木星が「衝」を迎え見頃に 太陽系最大の惑星が一晩中きらめく夜空
太陽系最大の惑星である木星が、1月10日に「衝(しょう)」を迎え、今まさに一年で最も観測に適した時期を迎えています。木星は今夜、街中からでも肉眼ではっきりと確認できるほど明るく輝き、一晩中夜空の主役として存在感を放ちます。木星ファンはもちろん、ふだんあまり星を見ない方にとっても、絶好の「木星デビュー」のチャンスと言える夜です。
今回の記事では、「衝」とはどのような現象なのか、木星がどこでどのように見えるのか、そして今週の夜空の見どころについて、やさしく解説していきます。
「衝」とは? 太陽・地球・木星が一直線に並ぶ特別な配置
まずは、今回ニュースになっているキーワード「衝(しょう)」について説明します。
「衝」とは、太陽・地球・木星が一直線に並び、地球から見て木星が太陽のちょうど反対側の方向に位置する瞬間のことを指します。このとき、地球と木星の距離は前後の時期に比べて縮まり、見かけの大きさが大きくなり、明るさも増します。
「衝」のころの木星には、次のような特徴があります。
- 一晩中見える(日没頃に東から昇り、真夜中頃に空の高い位置に達し、夜明け頃に西に沈む)
- 明るさが最大級で、マイナス2等級台の非常に強い光で輝く
- 地球からの距離が比較的近く、望遠鏡で見ると縞模様やガリレオ衛星が観察しやすい
木星の「衝」は、約1年と1か月ほどの周期で巡ってきますが、地球から見て「夜にとても観察しやすい衝」になる年は限られます。今回はちょうど、宵の時間帯から深夜にかけて観測しやすい条件が整っており、天文ファンからの注目度も高くなっています。
2026年1月10日 木星の見え方と空での動き
天文情報によると、木星は2026年1月10日17時台〜18時台ごろに「衝」の瞬間を迎えました。日が沈むころに東の空から昇り始め、真夜中前後には南の空で最も高い位置に達します。
具体的な動きを、イメージしやすいように時間帯ごとにまとめてみましょう。
- 日没前後〜夕方:東の空の低い位置に、ひときわ明るい星が現れます。これが木星です。
- 夜のはじめ:空が暗くなるにつれて、周囲の星々よりもずっと明るく輝き、「あれが木星だ」とすぐに分かるほど目立つようになります。
- 深夜前後:南の空の高い位置に達し、光が大気の揺らぎの影響を受けにくくなるため、望遠鏡での観測にはベストタイムです。
- 明け方:西の空へと傾いていき、やがて朝日と入れ替わるように沈んでいきます。
空での位置としては、1月中旬の夜22時30分ごろには、木星は冬の星座の近く、ふたご座付近のエリアに見えます。周囲の1等星よりも明るく白っぽい光で輝いている天体が木星です。
どれくらい明るい?街中からでも見える木星の輝き
日本気象協会の天文情報によると、「衝」のころの木星の明るさはマイナス2.7等〜マイナス2.6等級とされています。この明るさは、冬空でよく知られたおおいぬ座の一等星シリウスに匹敵するほどで、都会の明るい街中からでも肉眼で容易に見つけることができます。
星空があまり暗くない場所でも、次の点に気をつけて空を眺めてみてください。
- 夜8時〜10時ごろ、東から南の方角の空を見上げてみる
- 周囲の星に比べて、特に強く、また瞬きが少ない白っぽい光の天体を探す
- しばらく見ていると、星々の中でもひときわ目を引く「王様」のような光が木星であると分かる
惑星は恒星と異なり、地球から見た見かけの大きさが小さな円盤状となるため、瞬きが比較的少ないという特徴があります。これも、星々の中から木星を見つけるヒントになります。
「惑星の王」木星 どんな星?
今回話題になっている木星は、古くから「惑星の王」と呼ばれてきました。これは、
- 太陽系最大の惑星であること
- 夜空でもひときわ明るく目立つこと
などが理由です。
木星に関する基本的な特徴を、やさしく押さえておきましょう。
- 直径は地球の約11倍、質量は約318倍にもなる巨大惑星
- 主成分は水素とヘリウムで、「ガス惑星」と呼ばれるタイプ
- 表面は固い地面ではなく、厚い大気とその下に高温高圧の層が広がる構造
- 赤道付近には縞模様があり、長年観測されている「大赤斑」という巨大な嵐の渦が有名
- ガリレオ衛星と呼ばれる4つの大きな衛星(イオ・エウロパ・ガニメデ・カリスト)をはじめ、多数の衛星を従えている
双眼鏡や小型の天体望遠鏡があれば、木星を単なる「明るい星」以上のものとして楽しむことができます。短い棒の先にポツポツと並んだ4つほどの小さな光の点が見えれば、それがガリレオ衛星です。さらに、倍率の高い望遠鏡では、木星本体の縞模様や楕円形の姿も確認できるようになります。
今週の夜空のもう一つの話題 月と恒星「獅子の心臓」
今週の夜空では、木星のほかにも注目したい天体ショーがあります。それが、天文学の記事などで紹介されている、月がしし座の1等星レグルスを隠す現象です。
レグルスはしし座の中で特に明るい恒星で、「獅子の心臓(ししのしんぞう)」と表現されることもあります。この星は、しし座の胸のあたりに位置しており、ライオンのハートのように輝くことから、そう呼ばれてきました。
天文情報によると、1月の夜空では、
- 木星が「衝」を迎え、一晩中輝く見頃の時期になっている
- 一方で、満月前後の月がレグルス付近を通過し、月が「獅子の心臓」を隠す(恒星食)現象が起こる
など、「惑星の王」と「獅子の心臓」という印象的な名前を持つ天体が、そろって見どころを迎える時期になっています。月が明るい晩でも、木星の強い輝きはきちんと存在感を保ち、「月と木星」「月とレグルス」の共演を楽しむことができます。
いつ・どこを見ればいい?観察のポイント
実際に夜空を見上げるときの、基本的なポイントをまとめます。
1. 見る時間帯
- 夕方〜宵の口(19時〜22時ごろ):東から南の空に目立つ明るい星を探すと見つけやすい時間帯です。
- 深夜(23時〜翌2時ごろ):木星が南の空の高い位置にあるため、望遠鏡での観察に最適です。
初心者の方には、まだそれほど夜が更けない20時〜22時ごろがおすすめです。寒さも真夜中よりは和らぎ、東〜南の空をゆっくり眺めることができます。
2. 方角と位置の目安
- 日没後〜夜のはじめ:東の空のやや低い位置に、非常に明るい星として見えます。
- 夜が更けるにつれて:南東から南の空の高いところへと移動します。
方角が分かりにくいときは、スマートフォンのコンパスアプリなどで「東」「南」の方向を確認してから空を見上げてみましょう。
3. 肉眼・双眼鏡・望遠鏡での楽しみ方
- 肉眼:周囲の星よりもずっと明るく、白っぽく輝く「星」として見えます。星座の形をたどりながら、「あれが惑星の王・木星か」と感じるだけでも十分楽しめます。
- 双眼鏡:7倍〜10倍程度の双眼鏡でも、木星のすぐそばに小さな点が並んでいるのが見えることがあります。これが木星のガリレオ衛星です。
- 天体望遠鏡:口径5〜10cmクラスの望遠鏡でも、木星の円盤状の姿と2本程度の縞模様が見え始めます。条件が良ければ、縞の濃淡や衛星の影など、より細かい姿も楽しむことができます。
天気と防寒対策も忘れずに
せっかくの好条件でも、雲に覆われてしまっては星空は見えません。日本気象協会の天気情報では、地域ごとの天気予報や雲の様子、星空指数なども紹介されています。観察を計画する際は、
- 観測する地域の夜の天気予報を事前にチェックする
- 風が強いと体感温度が下がるため、防寒対策をしっかり行う
- 長時間外にいる予定なら、カイロや温かい飲み物も用意しておく
特に1月の夜は冷え込みが厳しく、星に夢中になっているとつい体の冷えに気づきにくくなります。こまめに休憩をとりながら、安全で無理のない観察を心がけましょう。
木星の「衝」はしばらく続く見頃の合図
「衝」は1日のうちのある瞬間を指す言葉ですが、観測の好機はその前後しばらくの期間続きます。特に1月中は、
- 夕方から夜の早い時間帯に東の空で見つけやすい
- 夜が更けるにつれて高く昇り、観察条件が良くなる
といった状態が続きます。
そのため、「今日見逃してしまったかも」と感じた方も、まだ十分に間に合います。仕事帰りや学校帰りに、ふと空を見上げるだけでも、木星の存在感を味わうことができます。
初心者でも楽しめる「惑星観察」の入り口に
今回の木星の「衝」は、
- 肉眼でも簡単に見つけられるほど明るい
- 一晩中観察できるため、都合の良い時間に楽しめる
- 双眼鏡や小さな望遠鏡でも、衛星や縞模様などの変化に富んだ姿が観察しやすい
といった理由から、天体観察初心者にとっても絶好の機会と言えます。
少しだけ空を見上げて、「あれが惑星の王様・木星なんだ」と気づくだけでも、夜空の見え方は変わってきます。さらに興味が湧いたら、星図アプリや天文関連のサイトを参考に、星座やほかの惑星も探してみると、宇宙がぐっと身近に感じられるはずです。
「衝」を迎えた木星と、「獅子の心臓」と呼ばれる星を隠す月。今週の夜空は、そんなドラマティックな天体たちが主役となる、見どころの多いステージとなっています。暖かくして外に出て、ゆっくりと夜空を見上げてみてください。




