自民・萩生田氏「連立拡大に意欲」 解散総選挙をめぐり高まる思惑と国民民主党の行方
自民党内で、衆議院の解散総選挙をめぐる議論がじわじわと熱を帯びる中、萩生田光一・自民党幹事長代行が「連立拡大」に前向きな姿勢を示したことが注目を集めています。なかでも、これまで政策面で協力を重ねてきた国民民主党を念頭に、関係強化へ「丁寧に努力したい」と語った点が、政界再編や解散総選挙のタイミングにどう影響するのか関心を呼んでいます。
一方で、萩生田氏は衆議院解散の時期について「新年度予算案を成立させるなど、政権として結果を出したあとに検討すべきだ」との考えを示しており、拙速な解散には慎重な姿勢もにじませています。これは、安定した国会運営と政策遂行を優先したうえで、解散総選挙に臨むべきだとの判断だと受け止められています。
自民・公明の連立解消後に広がる「新たな連立」の構図
いまの政局を理解するうえで重要なのが、長年続いた自民党と公明党の連立解消という大きな転換点です。約四半世紀にわたり政権を支え続けた自公連立は幕を閉じ、新たに日本維新の会との連携へと軸足が移りました。
ただし、この自民・維新の関係は、いわゆる「がっちりとした連立」というよりも、閣外協力に近い形であり、互いに選挙協力が十分にできる状況でもありません。維新側は衆院の議員定数削減を「改革のセンターピン」と位置づけ、連携の前提条件としてきましたが、関連法案は十分に進んでいないとの指摘もあります。
こうした中で、自民党としては、かつての公明党に代わる「安定多数を支えるパートナー」を模索しているとされ、その有力候補の一つが国民民主党です。すでに「年収の壁」の引き上げなどを通じて、予算編成の段階から国民民主党との協力関係を深めており、この動きが今後、正式な連立やより緊密な協力に発展するのかが焦点となっています。
国民民主党をめぐる「連立拡大」への期待と課題
萩生田氏が「連立拡大」に意欲を示し、「国民民主党」を念頭に「丁寧に努力したい」と語った背景には、すでに両党間で進んでいる政策協調があります。とくに、ガソリン税(暫定税率)の扱いや「年収の壁」の引き上げなど、生活に直結する政策で足並みをそろえてきたことは、大きな一歩といえます。
2026年度予算案の編成においても、自民党は国民民主党の要求を取り入れ、「年収の壁」を引き上げることで、同党を「たぐり寄せる」ことに成功したと分析する見方があります。この結果、国民民主党との関係は、事実上閣外協力に近い形にまで踏み込んでいるとの指摘もあり、自民党にとっては、維新との連携が不安定になった場合の「リスク分散」の意味合いも持つとされています。
他方で、国民民主党の支持母体である連合は、同党の早期の連立入りに対して慎重な姿勢を崩していません。このため、たとえ政策面では自民党との距離が縮まったとしても、正式な連立政権入りにはなおハードルが残されています。萩生田氏のいう「丁寧な努力」とは、こうした支持団体との調整や、世論の受け止め方も意識した、時間をかけた信頼構築を意味すると考えられます。
「解散総選挙は結果を出したあと」 萩生田氏の慎重発言
今回の発言で、もう一つ重要なのが衆議院解散のタイミングに関する萩生田氏の考え方です。NHKの報道によれば、萩生田氏は「衆議院の解散・総選挙をめぐり、新年度予算案を成立させるなど政権として結果を出したあとに検討すべきだ」と述べ、現時点での早期解散論には距離を置いています。
この発言には、いくつかの意味合いが含まれます。
- 政策の実績づくりを優先:物価高対策や賃上げ、社会保障など、国民生活に直結する課題に一定の区切りをつけたうえで、信を問うべきだという考え。
- 国会運営の安定確保:自公連立解消後、維新・国民民主との協力に支えられた新しい与党構図が、どこまで機能するのかを見極める必要があるという事情。
- 内閣支持率と党勢の見極め:高市政権の支持率が高いうちに解散したいという党内の声がある一方で、性急な判断はリスクを伴うとの慎重論も根強いことへの配慮。
このように、萩生田氏の発言は、単に「解散を先送りしたい」というだけでなく、結果を示してから国民に信を問うべきだという、与党幹部としての責任感を示したものと受け止められています。
高市政権の高い支持率と「解散総選挙」の行方
現在の政局を語るうえで欠かせないのが、高市早苗首相の高い内閣支持率です。就任以降、各種世論調査ではおおむね高水準を維持しており、自民党内からは「支持率が高いうちに解散総選挙に踏み切り、前回選挙で失った議席を取り戻すべきだ」との声も上がっています。
ある分析では、解散の有力なタイミングとして次の選択肢が挙げられています。
- 2026年度予算成立後の通常国会後半:重要予算と主要法案を通したうえで解散に踏み切るパターン。
- 通常国会の会期末:政治日程上、一区切りとなるタイミングでの解散。
- 秋の臨時国会:景気や国際情勢、支持率の推移を見極めたうえでの「秋解散」シナリオ。
特に、自民党内には「今後、支持率がこれ以上大きく上がる余地は限られるのではないか」「むしろ時間が経つほど下がるリスクがある」との見方もあり、年内解散の可能性は高いとする専門家もいます。一方で、内閣支持率とともに自民党支持率の回復も不可欠であり、「高市効果」によって他党に流れた支持層をどこまで取り戻せるかがカギになるという指摘もあります。
自民党内で交錯する「早期解散論」と「慎重論」
「解散総選挙」をめぐっては、党内でもさまざまな考え方が交錯しています。
- 早期解散を求める声:高い支持率を追い風に、できるだけ早く解散して議席の上積みを図りたいとするグループ。落選中の元議員の中には「一日も早く国会に戻りたい」と、早期解散を期待する声もあると伝えられています。
- 慎重な対応を求める声:公明党との連立解消後、新たな与党構図がまだ固まりきっていない段階での解散はリスクが大きいとの見方。予算や重要法案の成立を最優先し、政権の実績を積み上げてから解散の時期を探るべきだとする立場。
萩生田氏の発言は、どちらかといえば慎重論に立つもので、「結果を出した後に解散を検討すべきだ」というメッセージを通じて、あくまで「政権としての責任」と「国民への説明」を重視する姿勢を示した形です。
解散総選挙が経済・市場に与える影響も
「解散総選挙」は政治の世界だけでなく、経済や株式市場にも大きな影響を与えます。2026年の日本株市場を分析した専門家は、高市首相が衆議院の解散総選挙に打って出るかどうかが、株価動向を占う上での大きな注目点だと指摘しています。
市場関係者の一部は、
- 解散総選挙で与党が安定多数を確保できれば、政策が継続しやすくなり、市場には安心材料となる。
- 一方で、選挙結果次第では、財政政策や税制、規制改革などの方向性が大きく変わる可能性もある。
といった見方をしています。つまり、解散のタイミングや選挙結果は、家計や企業活動だけでなく、投資環境にも影響を与えるため、国民生活にとっても決して無関係ではありません。
国民にとっての「解散総選挙」とは
政治のニュースは、ときに難しく感じられるかもしれません。しかし、解散総選挙は、私たち一人ひとりが「これからの政治の方向性」を選ぶ、とても大切な機会です。
今回の萩生田氏の発言が示すように、
- 自民党は、公明党との長い連立を終え、新たに維新や国民民主との連携を模索していること
- 高市政権の高い支持率を背景に、「いつ解散総選挙を行うのか」が大きな焦点になっていること
- 一方で、「政策の結果」を出してから国民に信を問うべきだという慎重な考え方もあること
など、いまの日本政治は大きな節目を迎えています。
解散総選挙がいつ行われるのかは、最終的には総理大臣の判断に委ねられていますが、その背景には、こうした与党内の議論や、野党との関係、世論の動向、経済情勢など、多くの要素が絡み合っています。ニュースを通じてこれらの動きを追いかけることで、私たち自身も「どのような政治を望むのか」を考えるきっかけにすることができます。
今後、予算審議や政策の進み具合、各党の連携のあり方などを見守りながら、「解散総選挙」がいつ、どのような形で現実のものとなるのか、引き続き注目が集まりそうです。


