンク上に小さな穴が見つかり、試合は一時中断されました。穴はその場で修復され、その後競技は再開されています。
このリンクの不具合により、元々予定されていた五輪テストイベントは、会場の状態を理由にミラノ西部郊外にある第2リンクへと変更され、実施も当初計画から約1か月遅れる形となりました。また、新設アリーナには工事の遅れもあったとされ、準備状況への不安が指摘されてきました。
IOC「会場が間に合わない可能性は全くない」
こうした懸念に対し、IOCのスポーツディレクターであるピエール・デュクレイ氏は、会場が本番の試合開催に間に合わない可能性があるかとの質問に、記者団へ「全くない」と明言しています。
主催者側も、アリーナについて「構造的には準備は整っており、スタンドやコンコース(通路など)で残っている作業は『仕上げ』の段階にある」と説明しており、本番までに必要な工事が完了すると強調しています。
氷の専門家も「初期にはよくある問題」と評価
リンクの氷づくりを担当しているのは、北米プロアイスホッケーリーグNHLのコロラド・アバランチで経験を積んだドン・モファット氏です。モファット氏は、AFPの取材に対し、
- 氷の状態には満足している
- リンクが初めて使用される際には、このような初期トラブルが発生することはある
と述べており、今回の「小さな穴」は、いわば新しい設備にありがちな調整段階の問題という認識を示しています。
新設会場ならではの「準備遅れ」への懸念
ただし、アリーナ建設はこれまでもミラノ・コルティナ2026の準備の中で「痛点(ネック)」とされてきた分野でもあります。建設の遅れやリンクの品質をめぐっては、国際アイスホッケー連盟(IIHF)やNHLから懸念が示されてきました。
今回のテストイベントも、本来は早い段階でリンクの状態を確認し、問題点を洗い出す狙いがありましたが、会場の準備が間に合わず、本来より1か月遅れ、かつ別会場での実施となりました。この事実は、「未完成の部分が目立つ」「準備遅れ」という印象につながり、開催地に対する周囲の目を厳しくしています。
一方で進む試合運営の「実戦テスト」
サンタジュリア・アイスホッケーアリーナでは、9日から11日にかけて、イタリアのトップリーグおよびカップ戦の試合が連日開催される予定です。こうした国内大会を通じて、
- リンクコンディションの確認
- 観客の導線や入退場のスムーズさ
- スタッフのオペレーションや安全対策
など、本番さながらの環境で実務的な確認作業が進んでいます。リンク上の「小さな穴」というトラブルも、こうした試験運用の中で発見・修正されたものであり、本大会前にリスクを炙り出すという意味では、一定の成果があったとも言えます。
五輪でのアイスホッケー競技スケジュール
ミラノ・コルティナ2026でのアイスホッケーは、
- 女子アイスホッケー:2月5日から開始
- 男子アイスホッケー:NHL選手も参加予定で、2月11日から開始
とされています。大会全体の日程は2月6日〜22日ですが、女子競技は開会式前日の試合開始、男子は大会中盤から本格的にスタートする形です。
日本でも、女子代表チームの最終予選や壮行試合などが各地で行われており、オリンピック本番に向けた機運は着実に高まっています。
地上波での主な中継予定にも注目
ミラノ・コルティナ2026では、地上波テレビでの主な中継予定もすでに公表が進んでおり、アイスホッケーを含む人気競技は日本でも広く放送される見込みです。具体的な試合カードや時間帯は、各放送局が順次発表しており、
- 日本人選手が出場する試合
- メダル決定戦などの注目カード
- 開会式・閉会式
などが、地上波の中心的な中継対象となります。視聴者としては、放送スケジュールをチェックしながら、お気に入りの競技や選手の活躍をテレビの前で応援できる環境が整いつつあります。
パラリンピックでもアイスホッケー競技が実施予定
ミラノ・コルティナでは、オリンピックに続いてパラリンピック冬季競技大会も開催されます。パラリンピックは2026年3月6日から3月15日までの10日間の日程で行われ、6競技79種目が予定されています。
パラリンピックのアイスホッケー(パラアイスホッケー)はミラノ地区の「Milano Santagiulia Ice Hockey Arena」で実施される予定で、オリンピックと同じく、サンタジュリアの会場が重要な役割を担います。つまり、今回のリンクトラブルや準備状況は、オリンピックだけでなく、パラリンピックにとっても大きな関心事だと言えます。
「小さな穴」から見えてくる開催準備の現在地
今回のニュースは、「リンクに小さな穴が開いた」という一見ささいなトラブルでありながら、そこから
- 新設会場ならではの建設遅延や調整不足
- 国際競技連盟やプロリーグが抱く品質への懸念
- 本番前に問題を洗い出すテストイベントの重要性
といった、大会準備の裏側にある課題と努力が浮かび上がりました。
一方で、IOCや主催者、氷の専門家はいずれも「本大会までに準備は整う」「構造的な問題はない」と繰り返し強調しており、現時点では、
- 会場が完成しない可能性は低い
- むしろ、今の段階で問題が露呈したこと自体は前向きに捉えられる
という見方もできます。
ミラノ・コルティナ2026のアイスホッケーは、女子競技のさらなるレベルアップや、NHLスター選手の参加など、多くの話題性を持つ種目です。リンクの小さな穴をきっかけに高まった不安を、本番のスムーズな運営と熱戦が吹き飛ばしてくれるかどうか、世界中のファンが見守っています。



